褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 大いなる西部(1958) 大自然と人間同士の争いの対比が強烈です

2016年02月11日 | 映画(あ行)
 古今東西を問わず人間同士の争いごとが無くならない世の中だが、その理由を探ってみると本当にチッポケなことが大半。そんなことぐらい直ぐにでも解決できるだろうと思ったりするのもあったりするのだが、どうやら人間なんて想像以上に愚かな生き物らしい。表向きは完全な西部劇を装っているが、人間同士の争いを非常に皮肉的に描いている映画が今回紹介する大いなる西部。従来からあるような勧善懲悪の単純な形式の西部劇ではなく、現代に生きる我々にも何かと多くのことを教示してくれるテーマが本作にはある。

 さて、血湧き肉踊るような壮絶なガンファイトを期待すると肩透かしを喰らってしまいそうになるが、西部劇の分野にヒューマニズムを叩き込んだストーリーとはいかなるものか。
 アメリカの東部から、いかにも洗練された紳士の出で立ちでジム・マッケイ(グレゴリー・ペック)がアメリカ西部の町にやって来た。地元の有力者であるテリル少佐(チャールズ・ビッグフォード)の娘パット(キャロル・ベイカー)と結婚するためである。ところがジムは到着して早々に西部の荒れくれ男達から手荒い洗礼を受けるのだが、ジムは彼らを相手にすることなくそのまま何事もなかったかのようにやり過ごす。
 ところがジムはこの西部の町で厳しい現実を知ることになる。それは町の水の利権をめぐってのテリル家とヘネシー家の暴力辞さずの縄張り争い。テリル家に婿入りしたジムだったが、彼はそんな両家の争いを止めるために、水源地であるビッグマディの持ち主であるジュリー(ジーン・シモンズ)にある提案をするのだが・・・

 東部からやって来たグレゴリー・ペック演じるジムだが徹底的に暴力を嫌う男。そんな男が日常茶飯事的に拳銃を発砲している西部にやって来たらどうなるのか?という設定が面白い。売られた喧嘩を買う勇気も無い腰抜けかと思って観ていると、実はけっこうタフな男。直ぐに西部から逃げ出して東部へ逃げ帰るのかと思っていたら、意外にも西部のことを理解しようと気性の悪い馬に乗ろうと挑戦したり、あれほど否定的だった殴り合いに挑んだり、広大な西部をちょっとばかし観光したりして、体を張って西部の事を少しでも理解しようと勉強する姿はなかなか頼もしい。この男の異なる文明を全て否定するのでは無く、理解しようとする姿勢に現代に生きる我々は見習うべき点が多々あるような気がする。
 印象的なシーンが多い映画だが、そんな中でもグレゴリー・ペックチャールトン・へストンが、ひたすら殴り合うシーンの俯瞰的ショットは人間同士の争いを大自然が悠然と見下しているかのように思わせるし、ラストシーンにおける争っていたテリル家とヘネシー家の親分同士の一騎打ちは時代の波に流されてしまった西部の男たちの最後のプライドを垣間見ることができる。そして冒頭から流れる音楽は、馬車が疾走するシーンと相まって雄大さがありテンションが勝手に上がる名曲だ。
 ちょっと異色的な西部劇を観たいと思っているレアな人、ウィリアム・ワイラー監督の作品と聞いて心が躍る人、争いごとが嫌いな人には映画大いなる西部は観たらきっと満足できる作品としてお勧めしておこう

大いなる西部 [DVD]
グレゴリー・ペック,ウィリアム・ワイラー,ジーン・シモンズ
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント


 監督は前述したようにウィリアム・ワイラー。あらゆる分野で多くの名作を遺したが、今回は彼の演出家としての熟練したテクニックが見られる作品として探偵物語を挙げておこう。

 


 
 
 
 



 
 
 

 
 
 
 
 

 
 
   

 




 

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