褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 アメリカン・スナイパー(2014) 伝説の狙撃手の自伝映画

2017年04月23日 | 映画(あ行)
 イラク戦争でアメリカ海軍の特殊部隊ネイビーシールズの狙撃手として160人もの敵を射殺し、伝説と呼ばれた男であるクリス・カイルの自伝映画が今回紹介するアメリカン・スナイパー。伝説と呼ばれるだけあってその腕はピカイチ。2キロ先の相手でも狙い撃つ凄腕だ。
 それだけに戦場では味方にとっては非常に頼りになる英雄として崇められ、俺がアメリカを守るんだという使命感からせっせと敵を撃ち殺す。ところがある日のこと、今日もいつも通りに照準を定めて狙撃銃を構えていると、ふと自分の行動に疑問が生じる。果たして俺のしていることは本当にアメリカを守るためなのか?と。
 父親から教えられたことを信念として行っていたことが、音を立てて脆くも崩れ落ちていくその姿から、そこには伝説も無ければ、英雄も存在しない。伝説と呼ばれたアメリカンな男であるクリス・カイルの精神崩壊は、古き良きアメリカの価値観そのものを問いかける。

 善悪の境界線を明確にする難しさを、あらゆるテーマで描き続けるクリント・イーストウッド監督。そのテーマ性は本作でも遺憾なく発揮され本国アメリカでは保守とリベラルで論争が起こった。観る人によっては賛否両論真っ二つに別れ、また人間の二面性を考えさせられるストーリーの紹介を。
 愛国心に駆り立てられ海軍に入隊し、厳しい訓練をクリアしたクリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)はやがて特殊部隊ネイビー・シールズの狙撃手としてイラク戦争に派遣される。戦闘場面で味方が撃たれそうになっているのを、いち早く察知して逆に敵を狙撃し、多くの仲間を救ってきたクリス・カイルは伝説と呼ばれるようになる。その一方で、敵からは悪魔と呼ばれ、彼自身の首に18万ドルの賞金を掛けられる。
 しかし、彼には戦場での大活躍とは別にアメリカ本国に置いてきている家族との間に次第に溝が出来はじめ、四度に渡るイラク派遣において次第に精神を病んでいき・・・

 父親から『羊を襲ってくる狼から守る番犬になれ!』、すなわち弱き者が襲われていたら助けられる人間になれ!と言われるのだが、クリス・カイルはその言葉を実行し、俺もこのオヤジ良いこと言うね~なんて思った。しかし、ストーリーが進んでいくうちに、カイルだけでなく観ている我々も気付く。アメリカを守る使命感が強すぎて、すっかり家族を守ることを忘れてしまっていること。そして番犬どころか狼になってしまっていること。一人のスナイパーを描きながら、アメリカが抱えている問題を同時に描き出してしまうクリント・イーストウッド監督の手腕は凄い。
 人間の内面を辛辣に描くだけでなく、砂塵に巻き込まれながらの戦闘シーンもそこら中にあるようなアクション映画を凌ぐ出来栄え。緊迫感、悲壮感、迫力を大いに感じる。さらにはアメリカのテロ対策がドロ沼にはまってしまっている理由がなんとなくわかる。
 そしてこの映画の価値を更に高めているのがエンディング。こんな結末が待っていることは作っている側もわからない。時に映画は時代を先読みするが、さすがにこれは読めない。そして、このエンディングのおかげで本当に奥が深い映画になったし、俺個人としてだが感動させられた。
 80歳を超えても楽々と大傑作を世に送り出す映画監督クリント・イーストウッド。観終わった後も余韻に浸れる映画として今回はアメリカン・スナイパーをお勧めとして挙げておこう

アメリカン・スナイパー [DVD]
ブラッドリー・クーパー,シエナ・ミラー,ルーク・グライムス,ジェイク・マクドーマン,ケビン・ラーチ
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント




 
 
 

 
 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ラストがスゴイ (映画マン)
2021-03-08 09:40:43
この作品は私も楽しんで視聴しました。
とにかくラストが衝撃でしたね。
ラストの衝撃の事実を俳優による演技ではなくテロップで示すだけというのも、逆にリアリティがあって良かったです。
映画マンさんへ (ディープインパクト)
2021-03-11 20:00:13
本当に映画マンさんの言う通りです。テロップの効果が侮れないです。

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