新春に相応しい展覧会です。
品のある表情、仕草。俗とは無縁の、美人画が、松園の真骨頂。
浮世絵師達の美人画の流れを汲みつつ、正統派の大和絵のテーストも、
日本画において、松園の作品は、一つの頂点だと思います。
それは、この展覧会のそれ以降の画家の作品を見て再確認しました。
松園という頂点に繋がる一つの尾根に、浮世絵があります。
例えば、
喜多川歌麿「美人読玉章」@太田美術館 肉筆浮世絵名品展
絵師達は、浮世の俗世の美人画を描きました。
そこには、女性の色香だけでなく、
吉原を描いたならば、その宴席の雰囲気、お酒の匂いまで感じられます。
花見ならば、春の長閑な風の暖かさも、絵の中に描き込んでいます。
ただ、その世界は、俗な世界。
もちろん、松園の絵にも、
牡丹雪の降る日の湿った空気も感じられるのですが、
それ以上に、描かれている女性の内面が絵の中に溶け込んでいます。
上村松園 《新蛍》@山種美術館 松園と美人画の世界。
卑俗を削ぎ落とした気品のある美人画、その中に描かれた内面。
それ故に、俗な想いを抱いてしまう。
そんな魅力を松園の絵に感じるのです。
品があるからこその邪な気持ちです。
浮世絵師達の美人画と、松園の美人画。
その二つを対にしてみるのも、また楽しいものです。
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