常に観る者に対し、挑発し続けるかのような作品を連発するミヒャエル・ハネケ監督。これまた常人には理解できないような愛の形を描いたのが今回紹介する映画愛、アムール。長年付き添った老夫婦の物語を通して、これぞ至高の愛だと声高に叫ぶかのようなハネケ監督の押し付けがましい主張から、果たして観る者は何を感じ、何を得るのか。それとも何だ、こりゃ?となってしまうのがオチなのか
いきなり冒頭からハネケ監督らしい不穏な雰囲気が漂うシーンから始まるが、その後は2人のお年寄りが出ずっぱりの介護物語。長年もの間において良きパートナーだった老夫婦は高級アパートに平和に暮らし、文化人として尊敬されながらも、ある日突然に襲ってくる老いの症状が現われる。一瞬にして、それまで築いてきた物がガラガラと音を立てて崩れていく様子に、観ている我々は過酷な現実を目の当たりにする。
このような出来事は『俺には関係ねぇ~よ』と思いながらも、実は心の中では人生の中で最も恐れていることであり、直視することを避けていた問題。あくまでも俺だけかもしれないが、最良の人生のフィナーレの方法を考えてしまった。しかし、悲しいことに今の俺にはいずれ訪れる老いに対する準備もできていなければ、そのことに立ち向かう勇気がない。
さて、殆んどの時間を老人同士による介護のシーンばかりだが、果たしてこの映画は介護の大変さを訴えた社会派映画なのだろうか?実は、この老人夫婦の間にしか理解できないような愛の形を描いたストーリーとはいかなるものか。
パリの高級マンションに暮らすジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)とアンヌ(エマニュエル・リヴァ)の老夫婦はお互いが音楽家。今まで仲睦まじく暮らしていて、愛弟子の音楽会にも参加するなど非常に満ち足りた生活を送ってきた。
しかし、ある日のこと。突然妻のアンヌ(エマニュエル・リヴァ)が発作を起こしてしまう。病からくる発作であり、高確率で成功するはずの手術を受けるのだが、なんと失敗。その結果、アンヌ(エマニュエル・リヴァ)は半身麻痺になってしまい、車生活を強いられる。病院嫌いのアンヌ(エマニュエル・リヴァ)の我が儘な要求を受け容れ、ジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は彼女を入院させるのではなく、自宅で介護する道を選ぶ。しかし、アンヌ(エマニュエル・リヴァ)の症状は心身ともに酷くなるばかり。やがて夫のジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)にも疲労が襲ってくるのだが・・・
精神も肉体もボロボロになっていく老夫婦の様子が痛ましいが、俺なんかは、わざわざ荊の道を進まなくても、もっと楽な方法があるじゃん!なんて思いながら観ていたし、実際に老夫婦の娘エヴァ(イザペル・ユペール)が登場して、父親のジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)に対するアドバイスなんかは誰もが思う当たり前の意見を言ったりしている。
しかしながら、この老夫婦の愛の絆、形、その達する所は実の娘でも理解できないように、俺のような若造がアレコレと口出しすることが野暮なように思えてくる。この世の中を見ていても、どうしてこんなにも可愛くて、綺麗な女の子が、こんなおっさんと付き合っているんだ?、と不思議に感じることもあるが、それとて他人から見れば不思議でも、お互いの仲には2人にしかわからない世界があるのと一緒。それはさておき、老夫婦の介護映画、ではなく恋愛映画とはこれほど悲しく孤独なのかと感じたり、少数意見かもしれないが、これほど力強く美しい物なのかと感じられる映画愛、アムールは、ミヒャエル・ハネケ監督作品と聞いて心がウキウキしてくる人は勿論だが、それ以外の人にもお勧めしたい作品です
監督は前述しているようにオーストリア出身のミヒャエル・ハネケ監督。本作ではカンヌ映画際のパルムドール賞に輝くなど、その実力は折り紙つき。個人的にはファニー・ゲームが真正面から金属バットで殴られたような衝撃をくらったかのような作品でお勧め
他には食卓を見ていたら楽しくなってくるセブンス・コンチネント、一瞬のドッキリシーンが楽しい社会派作品でダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュ共演の隠された記憶、後味の悪さが極めつけのピアニスト、これまたカンヌ映画祭パルムドール賞に輝いたドイツの寒村舞台にしたミステリー白いリボンがお勧め。(注:多くの人はこの監督の作風が合わない可能性が高いです)
主演の夫役のジョルジュを演じるのが、多くのヨーロッパの名作に出演するジャン=ルイ・トランティニャン。コスタ=ガヴラス監督の社会派サスペンス映画の傑作でイヴ・モンタン共演のZ、ベルナルド・ベルトルッチ監督の暗殺の森等がお勧め。他には男と女は個人的にはハァ~?ってな感じでしたが名作の誉れが高い映画です。
奥さん役でエマニュエル・リヴァ。何とこの人は二十四時間の情事の主演した女優さんでした。映画は名作の誉れが高いとだけ述べておきます(個人的には眠かった)。
娘役で出番は少ないですが、フランスを代表するイザベル・ユペールが出演しています。本作と同じミヒャエル・ハネケ監督のピアニストの主演女優です。フランソワ・オゾン監督の8人の女たちは豪華キャストでお勧め。
