ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

エビスグサ

2018年07月31日 | 草木:草本

 前回のモロコシソウの頁でも書いたが、薬草図鑑を見ていると「あれ、これは見たことあるぞ、写真も撮っているぞ」と気付くものがいくつかでてきた。エビスグサなんて、名前に特徴があるのですぐに判明しそうなものだが、薬草の図鑑を見て、「細長い莢がいくつも」などその特徴を読んでからやっと「あっ」と気付く。一般の植物図鑑では気付かないのに薬草図鑑で気付くのは、薬草図鑑の方がより詳しい写真と説明があるから。

 私はまったく知らなかったが、エビスグサは広辞苑にも記載があり、薬草として有名らしい。広辞苑の説明に「はぶ茶の代用」ともあった。はぶ茶はよく耳にするが、「俺は健康」と自信過剰だったこともあって、薬草茶についてはあまり知識が無く、ハブ茶とはどういうものかも知らないでいた。広辞苑によると「健胃薬、解毒の効」とのこと。
 はぶ茶、本来はハブソウの種子を使うことからはぶ茶だが、市販品のほとんどは本種エビスグサの種子を用いているとのこと。ハブソウは『沖縄四季の花木』に記載があり、エビスグサと同じくマメ科の一年草で、北米南部・メキシコの原産とのこと。ハブソウに比べエビスグサは全体に柔らかい感じ、莢の湾曲具合が大きい。

 エビスというともちろん、恵比寿様のエビスが頭に浮かぶが、飲兵衛は同時にビールも思い浮かべる。美味しいビールだ、貧乏になってからは長いこと飲んでいない。
 本種が何故エビスと名がつくかについては不明だったが、「細長い莢がいくつも」という見た目の特徴と共に覚えやすい名前だと思う。恵比寿様が本種の莢を齧りながらエビスビールを飲んでいる姿を想像して覚えておくことにしよう。

 
 エビスグサ(夷草・恵比須草):野草・薬用
 マメ科の一年草 北アメリカ原産 方言名:チャーマーミ
 名前の由来は資料が無く不明。漢字表記の夷草・恵比須草は広辞苑にあった。しかしながら、夷の草なら「未開の国の草、田舎の草」、恵比須の草なら「歪んだ形の草」、あるいは「霊験あらたかな草」となるのだろうか、いずれも説得力に欠けると思う。別名にロッカクソウとあるが、「莢が六角柱形」ということから来ていると思われる。
 方言名のチャーマーミはおそらく「茶の豆」という意であろう。本種の種子はハブ茶の原料になるとのこと。ハブ茶は、本来はハブソウの種子を使うが、現在では市販品のほとんどは本種エビスグサの種子を用いているとのこと。
 茎は高さ50~100センチほどになる。葉は偶数の羽状複葉、小葉は夕方になると閉じる。花は葉脇から出る花茎の先に1~2個下向きに咲く。黄色で、沖縄での開花期の資料は無かったが倭国では8~10月とのこと。花の後、莢(豆果)を付ける。長さ10~15センチで細長く、形は六角柱形で弓なりになる。25~30個の種子を含む。
 種子は漢方で決明子(けつめいし)と言い、天日干しして、炒って、煎じて服用する。利尿、強壮、便秘、高血圧に薬効があるとのこと。かつては、琉球列島全域で薬草として栽培されていたらしいが、最近はどうなのか不明。
 北アメリカ原産で江戸中期に中国から渡来し、本州~沖縄に帰化。私の住む近辺ではあまり見ない、あるいは私が気付いていない。写真は国頭村で撮ったもの。
 
 花

 記:島乃ガジ丸 2018.7.30 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行 
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行


自然寿命までの努力

2018年07月30日 | 通信-その他・雑感

 腰痛を患って(2017年夏頃)以降、体のあちこちに不具合が生じている。歯がグラグラしている(歯医者の診断では歯槽膿漏)、老眼が酷くなった、頻尿が酷くなったなどなど。老化といえば老化なのだが、「一遍にそんなに来なくても」と少々不満。
 腰痛のことを考えると気が塞ぐのであまり考えないようにしているが、「体が少々不自由になる」と考えると父のことを思い出す。父は50代で脳出血で倒れ右半身が不自由になった。頑張り屋の父はリハビリに努め、日常生活にも仕事にもさほど不自由を感じないほどに回復はしたが、右手で細かい作業をするのは面倒そうであった。そういうことに私は深い想いを寄せず、父の補助をすることもあまりなく・・・ということを思い出し、もっと優しくしてあげれば良かったと今更ながらに後悔している。自分の健康に不安を感じてからそう思うようになった。我が身を抓られてやっと人の痛さを知ったわけ。

