ハリ天狗の日々奮戦

天狗のごとく山を駆け、野を走る(かな^^;)。 東京は西の端・青梅発、全国行き。日々鍼を打つランニング鍼灸師の奮戦記。

勝田の風になって

2011年01月31日 | 大会レポート

0131_katuta03 2時間57分17秒。途中タイムは見ずに心拍数とペースだけを指針に走り続けた42.195km。最後まで集中力も途切れることなく、今の力をきっちりと出し切ることが出来たという点でハリ天のフルマラソン史上最高のレースとなりました。

0131_katuta01 初めて前泊したため超ゆとりでレース前の時間を静かに過ごし、会場入りは10時過ぎ。ちょこっとアップして30分前にはスタートラインへ。2時間45分~3時間以内のプラカードの正面。makotoさんがすでに並んでいて歓談。そこへヤマジャンさんも加わり50代トリオって感じでのスタート。
もっと緊張するかと思っていたけど、最初っから落ち着いて集中出来ていた。やることはやったし、余程のことがない限りかなり走れるはず、そう自分を信じることが出来ていたから。
それでもペースが落ち着くまでは不安はよぎる。二人からはスタート直後から先行。自分のペースを守ろう。スタートラインまでは十数秒なのだけど、その後もなかなか前には出られない、でも慌てない。少しずつばらけてきたところで前に出る。
広い通りに出て心拍数を確認。150台半ば、ペースは3分台とか。こんなに楽にスピードが出ちゃかえって心配だ。でもインディアンじゃないが心拍数はウソつかない。新コーチGarminが指示する数値を信じて、160拍をなるべく超えない程度のスピードで進む。
途中で笑石人さんと会話。来週の別大の調整レースとか。ハリ天は「25年前の自分」等とのガチンコ勝負だと告げて先行させていただく。
GarminのGPSが計測している距離は、コース上の表示とピッタリ。序盤から厚い信頼関係が築かれ嬉しくなる。
 
やがて5km。21分ちょうどだ。頭の中で描いておいたペースにピタリ。イエーイ。ちなみにキロ4分15秒のサブスリーギリギリペースなら21分15秒、第1目標の2時間55分ペースならキロ4分10秒ペースで20分50秒。無理をしない前半はその中間をとって21分ちょうどという腹だったのだ。
・・・が、しばらく進んで右手にカーブ。ふと時計に目をやると動いていない。しまった。ラップボタンでなくストップボタンを押してしまっていた。慌てて再スタート。しょうがないからタイムは見ないことにしよう。ラップは後でゴール後合わせればいいや。ここで、本日「心拍数」と「ペース」の数値だけを頼りに走ることを決意。GarminのGPSが正確なので、当然教えてくれるキロ何分何秒というペースも正確。
6km過ぎ、鋭角に左に進路をとる。ふと気配がして左手に続いている後方のランナーの列に目をやると、「ハリ天さ~ん」との声が。おぉ、なべちゃんとTomoさん。両手を振って応える。今日はJogNote繋がりの若い仲間も決戦レースなのだ。みんな、頑張ろう!
 
さて、15km手前まで長い長い直線路。しかも割と強めの風が斜め前方から吹き付ける。まぁ、風は想定内。向かい風は揚力を使うイメージ。つらいけど必ず追い風区間もやってくるのだから半々だ。
風よけをしたい所だけど、適当な選手が周りにいない。それよりなんだかマークされてないか。持ちつ持たれつ、前に出たり後ろに引いたり。駆け引きっぽさはあるけど、見ているのは自分の心拍数とペースだ。160拍前後で時に3分50秒台から4分一桁秒。上りでは4分20秒台で淡々と進む。
スタート時はきれいな青空だったけど、一転厚めの雲が広がり、気温もぐんと下がった感じ。寒いと騒ぐほどでもないけど汗も流れない、そんな気候。気になるのは大丈夫とテーピングもしなかった左足。ふくらはぎに痛みが出ているのだ。まぁ、今さら悔やんでも仕方ないから気にしないで行くことにする。
老眼鏡をかけていないからラップボタンを押したときに表示される数字をきちんとは読み取れていないが、5kmごと21分は確実に切るペースであることは間違いない。いいじゃないか。
10km過ぎからは時々レースで見かけている超ベテランランナーとずっと併走している。この人と走っていれば間違いないかなという予感。互いにいい感じだし。前にはず~っと馬のかぶり物に尻尾付きランナー。沿道からの声援を一身に受けている。余裕だ。
 
