褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 その男ゾルバ(1964) 楽天的に生きる強さ

2023年07月06日 | 映画(か行)
 俺みたいな神経が細くて生真面目な人間は何かと損をすることが多くある。俺と同様の人ならば同じような想いを感じている人が多いだろう。特に羨ましく感じるのが、俺と真逆のタイプの人。特に悩みも無さそうで、女性を見かけたら直ぐに声をかけたり、人と関りを持つのに躊躇しなくて、少しばかり図々しいような人。俺なんかは特に人見知りの性格で、人と仲良くなるのに時間が掛かる。
 さて、そんな真逆のタイプの男を見れる映画が今回紹介する映画その男ゾルバ。堅物の男をアラン・ベイツが演じ、逆に陽気で楽天的な男を名優アンソニー・クインが演じる。
 本作はそんな2人を通して、文化や風習の違い、生と死、衝突を通して人の生きる意味を考えさせられる作品だ。

 それでは、自分の性格を変えたいなんて思わせるストーリーの紹介を。
 亡き父が遺産として残したギリシャのクレタ島にあり、今では閉鎖している亜炭炭鉱を再開させようと英国人作家であるバジル(アラン・ベイツ)は現地へ向かおうとしている。その道中で、どことなく粗野な風貌をしている男が話しかけてきた。その男の名はアレックス・ゾルバ(アンソニー・クイン)。話してみると、この男がなかなか楽しい奴。しかも採掘現場の経験もあり、バジルは彼を現場監督として雇うことに決めてクレタ島へ向かう。
 2人はクレタ島の安宿で泊まることにするが、そこの女主人であり愛想の良いホーテンス(リラ・ケドロヴァ)と女好きのゾルバは直ぐに仲良くなってしまう。一方、バジルの方はこの安宿に来る途中で見かけた美しい未亡人(イレーネ・パパス)のことを気に入るのだが、ゾルバにけしかけられながらも声すらかけられずにいた。
 亜炭採掘の仕事が現地の人を使ってもなかなか上手くいかなかったのだが、ゾルバは森で覆われた大自然を見て林業の方へ仕事をシフトしようとする。そのための道具を買うためにゾルバはバジルからカネを預かり街へ出かけ5日間ほどクレタ島から離れる。
 しかし、5日間の約束を破ってゾルバが若い女と遊んだりして、なかなか帰ってこないことに苛立ったバジルは、その勢いに任せてついに未亡人をゲット。今まで村の言い寄る男連中に対して完全無視していた未亡人だったが、その情報はいち早く村中に伝わってしまう。そのことが切っ掛けで未亡人は一気に村中の人間を敵に回してしまい、バジルの援軍に駆けつけたゾルバだったが、その甲斐もなく未亡人は殺されてしまう。
 ゾルバも成り行きでホーテンスと結婚することになるが、すでに病に侵されていたホーテンスも程なく死亡。しかも、村人達は彼女が死ぬの待っていて、死んだ瞬間にホーテンスの持っている高級品を一つも残らずかっさらってしまい、ゾルバは残されたオウムだけを連れて去っていく。
 いよいよ新しく乗り出した林業の仕事の設備が整い、村中の人を集めて完成祝いをする。しかし、山の上で切った材木を滑らして下まで運搬しようとするのだが、ゾルバの考えた設備はそのスピードや重さといった物理的要素に耐えられずに全部ぶっこわれてしまい・・・

 クレタ島の村人達の閉鎖性及び群集心理に恐ろしさを感じさせられるシーンが目立つ場面もある。しかし、ゾルバがバジルの事を仕事関係中は「ボス」と呼びながらも、それ以外では友達として振る舞う、そのサジ加減が巧みでゾルバのバジルへの尊敬と友情のバランスの良さに感動した。見た目はバジルの方が作家で優等生に見えるが、小汚くて怖そうに見えるゾルバの人間への想いは愛に溢れている。それはバジルに対してだけではなく、すべての人間に対してであり、自分自身に対してもそのように振る舞えるのが非常に羨ましい。
 どんな悲惨な目に遭っても、自らが犯してしまった失敗でも大笑いし、豪快に踊り続けるゾルバのような人間こそ人生の勝者なのかな~なんて俺には思えた。ギリシャを舞台にした映画、普段は細かいことに気が散ってしまいなかなか行動出来ない人、すぐにクヨクヨする人、ノー天気に生きることに憧れる人等に今回はその男ゾルバをお勧めに挙げておこう

 監督はギリシャ人のマイケル・カコニヤス。実はこの監督のことは全く知りません。お勧めの作品があれば逆に教えて欲しいです




 
 
 

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