褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 いぬ(1963) フランス製のギャング映画の傑作

2021年03月21日 | 映画(あ行)
 ハリウッド製のギャング映画となるとアクションの比重が色濃くでるが、フランス製のギャング映画となるともう少し人間性が描かれる。今回紹介する映画いぬだが、ガンファイトやド派手なシーンは控え目。しかし、フランス製らしく非常にキャラクター性が活かされており、全編に渡りシャープな演出が冴えわたる作品だ。しかも、当時フランスで売り出し中のジャン=ポール・ベルモンドが抜群に格好良い。
 さて、タイトルの『いぬ』だが、暗黒街を描いた映画を多く見ている人ならば知っていると思われるが、ギャングに入り込んでいる警察への密告者のこと。実は本作の原題はフランス語でLe Doulos。これを訳すと『帽子』。この言葉がフランスの警察やギャングでは隠喩として密告者のことを意味する。これは映画の冒頭でも説明されるが、このことを意識して観るとラストシーンで少しばかり得することになる。

 邦題の『いぬ』という平仮名のタイトル名がダサいのだが、なかなか格好良いシーンが見られるストーリーの紹介を。
 強盗の罪で6年の刑期を終えて出所したばかりのモーリス(セルジュ・レジアニ)だが、豪邸の金庫破りの仕事に取り組む。簡単に成功できるかと思われた仕事だったのだが、犯行時に警察に取り囲まれ仲間は死に、自らは警察に捕まってしまう。かねてから親友のシリアン(ジャン=ポール・ベルモンド)が警察の密告者であるとの噂があったのだが、今回の件で疑惑が確信に変わる。モーリスは刑務所からシリアンへの復讐を誓うのだが・・・

 色々と登場人物の名前が出てきたりで細かいところで内容が掴みづらい面があるが、実はシリアンは本当に警察の『いぬ』なのか、どうなのか?というのが大きなテーマ。構成が巧みで観ている側をミスリードするような演出が成されている。まあ、真相なんかは想像するところに落ち着くのだが、その後のどんでん返しが最高のエンディング。悲しさ、格好良さ、友情、そして日本人にも通じるようなワビサビの世界を一気に体現してくれる。俺なんかは観終えた後にこれは凄い映画を観た気分になった。
 もちろん途中のシーンでも格好良い場面は出てくる。ジョン・ウー監督のアクションシーンを思い出させるような至近距離での撃ち合い(?)なんかは印象深い。本作を観れば後々の香港ルノワール系の作品に大きな影響を与えていることが理解できる。
 登場人物と名前が一致しなくてストーリーがわかりにくいという意見があるかもしれないが、そんなのは最初だけ。途中からはそんなことは気にならないぐらい面白い。それに女性に対する扱いが酷いなどの批判があるかもしれないが、それを逆手にとったかのような展開も楽しい。男のダンディズムを感じさせたりで、まだまだ褒めたりないような気もするが、ギャング映画の傑作として今回はいぬをお勧め映画に挙げておこう。

 監督はジャン=ピエール・メルヴィル。彼の犯罪映画の数々は後々の多くの映画人に多大な影響を与えた。我が国の北野武監督もその一人。彼のお勧めはアラン・ドロンがクールな暗殺者を演じたサムライ、ナチスドイツに対するレジスタンス組織を描いた影の軍隊、急に運が回ってきた男の運命を描く賭博師ボブ、不思議な縁で結ばれる犯罪者たちを描いた仁義がお勧めです。
 
 
 
 

 



 

 

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