褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 許されざる者(1992) 俺が一番の許されざる者です

2013年09月07日 | 映画(や行)
 かつてのハリウッド映画は西部劇に代表されるように、保安官や刑事が無法者を正義の名のもとにバンバン撃ち殺し、それこそハッピーエンドだとばかりに観客も大喜び。しかし、勝つことこそ正義だと信じられてきた時代はそんな映画でも大流行だが、もはや正義という言葉の意味が曖昧になってしまった現在においては、そんな映画はもう流行らない(?)。
 そんな流行にトドメを撃ったのが、今回紹介するクリント・イーストウッド監督の映画許されざる者であり、今日に到るクリント・イーストウッド監督の快進撃は本作から始まる。

 本作品の西部劇の特徴はかつてのような単なるヒーローを描いた勧善懲悪ではなく、正義、法と秩序、権力、復讐・・・等様々なテーマについての是非を考えさせられる西部劇。普段から脳ミソを使って無い人や、ただボケ~ッと観ていただけでは『あ~、面白かった』だけで終わってしまう勿体ない映画。タイトルの許されざる者とは、一体誰なのか?と考えながら観ると、この映画の凄さに気付き、さらに善と悪の境界線の引き方の難しさについて大いに考えさせられるはずだ。

 さて、西部劇の形態を取りつつも、あらゆるテーマについて考えさせられるストーリーとは如何なるものか?
 ある町において、『小さい!』と言われた流れ者のカーボーイの2人が娼婦フィッツジェラルド(アンナ・トムソン)の顔をナイフで傷つける事件が発生。アリス(フランシス・フィッシャー)や他の娼婦たちはカーボーイの2人を吊るし首にすることを望むが、町を牛耳る保安官リトル・ビル(ジーン・ハックマン)は、あまりにもの軽い刑罰で済ましてしまう。
 しかし、納得のいかないアリス(フィッシャー)達はカーボーイ2人の首に賞金1,000ドルを賭ける。
 
 その頃、かつて女や子供達を殺しまくった大悪党だったウィリアム・マニー(クリント・イーストウッド)は今では男1人で子供たちを育て、家畜業を営んでいたが家計がうまくいかない状態。そんなウィリアム・マニー(イーストウッド)の元にスコフィールド・キッド(ジェームズ・ウールヴェット)と名乗る若者がやって来る。賞金1,000ドルを手に入れるために一緒に来ないかと誘ってきたのだ。
 ウィリアム・マニー(イーストウッド)は11年前に出会い、3年前に先立たれた今は亡き妻に『決して人殺しをしない』と固く誓っていたために、最初はスコフィールド・キッド(ジェームズ・ウールヴェット)の申し出を断るが、あまりにもの貧乏さから抜け出るために11年ぶりに銃を持ち、相棒のローガン・ネッド(モーガン・フリーマン)を誘って、リトル・ビル(ハックマン)がいる町へ向かうのだが・・・

 この映画の面白さは、前述したように、あらゆるテーマをぶち込んでいることもあるが、登場人物たちの二転三転するキャラクター振りがあるだろう。
 この爺さん『馬にもきちんと乗れないし、銃の腕前も大したこと無いじゃん』と思っていたら何時の間にやら凄腕ガンマンに変身していたり、逆にお前『メチャクチャ、凄いガンマンじゃん』と思っていたら実はショボかったり、こいつ『今まで5人殺してるのか』と思っていたら実は人を殺したことが無かったり等、最初に思っていたキャラクター振りが裏切られる面白さを感じることが出来る。
 普通の映画ならば、正義の味方は最後も正義の味方で終わるし、ワルもワルのまま終わってしまうが、本作はなかなか単純には終わらない面白さがある。
 しかし、よ~く考えてみれば人間なんて誰しも良い所もあれば、悪い所もある。俺なんかはいつもニコニコしていて良い人に見えるが、本当は腹黒いのと同様だ。

 さて本作を観ていると『タイトルの許されざる者って、実は俺のこと?』なんて考えさせられると言うより、何だか悩んでしまいそうになるが、最初と最後の映像の美しさと見事にマッチした音楽の魅力も捨てがたい。
 そして、最初は情けないクリント・イーストウッドだったのが、銃を構えた時のクリント・イーストウッドがもの凄く格好良い。本作はイーストウッドが監督と主演を兼ねているが、彼のナルシスト振りがわかるシーンが見受けられるのも、ちょっとした遊び心を感じられたりするのもなかなか楽しい。

 本作はアカデミー作品賞にも輝くなど西部劇の傑作として今やすっかり名作としての評価を得ているが、実は同じタイトルでもうすぐ日本映画として渡辺謙主演でリメイク作品が公開される。
 最初日本映画としてリメイクされると聞いた時は、冗談だろ!と思っていたのだが、もうすぐ公開されるとなると今では期待している。日本人の魂を感じることができる作品となっていることを願うのみ。
 俺と同じようにもうすぐ公開される日本版許されざる者を観るための復習のために観るもよし、クリント・イーストウッドの名前を初めて聞くという人もよし、映画ダーティー・ハリーの主人公を演じたことがあることぐらいしか彼の事を知らない人もよし、彼の作品はよく観ているけれど、実はこの映画はまだ観ていなかったという人もよし、とにかく許されざる者はお勧めです

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 監督は前述しているように主演も兼ねるクリント・イーストウッド。彼のお勧め作品となると多すぎる。個人的に最も好きなのが衝撃的結末過ぎて余韻がバリバリ残るミスティイック・リバーをお勧めしたい。
 他に恋愛映画ならマディソン郡の橋、そしてけっこう笑えるブロンコ・ビリーもお勧め。

 保安官を演じるのが名優ジーン・ハックマン。彼のお勧めとなると大スターとなった切っ掛けのフレンチ・コネクション、他にニューシネマの代表作俺たちに明日はない、単なるパニック物で済ましてしまうには勿体ないポセイドン・アドベンチャー、法廷外バトルが楽しめるニューオリンズ・トライアル、彼にしてはユル~イ、キャラクターを演じているザ・ロイヤル・テネンバウムズがお勧め。

 そしてイーストウッドの相棒を演じたのが、これまた名優のモーガン・フリーマン。この人もお勧め作品が多数。アメリカ南北戦争の黒人部隊を描いたグローリー、年を取ることが怖くなくなるドライビングMISSデイジー、個人的にはスティーブン・スピルバーグ監督で最も好きなアミスタッド、クリント・イーストウッド監督で単なるボクシング映画だと思って観てしまうとショックを受けるミリオンダラー・ベイビー、ネルソン・マンデラの自伝インビクタス/負けざる者たち、ベン・アフレック監督で法と正義について考えさせられるゴーン・ベイビー・ゴーン、前述したジーン・ハックマン競演で、ちょっと変わった切り口で見せるサスペンスアンダー・サスピション等、他にもたくさんお勧め作品がありそうです。

 娼婦の役でフランシス・フィッシャー。そう言えば、この人クリント・イーストウッドとの間に子供が居るんでした。タイタニックの意地悪母さんが有名ですが、出演時間は短いながらも弁護士役で印象的だったベン・キングズレー、ジェニファー・コネリー競演の砂と霧の家がお勧め。

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コメント (8)
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