特に須く禁断すべし。仮令、謀反する者有りとも、必ず独り成すを得ず。終に将に人と之を計らんとす。頁632
(訳)ぜひとも特に禁断すべきである。たとい謀反をする者があっても、必ず独力ではすることができず、結局、人と共謀するに違いない。頁632
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書籍の紹介
『自助論』
1 成長への意欲と自助の精神
「天は自ら助くる者を助く」
この格言は、幾多の試練を経て現代にまで語り継がれてきた。その短い章句には、人間の数限りない経験から導き出された一つの真理がはっきりと示されている。自助の精神は、人間が真の成長を遂げるための礎である。自助の精神が多くの人々の生活に根づくなら、それは活力にあふれた強い国家を築く原動力ともなるだろう。
外部からの援助は人間を弱くする。自分で自分を助けようとする精神こそ、その人間をいつまでも励まし元気づける。人のために良かれと思って援助の手を差し伸べても、相手はかえって自立の気持ちを失い、その必要性をも忘れるだろう。保護や抑制も度が過ぎると、役に立たない無力な人間を生み出すのがオチである。
いかにすぐれた制度をこしらえても、それで人間を救えるわけではない。
いちばんよいのは何もしないで放っておくことかもしれない。そうすれば、人は自らの力で自己を発展させ、自分のおかれた状況を改善していくだろう。
だが、いつの時代にも人は、幸福や繁栄が自分の行動によって得られるものとは考えず、制度の力によるものだと信じたがる。だから「法律をつくれば人間は進歩していく」などという過大評価が当たり前のようにまかり通ってきた。
確かに、法律がうまく施工されれば、人は個人的な犠牲をさほど払わずにそれぞれの労働(精神労働や肉体労働)の果実を楽しむことができる。
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