褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 黄金の腕(1955) 麻薬がテーマですが・・・

2023年07月24日 | 映画(あ行)
 1960年代までのアメリカ映画においてヘイズ・コードと呼ばれる色々と規制される項目があった。例えば、裸、ベッドシーン等等。その中には麻薬をテーマにした作品もヘイズ・コードに引っ掛かるが、そんなタブーをぶち破って制作された映画が今回紹介する黄金の腕。本当に世の中には悪い奴がたくさん居るが、本作も薬漬けから抜け出して人生を一からやり直そうとするフランク・シナトラ演じる主人公の脚を引っ張る奴が登場する。とことん弱みに付け込んで利益を貪ろうとする悪党は何時の世にも居るのが本作を観ればわかる。

 さて、麻薬を断ち切れない意志の弱い男だけでなく、他にも弱い人間が登場するストーリーの紹介を。
 六カ月の療養生活を終えて故郷に戻ってきたフランキー(フランク・シナトラ)。彼は『黄金の腕』と異名を付けられるほどの凄腕ディーラー(トランプを配る親のこと)として、この町の近辺では有名人であったのだが、彼は新しい生活を進もうと療養生活中にドラムを覚えドラマーとして生きていく決心をしていた。しかし、『黄金の腕』を持つフランキーを昔の仲間が待ち構えており、彼らは麻薬をチラつかせながら、ディーラーへの道へ引きずり込もうとする。
 フランキーは妻のゾシュ(エリノア・パーカー)が待つアパートに戻るが、彼女は車椅子の生活を強いられていた。それはフランキーの飲酒運転が原因の事故であり、それでもゾシュはフランキーを愛しており、フランキーも自らの過ちに対する贖罪からゾシュの面倒を一生見るつもりでいた。しかし、ゾシュはドラマーを目指すフランキーに対し将来性を見出すことが出来ずに、ディーラーとしての道に戻って欲しいと願い、そんなフランキーを責める。
 やり場のないフランキーは再び麻薬に手を染めてしまい、再びゾシュの願い通りにディーラーとしての道を歩き出すのだが・・・

 せっかく新しい人生を切り開こうとしているフランキーに襲い掛かる踏んだり蹴ったりの事態。かつての賭博仲間だけでなく、妻のゾシュも純粋にフランキーの事を愛しているのかと思ってたら、実は結構な悩みの種であったり、ドラマーになるための面接も前日から当日にかけての徹夜でのトランプ賭博を強要されるわ、薬切れの禁断症状に襲われたりで、もちろんドラマーになるためのテストは手が震えて大失敗。しかも、人殺しの疑いまで掛けられる始末。すっかり神様からも見放されてしまったかのような絶望感が漂うが、そこは悪党が居れば、困った時に助けてくれる善人もいる世の中。本作を観ていると改めて、どんな困難な目に遭っても決して諦めてはいけないと思わせる。
 実は俺が本作で気に入ったのがストーリーよりも全編に流れる格好良いジャズ音楽。ストーリーだけだったらワザワザ本作を紹介することは無かった。薬物をテーマにした映画と格好良い音楽の組み合わせがこれ程までに相性が良いとは我ながら驚いた。そして、タイトルバックが非常にお洒落。この時代にこれ程までに凝ったデザイン性を感じさせるタイトルバックはあまり記憶に無いぐらいの出来栄えであり、ストーリーが始まる前から惹きつけられる映画だ。
 ストーリーと音楽が見事にハマっている映画を観たい人、麻薬の怖さを知りたい人、中身よりもタイトルバックに興味がある人、ボロボロになる人間を見たい人等に今回は黄金の腕をお勧め映画に挙げておこう

 監督は社会派映画の良品を連発するオットー・プレミンジャー。本作なんかはヘイズ・コードをぶち破るあたりは面目躍如たる作品ですが、他には法廷劇の或る殺人、現代版(1960年の作品ですが)十戒(じゅっかい)とでも言うべき作品の栄光への脱出がお勧め

 
 

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