中間点は早々にやってきた。1時間27分台と思っていたけど、いったん時計を止めてしまっていたんだ。実は1時間と28分。ペースはキロ4分5~10秒あたりで非常に安定。呼吸ももちろん安定。周りのランナー達も安定。給水でずっと併走していたベテランさんがいなくなってしまい、かわりにキリッとしまった若者がピタリ横に。思わず声をかけてしまった。こんな感じで行きたいですねと言った途端、ペースアップされてしまった。
でも、あと半分だけど、今のこの感じならどこまでも行けそうだ。序盤に気になっていた左ふくらはぎの痛みにも慣れた。どうってことない種類の痛みだ。心配なのはとにかく痙攣。どうか今日は寝たままでいておくれと祈りつつ。
 
25kmの坂もあっさりと通過。3つ用意していたカーボショッツの第一弾を投入。脳の血糖値をこの辺で引き上げよう。脳の血糖値が下がるともう走るのはイヤだという信号で痛みや疲労感を感じるようになるという。それを未然に防ぐのだ。今回は25km、30km、35kmで投入。
30km手前、後方から笑石人さんが颯爽と来た。勝田はここからですよ~と。もう少しついて行きたいがちょっと走力に差がある。トレードマークのオレンジのバンダナを目印に後を追う。いつもは失速気味の区間。今年はまだまだ快調だ。
30km地点は2時間5分!という係員の声でタイムを知る。計算能力は下降気味。
32kmあたり、5年前の勝田でmakotoさんにかわされた場所だ。まだまだ行けますよ、頑張りましょうと檄をもらったが全くついていけず、以後撃沈した苦い思い出がある。
「20年前の自分」と勝負をかけ、やっぱり1時間28分で中間点を過ぎたがその後つぶれた。その場所を元気に通過。35km地点までの長いアップダウンが繰り返される難所では一気に足がきつくなってきたけど、ストライドを伸ばしペースは何とか維持。一瞬いつも最初に痙攣が来る左のハムストが不安になり、早めに安全ピンを投入しておこうかとの思いがよぎる。が、安全ピンをとりはずす動作もストレスだ。大丈夫だ。まだ大丈夫だ。そんな時にヨッシーの父さん繋がりのかやっちさんの2度目の応援を受ける。
 
残り7km。フルマラソンは35kmからがスタートだ。今さらながらにそのつもりでもう一度気合いを入れる。ただ、今現在のペースを維持するためには心拍数を上げざるを得ない。痙攣のリスクが高くなるのでその加減が肝心だ。ママチャリで移動応援中の雲助さんに遭遇。通り過ぎたけど戻ってきてくれた。足は残っていそうですねぇ。う~ん、かなりきついはきついけど、そうまだ大丈夫だ。実際にはすり足走法だけど頭の中のイメージは早稲田の大迫くん。さっそうと走り続けるのだ。
大通りへ出た。いつもはヘロヘロの場所だ。足は出にくくなっているし、ちょっと気を抜くとペースがガクンと落ちそう。必死になってきた。ここまで来たらもう痙攣の心配もないだろう。
直線に入ってからはとにかく前を行く選手を目標に走る。40km通過。もう残り僅かだ。頑張れ頑張れ。サブスリーは絶対に大丈夫。タイムは見ていないけどどれくらいで入れるか。自分へのお楽しみだ。
 
・・・と、そこへ突然、本当に突然だ。ウォー、後ろから悲鳴に近い雄叫び。
ハリ天さん、行くぞぉぉ~!
突然疾風の如く隣に現れたのはさんぽさん。数年前に富士登山競走でドラマを共有してからの仲。今回も彼とはブログやJogNoteを通じて刺激しあい、励まし合ってきた。色々故障や病気に見舞われ、不本意なレースが続いていたが、今日のこの舞台は共に力を尽くそうと誓い合ってきた。
夜叉の形相であっという間に前に出た。後ろからちょっとタイミングが遅れてしまったけどエールを返す。その迫力には圧倒された。何だと、負けるもんか・・っていう気持ちが何故か湧いては来ない。直前にも足を痛めてしまったような様子もあったので心配していたが、元気にゴールへと向かう後ろ姿を見たら、取り敢えず何だか我がことのように嬉しくなってしまった。悔しさはたったの5%だ。今日はかなわない。せめて彼のすぐ後にはゴールしたいと思って踏ん張るが、キックのよく効いた走りでどんどんと前へ前へ。
普段の追い込んだ練習が最後の最後で効いている、遠ざかる後ろ姿を見ながらそんなことを思った。やっぱりどれだけ準備できたかだ。自分だって今日は十分に走れているんだ。
そして、最後の角を曲がりフィニッシュゲートを越える。ちょっとはジーンと来るかと思っていたけど、割とあっさりとゴールが来てしまった。ゴールの計時板をみやると2時間57分十何秒という数字が見えた。そうか、55分にはまだ遠かったけど、自己ベストは達成だ。25年前の若かりしハリ天をとりあえずは抜き去った。よしと静かに頷いたゴールだった。0131_katuta02

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ハリ天狗マネージャーの笑顔いっぱい!

コメント (18)
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