褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 現金に体を張れ(1956) 脱力感に襲われます

2016年05月09日 | 映画(か行)
 時間軸が過去に戻ったり、アッチコッチに行ったりして描く手法の映画は最近ではそう珍しくもないが、当時の映画の手法としてかなり画期的な作品が今回紹介する映画現金に体を張れ。競馬場を舞台にした大金強奪犯罪の意外な顛末を描いた傑作だ。
 人生の負け犬たちが一発大逆転を狙って大金強奪を企むストーリーの映画なんてワンサカあるが、最近アップしたアスファルト・ジャングルも同じようなタイプの映画。だいたいどの映画も結末は欲に目が眩んで仲間割れを起こしてしまい、悲劇的な結末が訪れるパターンが殆んど。しかし、俺に言わせれば結末以前に計画段階から既に破綻が生じてしまっているために、そりゃ~ダメだろうと思える映画ばかり見せられている気分になったりする。特にこのような映画を観て思うことはアメリカ人は本当にチームワークが悪い。

 さて、本作だが強盗そのものは緻密で計画バッチリ。首謀者の人望が厚いようで、なかなかのリーダーシップを発揮してうまくチームを纏め、しかも分単位どころか秒単位での事細かな時間割まで決められていたり、非常に細かいところにまで気を遣った競馬場での大金強奪の様子が見ることができる。まあ、見ているとチョッと失敗しそうな場面も出てきたりするのだが、これが緊迫感を高める効果を生み出したりしている。
 しかしながら、数名がチームを組んでいると必ず1人はどうしようもない奴が出てくる。本作においても例外ではなく、競馬場の売上金200万ドルを強奪しようすうる大それた犯罪計画なのに、それをバラしてしまう口が軽い奴が登場。また、個人的な事情があるとは言え、バラす相手が悪過ぎ。この映画を観ているとお金って人をダメにすることだけでなく、性悪女ってとんでもない災いを招くことを人生訓として感じることができる。

 さて、競馬場での大金強盗の一部始終だけでも面白く描かれているが、実はそこからの二段落ちに衝撃が走るストーリーを簡単に紹介を。
 刑務所から出たばかりのジョニー(スターリング・ヘイドン)は数名の落ちこぼれや貧困にあえぐ男達を集めて、競馬場の売り上げ金を強奪する話を持ちかける。間違いなく成功するはずの緻密な計画を立てたはずなのだが、メンバーの1人であるジョージ(エリシャ・クック)は美人な妻であるシェリー(マリー・ウィンザー)に近日中に大金が入ることをバラしてしまう。
 さて、いよいよ決行の日がやって来て、まんまと競馬場から大金を強奪することに成功したジョニー達だったのだが、シェリーのとんでもない悪企みの前に事態は意外な方向へ転がっていくのだが・・・

 時間軸がアッチコッチに飛ぶ構成が当時の観客はどう思ったのかわからないが、記憶力の悪い俺にすれば非常に親切な設計。よくサスペンス映画で、コイツ誰だったけ?なんて余計なことを考えさせられて細かい中味が抜けたまま映画を見てしまうハメになることがショッチュウあるが、本作は時間軸が行ったり来たりするおかげで、コイツはそう言えばあの悪徳警官だったよな~って感じで思い出せる仕組みになっている。各々の強盗メンバーの決行当日の行動状況が非常に丁寧かつスピーディーに描かれているために、全くだれるところがない。
 しかし、実はこの映画の見せ場は競馬場での大金強奪シーンが終わってから。メンバー達が大金強奪の祝勝会をあげる前に集まっていたのに、その場が一瞬にして血みどろの地獄絵巻と化すシーンはかなり衝撃的。そして、運良く集合場所に遅れた首謀者のジョニーだったが、彼に訪れる結末は映画史に残るラストシーンを見せてくれる。
 しかし、強奪計画はそこそこ上出来だったのになんでこんな結果で終わってしまったのか?口が軽い男のせいなのか、欲の面の皮が推定30センチの性悪女のせいなのか、それともいきなり飛び出てくる犬が悪いのか。まあ、俺の出した答えは、もっとしっかりしたスーツケースを買っておけ!ということになる。
 犯罪映画が好きな人には大いにお勧めしたいし、スタンリー・キューブリック監督作品と聞いて心が躍る人、そして汗水垂らして働いて手に入れたお金だからこそ価値があることに気付ける映画現金に体を張れを今回はお勧めしておこう

現金(ゲンナマ)に体を張れ [DVD]
スターリング・ヘイドン
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント


 監督は前述したスタンリー・キューブリック。彼のお勧めはたくさんありますが、薄っすら笑える博士の異常な愛情を今回は挙げておこう。


 

 

 

 
 

 

 
 


 

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (映画好き)
2020-02-16 17:32:02
20 年くらい前に偶然BSで見ました、ちょっと古かったですが息もつかぬ展開と1人1人の人間の表し方、本当の性悪女てコイツだろうなぁて思わせる徹底ぶり。ラストもある意味衝撃的で個人的には名作だと思わせる
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映画好きさんへ (ディープインパクト)
2020-02-17 21:36:26
 ラストは力が抜けますね。僕も名作だと思ってますよ。
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