味園博之のブログ-文武両道「空手道と南洲翁遺訓」他古典から学ぼう

平成の今蘇る、現代版薩摩の郷中教育 
文武両道 「空手道」と『南洲翁遺訓』を紹介するブログ

人は未だ自ら致す者有らず。必ずや親の喪か。

2014-06-30 10:46:56 | ブログ

タイトル----人は未だ自ら致す者あらず。必ずや親の喪か。第2012号 26.06.30(月)

.

 人は未だ自ら致す者有らず。必ずや親の喪か。『論語』485

.

 人間社会で、ぜひ自分でなければならないとして、最大限に力をつくすべきことはそれほど多くはない。もしありとするならば、それは親の喪をいとなむときであろうか。

.

 【コメント】

.

 親の喪をいとなむ時は大事であります。私は遠く枕崎まで毎月二回はお墓詣りをしています。大根占にいるときもそのようにしていました。

.

 併せて道場関係者に難問がふりかかり、困窮している時は、家族同様すぐ行動を開始します。そして誠心誠意盡すことにしています。だから元気なのだと思います。

.

 ある子どもさんが入会したいと言って諸手続きは済ませましたが、お稽古にやってきません。来ないのに、稽古にきなさいということは言わないつもりです。その子どもさんは私の所でお稽古をしないと、やがて大変なことが起こると思っています。

.

 私から見たその子どもは、そこいらの空手道場では育てることは出来ないと思っています。なぜなら指導者が人間学を修得していなければならないからです。

.

 ------------------------

.

 『天保おすわり事件』(第67回)

.

 二 三

.

 川南、西郷組二十一人に、先鞭をつけられた川北組のお百姓達は、気が気でなかった。

「一日遅れれば一日だけ、おかみの警備が厳重になる。出かけるなら今のうちだ。いたづらに逡巡して、悔を千載にのこしてはならぬ。」

 かう思って、川北のお百姓たちは躍起したのである。

 川北で、運動の中心となったのは、飽海郡江地村玉龍寺住職文隣和尚であった。

 文隣、諱は圓貞、川南で牛耳を取った加茂屋文治の實兄である。轉封の臺命下るや、痛心措く能はず、何とかして事前に之を阻止せんものと、弟文治を通じて、本間辰之助等と密かに談合、萬全の策を講じていたが、川南の第一陣が失敗したと聞くと、直ちに腹心の人々と協議の末、遊佐、平田、荒瀬の三郷から廿一人を選び出し、十二月廿三日、吹浦口から今の秋田県由利郡を迂回し、折柄の猛吹雪を冒して及位峠を越え、天保十二年の正月三日、新庄領の名木澤に着いた。

.

 -------------------

.

 短歌の紹介

.

新政府官僚機構の整備など

           歳出膨張紙幣乱発 6869 『臥牛菅実秀』

荘内藩練武のために奨励す

           殺生士族の生計支ゆ 6870 『臥牛菅実秀』

大久保は明治十一年五月

           島田一郎暗殺される 6871 『臥牛菅実秀』262


老馬の智用うべし。

2014-06-29 13:26:35 | ブログ

タイトル----老馬の智用うべし。第2011号 26.06.29(日)

.

 老馬の智用うべし。『韓非子』

.

 老馬の智恵は用いるべきだ。

 斉の桓公は、春に遠征して孤竹を伐ち、冬、帰る途中、雪の中で道を失った。そのとき進言した管仲の言葉がこれである。すなわち、年をとった馬は故郷を知っているから、その先導によって、もとの地に帰れたという。韓非子は、老馬にたとえて、聖人の智を大事にすべきことを説いたのである。

.

【コメント】

.

 年の功という言葉があります。長年の社会経験を経て培われた数々は誠に有用であります。歳若い人々は自ら学修すると同時に、老馬的存在の人に大いに学ぶべきであるとも申せましょう。

.

 ところが、歳を重ねてなお、自らの栄華が欲しいため、社会的名声を縦にし、そして高級取りの立場を失いたくなく、史実を改竄しようとする者がいるものです。

.

 こういった輩は早晩天の制裁を受けるのです。森信三先生が言う「世の中ほど面白いものはない」と『修身教授録』で述べていますが、全くそのとおりだと思います。どういうふうな仕事をすればそういう性になるのでしょう。

.

 『南洲翁遺訓』十六章は、「節義廉恥を失いて、國を維持するの道決して有らず、西洋各国同然なり」と教えています。 

. 

 政治経験がなく、子ども相手に話す私の解説は、「人々が節義と廉恥の心を失ったら、いわゆる、真面目で、義理固く、心清くして恥を知る心を失ったら、人々から信用されなくなり、自分を維持して行けなくなる。あの人もこの人も同じなのです」と解説しているのです。

.