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いきなり冒頭からハネケ監督らしい不穏な雰囲気が漂うシーンから始まるが、その後は2人のお年寄りが出ずっぱりの介護物語。長年もの間において良きパートナーだった老夫婦は高級アパートに平和に暮らし、文化人として尊敬されながらも、ある日突然に襲ってくる老いの症状が現われる。一瞬にして、それまで築いてきた物がガラガラと音を立てて崩れていく様子に、観ている我々は過酷な現実を目の当たりにする。
このような出来事は『俺には関係ねぇ~よ』と思いながらも、実は心の中では人生の中で最も恐れていることであり、直視することを避けていた問題。あくまでも俺だけかもしれないが、最良の人生のフィナーレの方法を考えてしまった。しかし、悲しいことに今の俺にはいずれ訪れる老いに対する準備もできていなければ、そのことに立ち向かう勇気がない。
さて、殆んどの時間を老人同士による介護のシーンばかりだが、果たしてこの映画は介護の大変さを訴えた社会派映画なのだろうか?実は、この老人夫婦の間にしか理解できないような愛の形を描いたストーリーとはいかなるものか。
パリの高級マンションに暮らすジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)とアンヌ(エマニュエル・リヴァ)の老夫婦はお互いが音楽家。今まで仲睦まじく暮らしていて、愛弟子の音楽会にも参加するなど非常に満ち足りた生活を送ってきた。
しかし、ある日のこと。突然妻のアンヌ(エマニュエル・リヴァ)が発作を起こしてしまう。病からくる発作であり、高確率で成功するはずの手術を受けるのだが、なんと失敗。その結果、アンヌ(エマニュエル・リヴァ)は半身麻痺になってしまい、車生活を強いられる。病院嫌いのアンヌ(エマニュエル・リヴァ)の我が儘な要求を受け容れ、ジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は彼女を入院させるのではなく、自宅で介護する道を選ぶ。しかし、アンヌ(エマニュエル・リヴァ)の症状は心身ともに酷くなるばかり。やがて夫のジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)にも疲労が襲ってくるのだが・・・
精神も肉体もボロボロになっていく老夫婦の様子が痛ましいが、俺なんかは、わざわざ荊の道を進まなくても、もっと楽な方法があるじゃん!なんて思いながら観ていたし、実際に老夫婦の娘エヴァ(イザペル・ユペール)が登場して、父親のジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)に対するアドバイスなんかは誰もが思う当たり前の意見を言ったりしている。
しかしながら、この老夫婦の愛の絆、形、その達する所は実の娘でも理解できないように、俺のような若造がアレコレと口出しすることが野暮なように思えてくる。この世の中を見ていても、どうしてこんなにも可愛くて、綺麗な女の子が、こんなおっさんと付き合っているんだ?、と不思議に感じることもあるが、それとて他人から見れば不思議でも、お互いの仲には2人にしかわからない世界があるのと一緒。それはさておき、老夫婦の介護映画、ではなく恋愛映画とはこれほど悲しく孤独なのかと感じたり、少数意見かもしれないが、これほど力強く美しい物なのかと感じられる映画愛、アムールは、ミヒャエル・ハネケ監督作品と聞いて心がウキウキしてくる人は勿論だが、それ以外の人にもお勧めしたい作品です
愛、アムール [DVD] | |
ジャン=ルイ・トランティニャン,エマニュエル・リヴァ,イザベル・ユペール | |
角川書店 |
監督は前述しているようにオーストリア出身のミヒャエル・ハネケ監督。本作ではカンヌ映画際のパルムドール賞に輝くなど、その実力は折り紙つき。個人的にはファニー・ゲームが真正面から金属バットで殴られたような衝撃をくらったかのような作品でお勧め
他には食卓を見ていたら楽しくなってくるセブンス・コンチネント、一瞬のドッキリシーンが楽しい社会派作品でダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュ共演の隠された記憶、後味の悪さが極めつけのピアニスト、これまたカンヌ映画祭パルムドール賞に輝いたドイツの寒村舞台にしたミステリー白いリボンがお勧め。(注:多くの人はこの監督の作風が合わない可能性が高いです)
主演の夫役のジョルジュを演じるのが、多くのヨーロッパの名作に出演するジャン=ルイ・トランティニャン。コスタ=ガヴラス監督の社会派サスペンス映画の傑作でイヴ・モンタン共演のZ、ベルナルド・ベルトルッチ監督の暗殺の森等がお勧め。他には男と女は個人的にはハァ~?ってな感じでしたが名作の誉れが高い映画です。
奥さん役でエマニュエル・リヴァ。何とこの人は二十四時間の情事の主演した女優さんでした。映画は名作の誉れが高いとだけ述べておきます(個人的には眠かった)。
娘役で出番は少ないですが、フランスを代表するイザベル・ユペールが出演しています。本作と同じミヒャエル・ハネケ監督のピアニストの主演女優です。フランソワ・オゾン監督の8人の女たちは豪華キャストでお勧め。
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