タイトル----政治の要諦『言志録』。第1067号 23.11.30(水)
『言志録』 46 政治の要諦
〈土地人民は天物なり。承けて之れを養い、物をして各(おのおの)其の所を得しむ。是君の職なり。人君或は謬(あやま)りて、土地人民は皆我が物なりと謂(おもう)て之れを暴す。此れを之れ君、天物を偸むと謂う。〉
〔訳文〕 土地も人民も天の賜である。これを受けて、これを養い、一人一人にその適当な地位や仕事を得さしめるのが、人君の仕事である。ところが、人君が誤って、土地、人民は皆、自分のものだと考えて、乱暴に取り扱うならば、この行為は、人君が天物を盗むものというべきだ。
〔付記〕 一斎先生が本文のようなことを述べたのは、国家に対していったのではなく、当時の大名、小名に対して、苛斂誅求を戒めたものと考えられる。
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〔コメント〕 苛斂誅求という言葉は、今日あまり使用されていませんが、年金等の為に蓄えられた金で、全国に箱物を造り続けた社会保険庁の無駄遣いは、訳文にある「人君が天物を偸む」のと似ているような気がします。
官僚という方々は、国民が一円安い買い物のために東奔西走する姿は全く目にはいらないのでしょうか。国民から、そして野党から指摘されて改善するといことは国民無視も甚だしいといわざるを得ません。
今の私は、天の声が通じたという中村天風が言う「人の道」を踏襲することが、大切なことだと思うのです。そのためには天が見ているという厳粛な戒めがなくてはならないと思います。それでも国民を愚弄すると、事務次官夫妻が殺害されたと同様なことが十数年後、起こるであろうと思います。
若い青年たちに、これ以上苦しめられても君たちは黙っているのですか、と聞いてみたら、いや、そういうことはありません。若者が立ち上がる時が来るでしょう、といいました。『南洲翁遺訓』第四章にある「萬民の上に位する者」、これは、政治家ばかりでなく、官僚も真摯になってほしいものだと思うのです。事件が勃発してからでは遅いのです。