 そういう事を百も承知の老人が、自分の利益だけを考えて、荘内版『南洲翁遺訓』が不完全だという。『南洲翁遺訓』は西郷隆盛の英邁な人格を後世に残すべく、菅臥牛先生を中心とした人々が心血を注いで出版したものなのです。余人が介入することは歴史が許さないのです。

.

--------------------

.

 『天保おすわり事件』(第66回)

.

 お百姓たちは、泣いておうけするよりほかなかった。上様からだといって煙草入れを一個ずつ下し置かれた。若殿様御夫妻からとして、銀廿匁と手拭二本宛下された。それ等の品々を押し戴いて、一同は、足軽芝田某につきそはれ、江戸を出発、翌天保十二年の正月九日、生きて再び見るまじと覚悟した、故郷荘内に送りかへされたが、廿萬人のお百姓達は、決して一度や二度の失敗でへこたれるやうな意気地なしではなかった。--------偶然、第二の火の手は、川北組廿一人によりてあげられたのである。

.

 ----------------------

.

 短歌の紹介

.

西郷を失い実秀冬の裸木

         ごとく寒風突き立ちており 6836『臥牛菅実秀』

荘内の士族困窮将来を

         実秀いかに舵とるべきか 6837 『臥牛菅実秀』

苦しくも惨めな現実これ踏まえ

         偉大な西郷如何にすべきか 6868『臥牛菅実秀』

.

 『臥牛菅実秀』を筆写し、稚拙ながら短歌を詠んでいます。6868号は、菅先生は、西郷南洲翁の人格を如何に世の人々に紹介すべきか、悩み、そして『南洲翁遺訓』を刊行したのです。


水は湿に就く。

2014-06-28 13:14:21 | ブログ

タイトル----水は湿に就く。第2010号 26.036.28(土)

. 

 水は湿に就く。『荀子』

.

 同じ土地であっても、水はしめり気の多いほうに流れていく。

 その気質、その才能がおのずから人の運命をひらく。

.

【コメント】

.

 『荀子』に出てくる「シツ」という漢字がパソコンに出てこないので、「湿」という文字を使用しました。

.

 「その気質、その才能がおのずから人の運命をひらく」、なんて素敵な言葉でしょう。かく申す私は、大したは気質・才能はないのですが、やりだしたら止めない、諦めない性格なのです。だから、連日猛勉強と空手道をしているのです。

 あと10年したら85歳になります。ブログが5500号、短歌が3万首になるでしょう。その時、健康論、長生論、幸福論、空手道論を認めます。

.

 私が大学を出ていたらこのような学問はしていないでしょう。夜間高校だったから良かったのだと解釈しています。

.

 今朝の学問館には吉野分校、谷山分校、中山分校からもお見えになりました。幻の講話は小学一年、三年、中学一年、中学三年の皆さんにも読んでもらいました。子どもたちの読書能力に吃驚しています。

 今朝の資料には一頁めくったら墨痕あざやかな「養精神」という文字を挿入しました。東郷平八郎の書なのです。そして西郷隆盛の漢詩「世俗相反處英雄却好親」も入れて学修しました。五年かけて西郷隆盛の直筆を読めるようになりますと、ある高名な先生に約束をしました。学問館終盤に電話回線を通じて詩吟教室をしました。指宿の大師範の吟はいつもの通り素晴らしいでした。

 .

 学問館が終了してから空手道指導をしました。組手指導では述べ100発くらい腹部を力一杯打たせました。身長185センチの正田さんの突きは、慣れていないため腹部・ミゾオチとデタラメに入りました。体力があるので突きが重いのです。普通の大人の人なら内臓破裂で明日は葬式というところでしょう。それがいいのです。実践では決めたとおり来ないのですから。

 .

 君たちの突きで俺が死ぬものか、という気概があれば大丈夫なのです。どうせ人間はいつかは死ぬのですから。かねては優しい顔をしていて、今にも死にそうなのですが。

.

 今朝の新聞広告に、人様に文句をいう人、怒る人、短気な人は早死にをすると書いている本が紹介されていました。これは本当なのです。天風師がいう、清く、尊く、明るく、逞しくがいいということです。これに追加して欲しいのは、歴史的な史実を改竄する者も追加したいものです。

. 

--------------------

 『天保おすわり事件』 (第65回)

.

 「有難うござりまする。

 喃皆の衆、お盃だけは、せっかくぢゃがや遠慮申さうな。お殿様おすわりときまるまで、御酒は禁物といふ約束だからな。では有難く御飯を頂戴いたしませう。」

 誰一人、不服をいふものはなかった。おづおづ取り上げた割箸の上に、新しい涙がふりかかった。

 翌日、再び一同は、お留守役の前に呼出された。

「その方共の志、殿様にも定めし御満足に思召すであらう。我等からも厚く禮を申すぞ。

 さりながら、直訴、強訴は天下の御法度、罪のさばきは、その方共だけでは相すまぬ。ひいては殿様の御身邊に、どの様な御迷惑がかからうとも知れぬ。もし万一、御家名にかかはる様な事があったら、それこそ、御先祖様に申譯がたつまい。そこの道理をよく弁え、おとなしく故郷に引き取って貰ひたい。陽が照れば、雲霧はやがて晴れる。正義は常に最後の勝利者だ。天道は見とほしぢゃ。軽挙してはならぬ。分ったな。」

.