 右手が不自由になったらと想像してみた。「生きていけないだろうなぁ」と思う。女房も子供もいない天涯孤独の身、朽ち果てるだけだろうなぁと思い不安を覚え、一昨日、長く(たぶん1年以上)弾いていなかったギターに弦を張り、ちょっと弾いてみた。左手も右手も若い頃と同じようにとはもちろんいかないが、取り敢えず動く。右手も弦1本1本を爪弾ける。「これならもうしばらくは大丈夫かもしれない」と、少し安堵する。
 じつは、腰痛が酷くなりつつあった今年3月頃から、自身の体の動きに不安を持つようになっていた。躓くことが増えた、家具などに足をぶつけたりすることが増えた、手も何かにぶつけることが増えた。などということがあったのだが、一昨日、午前4時前、月食の写真を十数枚撮った。どれもがボケていた、手振れだ、手が震えているようだ。
 「何じゃい、こりゃあ!これも老化か?それとも何かの病気か?」と不安を持つ。「何とかしなきゃあなるまい、体が不自由になることはなるべく避けなければならんぜ、まだまだ1人で生きていけるようにしなければいかんぜ」と思い、食事に気を付け、毎日少しでも運動をしなければと、さらに強く思うようになる。
     
     
     
 節制というのも少しはやっている。会社勤めをしていた頃は同僚達との飲み会も多く、友人達ともしばしば飲みに行っていて、1回で飲む量も多かった。それを反省して中期オジサンとなってからは週に2日は完全休肝日にして肝臓を休めるようにしていた。
 週2日の休肝日は300坪の畑を始めた2012年以降は守られなくなる。暑い夏の間は「ビール飲まなきゃあやってられねぇぜ」となって休肝日が月に1~2回となり、それに慣れて冬場も月に2~3回となっていった。それを反省し2017年から週一休肝日を概ね守り、その年の秋からは週に1~2回と増やし、今年5月からは3日に1回とさらに増やした。1回で飲む量も減らし、というか、歳のせいかあまり飲めなくなっている。
 タバコも辞めればいいのだが、今もまだ吸っている。世間が言うほど悪くはないのではないかというのが私の意見。ただし、量は減った。1日4~5本となっている。
 運動はなるべくやるようにしているが、腰痛があるので激しいことはできない。散歩、軽いストレッチ、軽い筋トレで済ませている。一人黙々と続けている。それらは「自然寿命が尽きるまでは元気で生きていたい」と願い、その為のちょっとした努力のつもり。この先酷い自然災害があるかもしれない。そんな時でも体が動くようにしておきたい。

 記:2018.7.30 島乃ガジ丸


モロコシソウ

2018年07月27日 | 草木:草本

 今年6月から薬草の勉強をしている。で、薬草の図鑑をよく見るようになった。図鑑の写真を見て「あれ、これは見たことあるぞ、写真も撮っているぞ」と気付くものがいくつかあった。エビスグサ、ヘンルーダ、そして今回紹介するモロコシソウなど。

 モロコシソウという名前を見て、トウモロコシのような草と当然想像する。見た目はちっとも似ていないが、果実がトウモロコシの味がするのかと想像し、何だか楽しくなる。であったが、図鑑の説明文を読むとそうではなかった。
 モロコシは唐黍と書いてトウモロコシのことも言うが、唐土と書いて中国の古称でもあった。「中国渡来の植物なんだ」と判断する。しかし、これも間違っていた。

 モロコシという名前の由来については、下記に詳述するとして、モロコシソウは蚊除けになるとのこと。などということを調べている時、偶然にもブログ相互読者のコスモスさんからモロコシソウについての問い合わせがあった。貴重な植物らしい。
 コスモスさんからのメールがあった翌日、早速モロコシソウの確認に行く。以前にモロコシソウを見つけ写真を撮った末吉公園の森の中、水辺の場所へ行った。が、モロコシソウは消えていた。末吉公園のその辺りはモロコシソウの好む環境らしいので、他の箇所を探せば見つかったかもしれないが、散策は既に30分近く経っており、木陰を選んで歩いていたけど、私はもう汗びっしょりになっていた。暑いだけなら何とか耐えられるが、水辺なのでハブの危険がある。腰痛の今、ハブから逃げる自信は皆無。というわけで、モロコシソウ探索は断念。「蒸して乾燥させ蚊遣り」にする実験も断念。

 
 モロコシソウ(唐土草):野草・薬用
 サクラソウ科の多年草 関東南部~南西諸島、台湾に分布 方言名:ヤマクニブー
 名前の由来、漢字表記の唐土は大辞林にあった。しかし、本種は日本に自生していて中国からの渡来ではないようなので、それが何で唐土としているのか疑問を持ったが、『沖縄植物野外観察図鑑に』に「唐土草の名は、この植物が支那渡来してきたものと誤認され名づけられたいわれています」とあった。
 方言名のヤマクニブーは解り易い。『沖縄四季の花木』に「蒸すと九年母のように良い香りを出すことからヤマクニブーという方言名」とあった。なお、和語での別名にもヤマクネンボとある。蒸さずとも、乾くと全体に芳香があるとのこと。
 同書に「蒸して乾燥させたものを部屋に吊るして蚊遣りにしたり、タンスの中に入れて虫除けに使われる」、「全草を煎じた汁は虫刺されにも使用される」とあった。
 石灰岩地の林内や川辺に生育する。高さ20~70センチになる。花は葉腋に1個ずつ着け下向きに咲く。花冠は鐘形で黄色、径10~12ミリ。開花期は夏。さく果は径6ミリ程の球形で、先に花柱が長く残る。灰白色に熟す。
 
 花と果実
 
 海洋博公園のモロコシソウ

 記:島乃ガジ丸 2018.7.26 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行 
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行