褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 1900年(1976) 長時間映画ですが。

2013年03月14日 | 映画(数字、アルファベット)
 日本には愛のむきだしという4時間以上の長い映画があったが、変態パワーで強引に押し切った作品で観ていて飽きないし面白い。ところが今回紹介する映画1900年愛のむきだしですらビックリの5時間を超えるなが~い作品。しかも、エログロ、変態度においても決して負けてないし、20世紀初頭から半ばまでの激動のイタリアの時代をお勉強した気分にもなれる映画。変態と知性という相反するような内容が込められた得な気分になる映画であり、しかも面白い。確かに5時間以上も時間を割いて観たのに面白くなかったら、きっと一週間以上はショックで寝込んでしまったはずだ。

 20世紀初頭から第一次世界大戦を経て第二次世界大戦が終了までの激動のイタリアを描き、エログロだけではなく社会主義が成立していく過程を学べるストーリーとは、如何なるものか
 1900年の大農園において、同じ日に2人の男の子が生まれる。一人は大農園の地主であるアルフレード(バート・ランカスター)の次男で跡継ぎのジョヴァンニ(ロモロ・ヴァリ)の息子であり、祖父と同じ名前を付けられるアルフレード(ロバート・デ・ニーロ)、もう一人はアルフレード(バート・ランカスター)に仕え、親友でもある小作人のレオ(スターリング・ヘイドン)の孫であり、父無し子のオルモ(ジェラール・ドパルデュー)。
 2人は幼い時から親友同士だったが、第一次世界大戦を経てアルフレード(ロバート・デ・ニーロ)はやがて大農園の地主になり、オルモ(ジェラール・ドパルデュー)は農民同盟の社会主義の闘士になり、2人の仲はギクシャクしだす。
 やがて訪れるファシズムの台頭にアルフレード(ロバート・デ・ニーロ)もオルモ(ジェラール・ドパルデュー)も過酷な運命に巻き込まれるのだが・・・

 大農園の一家三代の物語がイタリアの現代史を辿るようなイメージ。社会主義の考え方が現われてくるのが必然性があるということがよくわかるし、ファシズムの思想ですら極悪でありながら誕生するのに必然性があるということも感じる。早い話が『地主と小作人』の対立が階級闘争を呼び、階級闘争が社会主義を生み出し、社会主義がファシズムを呼ぶ。極悪だと考えられるファシズムの誕生ですら大きな歴史の中で見ると、必然性を持っていることを、この映画を観て感じるのは俺だけか。
 
 しかし、この映画のファシズムの描き方が凄い。大農園の管理者として雇われるアッティラ(ドナルド・サザーランド)がファシズム代表として描かれるが、こいつの行動がとにかく半端では無い。猫を殺すシーンはえげつないし、また子供をジャイアントスイングで振り回すシーンは驚愕する。逆に顔中を牛糞まみれにされるなど、ファシズムを徹底的に悪者に仕立て、制裁を加えるところは、ベルトルッチ監督のファシズムに対する怒りが充分に伝わってくる。

 スターリン万歳と子供が叫んだり、ソ連の国旗がたくさん出てきたり、共産党の歌が流れたり、左翼思想のイデオロギーに傾いた政治映画と言えるが、この映画が凄いのはエロ描写。例えば、バート・ランカスター演じる地主の老人が女の子に自分のペニスを握らせながら『もう立たない』と嘆いたり、ロバート・デ・ニーロジェラール・ドパルデューの娼婦との3Pのシーン、ロバート・デ・ニーロと情緒不安定のドミニク・サンダのセックスシーン等など、エロ描写が長い時間を持たせるためでは無く、人間の老い、欲望、支配と言った象徴的シーンに使われていること。それにしてもベルナルド・ベルトルッチ監督は本当に何の恥ずかしさも無くエロシーンを描くが、この映画が公開された当時はまだ35歳ぐらいだったはずだが、流石は巨匠と呼ばれる人は我々のような凡人には無いセンスがあると感心した。