 --------------------

.

 短歌の紹介

.

 戦争画いろとりどりの絵画前

            人だかりあり西郷の顔 6835 『臥牛菅実秀』


経は道を載する所以なり。

2014-06-27 16:41:12 | ブログ

タイトル----経は道を載する所以なり。第2009号 26.06.27(金)

.

 経は道を載する所以なり。『近思録』

.

 経書、すなわち「四書」とか「五経」とかいうようなものは、すべて道徳を盛り込んだものであって、単なる文学でもなく、単なる歴史でもない。

.

 【コメント】

.

 仕事を一所懸命やるというのも、道徳として私は捉えたいと思います。「道徳とは、社会生活を営む上で、ひとりひとりが守るべき行為の規準」であるからです。

.

 今朝のテレビ報道を見ていたら新入社員の多くが、仕事はほどほどにして楽しみたいと言っていました。これらも人それぞれの価値観というのでしょうが、私の考え方とは相いれないと思った次第です。

.

 父の事業が倒産して働きながら夜間高校へ通った私は、死にもの狂いで働いてきました。そして何事にも体当たりしてきたのです。だから75歳の現在も大元気なのです。

.

 空手道を教えて、空手の舞を教えて、漢籍を繙くこれほど楽しい日々はないと思っています。ここまで書いて健康ランドへ行ってきました。道々、天風師の「健康と長寿の秘訣」を聞きながらでした。私が体当たりで仕事をしているそういうのは「神経系統の生活機能を高めるから健康にして長寿が保証される」ということを言っています。同感です。

.

 今朝のテレビで見た青年たちのマイホーム主義は少しずれていると私は思っていましたが、天風師も同様のことを言っています。このテープダビングして送りましょうか、理子先生。

.

 -----------------------

.

 『天保おすわり事件』(第64回)

.

 座に列る役人も皆泣いた。嗚咽の聲は藩邸に充ち満ちた。

 暫くして、お留守役は重々しく口を開いた。

「殿様を大切に思へばこそ----その方共の心底は、何物にもかへ難く吾等も嬉しく思ふ。心の底をわれば、吾等とても全く同感だ。改めて沙汰する迄、部屋に下って、ゆっくり休息するがよい。」

 情理を盡した言渡しであった。一同は下役人に導かれて、役宅の一室に入った。囚人あつかひと思ひの外、まるでお客人あしらひであった。下されたお手厚い膳部には、結構なお酒さへそなえてあった。

「どうぞ十分にすごされい。用があったら遠慮なくしふて下され。」

 下役人の言葉もやさしかった。一同は、またしても胸が一ぱいになった。

.

 --------------------

.

 短歌の紹介

.

西郷が中央政府いなくても

         せめては薩摩に生きていてくれ 6831 『臥牛菅実秀』

西南の役で西郷失いて

         全国の民実秀痛嘆 6832 『臥牛菅実秀』

西南の役で政府は自らを

         正当化して西郷を非難 6833 『臥牛菅実秀』

民衆は政府批判ありたるも

         その真実を感じおるなり 6834 『臥牛菅実秀』


飲酒は楽しみを以て主と為す。

2014-06-26 16:17:04 | ブログ

タイトル----飲酒は楽しみを以て主と為す。第2008号 26.06.26(木)

.

 飲酒は楽しみを以て主と為す。『荘子』

.

 酒を飲むには、歓楽をうることを主とすべきだ。

.

 【コメント】

.

 妻が言うアル中の私は、アル中だとは思ってなく、「酒は百薬の長」だと思って嗜んでいます。そうすれば病院に行かなくてよいし、極めて健康なのです。

.

 酒を飲んでクダをまくような人は飲まない方がいいと思います。人望を失うからです。本当は幾ら飲んでも自分を失わないようにしなければならないのです。

 我が円心会の仲間たちは、大変楽しい飲み方を致します。和やかで面白くて、捧腹絶倒の連続です。

.

 私が知って居る男で盃一杯飲んだら、豹変・凶変する男がいました。タクシーに乗車し酒癖の悪い男がいますかと聞いたら、一人の例外もなく杉田忠雄(仮名)という人の名前を上げるのです。

.

 ----------------------------

.

『天保おすわり事件』(第63回)

.

 涙はとめどもなく双つの頬を傳はって流れた。だまって下唇をかんでゐたほかの連中も、たまらなくなって、その場に平伏したまま、聲をあげて泣き出した。

 匹夫といへども、志は奪ふべからず、滅私奉公の大精神は、日本古来の微風である。お留守役も、思はず落涙した。

.

 ----------------------

 .

 短歌の紹介

.