毎日のできごとの反省

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アメリカは対日戦も対独戦もしたくてたまらなかった

2015-05-14 14:30:58 | 大東亜戦争

 マクロに見れば、第二次大戦は米国にとっては世界の覇権を握るためであった。結果から見てみよう。第二次大戦の結果はどうであったか。敗戦国から言えば、イタリアは元の木阿弥。ドイツは大ドイツの復活ならず、第三帝国は崩壊し、分割されてヨーロッパの2小国となった。

 戦勝国から言えば、英国を筆頭とするヨーロッパ植民地帝国は崩壊した。ソ連は半植民地たる「衛星国」東欧を手に入れ、支那と北朝鮮を勢力圏に入れた。米国は、日本各地に陸海空の基地を展開し属国としたが、支那への伸張には失敗した。結局ソ連だけが拡大し、米国と対峙することとなった。米国は日独の代わりに、中ソという共産帝国と対峙する羽目になったのである。

 結局、米国は英国、日本、ドイツの追い落としに成功したものの覇権をソ連と二分することになった。ソ連をなめていたのである。伝統的にロシアと支那の強みは縦深性にある。という訳で、アメリカは英独日を追い落として覇権を握らんとしたが半分成功し、半分失敗したのである。

 英国は植民地を取ってしまえば、ただの島国である。ドイツは、それ自体で実力があるから危険である。特にヒトラーのドイツは極めて危険だと感じたのである。日本には・・・非白人かつ非キリスト教国でありながら、文明国として、西欧諸国と肩を並べるに至った・・・生理的な嫌悪感を感じていたのである。

そのことと欧米人が個人として、日本人と友情を結んだものが限りなく多いこととは別の次元の話である。また戦前の米国人にも満州事変への理解を示したり、「東京裁判」で日本人のために職を賭した弁護士がいたこと、はたまた最近でも戦前の日本の立場に深い理解を示す英国人記者ヘンリー・S・ストークスがいたりする。そのこともまた欧米人の層の厚さを示すものであって、総体として欧米が日本とどう対峙したかは別の話である。

対独戦の動機は一般的には英国を救うためであるとされている。最近では前述のように、英国を世界の覇権から追い落として、入れ替わるという動機もあったという説もあるが、これにらついてはこれ以上言及しない。

問題は対独戦とは関係なく対日戦も、したかったのではないかということである。そのことはぼんやりと考え続けていたが、決定的にしたのは「『幻』の日本爆撃計画」という本を読んだからである。別稿でも紹介したように、時期的には対独参戦と符合するにしても、日本本土を大規模に爆撃する、ということが対独参戦の方便としては、あまりに無謀過ぎ、あまりに日本をなめているのである。

当時、日本は支那事変に四年もかかり、経済的にも軍事的にも疲弊していて、対米戦を遂行できる力は残っていないと考えたられていたのではなかろうか。日本本土を数回大規模な空襲を行えば、日本は崩壊してしまうと考えたのではなかろうか。

日本には極一部を除いて維新開国以来、対米戦を本気で考えた者は少ない。むしろアメリカ大好きが、現代と同じく一般的風潮であった。石原莞爾の世界最終戦論などは、日米の勢力が他を凌ぐから対立関係となり、最終決戦を行うという、理由の裏付けなき空想であり、あまりに観念的であり、現実味がない。石原は支那大陸の覇権構想への日米の介入が日米戦争を誘発すると考えていた。そのことは正しいのだが、世界最終戦争論における日米決戦とは、何の繋がりもないから奇妙である。

一方で米国は自身の実力がついてくると、自ずから太平洋を越えてアジア大陸に進もうとするときの障壁として、また人種的偏見から日本を主敵と看做していて、機会あればつぶそうと考えていた。明らかに対日戦をいつか行うと考えていたのである。その時期は日露戦争以前に遡るのであろう。

だから戦争の主体となる海軍の戦備は対日戦用そのものであった。日本海海戦でロシア海軍は滅び、再建されなかった。第一次大戦で敗れたドイツも同様である。ドイツは第二次大戦では艦隊を編成して運用するのではなく、必要に迫られたとはいえ、戦艦にさえ商船攻撃を主任務とする愚行をしたのである。重装甲と巨砲が商船攻撃に必要ではあるまい。英海軍が米海軍と砲火を交えることはない。やはり米海軍は対日戦備を主目的としていたのである。

対日戦備が充実凌駕しつつあった時期に、日本は支那事変により消耗しつつあった。海軍の血たる石油を握っているのはアメリカ自身である。蘭印の石油を日本が狙ったとしても、それで全て賄える訳でもなく、本土への輸送の必要もある。何よりオーストラリアの方が近いから、阻止は容易である。かく考えると、新戦艦10隻が次々と船台から降り始めた昭和16年は正にチャンスであった。米国はかねてからの強い願望を実行したのに過ぎない。

 


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