 エログロ、暴力、糞まみれ、イデオロギー、アル中・・・なんだかボロボロの素材がたくさん集められて出来上がったような映画だが、映像の美しさが特筆。CGでは無い自然の美しさが印象派の絵画を観ているような錯覚に陥る。今までで僕が知るところの中では最も風景が綺麗に撮れている映画だ。
 そして映画音楽の巨匠として知られるエンニオ・モリコーネ(ニュー・シネマ・パラダイス、海上のピアニスト等)の音楽が素晴らしい。
 綺麗な映像、音楽は芸術の極みを感じさせ、それでいて人間の汚い欲望をハードに描き出し、歴史のお勉強をした気分になり、実は最後は笑える?1900年は一度は観ることをお勧めしたい映画です

1900年 (2枚組) [DVD]
ベルナルド・ベルトルッチ,ジュゼッペ・ベルトルッチ,フランコ・アルカッリ
紀伊國屋書店


1900年 Blu-ray (2枚組)
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 実はこの映画は20年前に映画館で観ましたが、長時間の映画はDVDで観るより映画館で観た方が良いですね。当時よりも色々と僕も知識は増えたので新しい発見がありました。ラストシーンが全く記憶から抜けていました。そして映画館で再上映される時は、絶対に観に行こうと思いました。
 
 監督は前述したベルナルド・ベルトルッチ監督。この監督の特徴は本文にも書きましたが華麗な映像が挙げられると思います。暗殺の森は流麗なカメラワークが印象的でお勧め。他に有名どころではラスト・エンペラーも映像が印象的でした。
 他にデブラ・ウィンガーとジョン・マルコビッチ競演のすっかり冷め切った夫婦の絶望的な様子を描いたシェルタリング・スカイ、殆んどポルノ映画?と思うようなエヴァ・グリーン主演のドリーマーズ。他に個人的にはそれほどエロイと思わないし、よくわからない内容のラスト・タンゴ・イン・パリも評価が高く有名な作品、一度は観た方が良いのかな?

 実はこの映画は相当な豪華キャスト。当時のベテランの大スター、現在の大スターが出演しています。
 主演のアルフレードを演じるのがロバート・デ・ニーロ。まだこの映画の出演時は若い。最近は手当たり次第にあらゆる映画に出演しているイメージがありますが、多くの名作に出演している大スター。お勧め作品は多くありますが、個人的にはミッドナイト・ランが最も気に入っています。

 もう一人の主演のオルモを演じたのが今やフランスの名優であるジェラール・ドパルデュー。本作品での彼の若いのにビックリしました。体形も全然違う
 彼のお勧め作品はアメリカの永住権を収得するために、アレコレと手を尽くすフランス人を演じたグリーン・カード、フランソワ・トリュフォー監督の終電車が良いです。比較的最近ではあるいは裏切りという名の犬というフランス製刑事映画が良いです。

 ファシズムに陶酔するアッティラを演じたのが、現在も個性派として活躍するドナルド・サザーランド。ロバート・アルトマン監督のM★A★S★H マッシュ、クリント・イーストウッド監督のスペース・カウボーイ、ロバート・レッドフォード監督の普通の人々が良いです。

 地主の老人アルフレードを演じたのがバート・ランカスター。この人は多くも名作に出演している大スター。西部劇でロバート・アルドリッチ監督、ゲイリー・クーパー主演のヴェラクルスがお勧め。ワイアット・アープを演じたOK牧場の決斗等。他にケビン・コスナー主演の感動映画フィールド・オブ・ドリームスも印象的。

 ロバート・デ・ニーロ演じるアルフレードの奥さんアダを演じたのがドミニク・サンダ。彼女のお勧め作品は本作品と同じくベルナルド・ベルトルッチ監督の暗殺の森。とにかく妖艶なイメージがありますが、暗殺の森に出演していた時は、まだ19歳だったことに今さらながら驚きです。

 他にアスファルト・ジャングルゴッド・ファーザー,現金に体を張れなど多くの名作に出演しているスターリング・ヘイドン第三の男夏の嵐等、これまた多くの名作に出演しているアリダ・ヴァリ等も印象的です。

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