是れ藩邸のきゅう勞、誠に忘る可からずと雖も、然れども國を理め法を守るには、事須く画一にすべし。頁648
(訳)この男は秦王府の旧臣で、その功労は忘れることはできないけれども、然しながら国を治め法を守るには、事はぜひとも画一にすべきで、不同があってはならない。頁648
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書籍の紹介
『いかに生くべきか』東洋倫理概論 安岡正篤著
造化と人
人は常に己を虚しゅうして造化に参わらねばならぬ。試みに進化論によって生物発展の跡を訪ねても、哲学によって認識の理法を考えても、宇宙人生は自己を実現せんとする絶対者の努力であり、神羅万象斉しくその顕現に他ならぬことは明らかである。故に個の絶対者の努力を「造化」と言う。神羅万象の中に個の造化を最も端的霊妙に現す者は人である。
造化は人を通じて心を発いた。心は人の心であると同時に、造化の心であって、造化は心によって自ら「玄」より「明」に化し、人は造化の一物に過ぎずして、しかも個の心によってまたそのままに造化なのである。人がもの思うのは、すなわち造化がもの思うにならない。
さて、造化は前述のように自己を実現せんとする絶対者の努力である。そこで造化のいずれの点(機境)を取るも、これであきたったということはない。そこには必ず無限の生成化育が含蓄的状態においてあると言わねばならぬ。換言すれば、造化は絶対自けんなるものであって、かつ永久ふけんなものである。人もまた異なるところはない。
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この本を購入して20年近くなりますが、読むことに没頭した日々を思い出しています。