百の薬効
アカザカズラ、流通名をウンナンヒャクヤク(雲南百薬)と言い、こっちの方が有名かもしれない。植物としてのアカザカズラを紹介したのは2011年の1月、その中で、
行きつけの散髪屋の親父に「ウンナンヒャクヤクが畑にあるが、要る?」と訊かれ、そのムカゴを貰ったのは2009年の3月、ムカゴは鉢に植えて、ツルがいくらか伸びてから従姉の家に持って行った。その後どうなったかは不明・・・葉も数枚貰って、天ぷらなどにして食べてみたが、ツルムラサキとほとんど同じ味だったのを覚えている。
などと書いているが、従姉の家に持って行ったウンナンヒャクヤクはとうの昔に消えていた。「ツルムラサキとほとんど同じ味だった」についてはさすが私である、それは全くのテーゲー(大概:いい加減という意の沖縄語)な言い様で、私はツルムラサキの味さえ覚えていないのだ。ただし、ウンナンヒャクヤクは最近食べた。
知人の会社社長Gさんに誘われて薬草の飲み屋(肴に薬草料理を出してくれる)へ行って、ウンナンヒャクヤクの葉のお浸し、ムカゴの煮物を食べた。特別に美味しいというものではなかったが、良薬は口に苦しというのに、しかも百薬というのにほとんど苦みは感じず、普通に食える野菜料理であった。店のママさんが料理上手だからであろう。
つい最近、というか、昨日記事をアップしたばかりのツルムラサキ、それは自分で料理して食べたが、記憶ではツルムラサキよりウンナンヒャクヤクの方が美味かったような気がする。そりゃあそうだぜと別の自分は思う。「ママさんと俺の腕前の違いだぜ」と。
ツルムラサキ科というと、沖縄では古くから健康食とされてきたツルムラサキがある。ツルムラサキとアカザカズラ、肉厚な葉や花、ツル状の形態など見た目に似ているが、ツルムラサキはツルムラサキ属で、アカザカズラはアカザカズラ属とのこと。
アカザカズラ(藜蔓):野菜・薬用
ツルムラサキ科の蔓性多年草 熱帯アメリカ原産 方言名:なし
別名としてマデイラカズラとかツルアカザ、オカワカメとかあるが、流通名ウンナンヒャクヤク(雲南百薬)で知られている。薬草として有名。
花は咲くが、日本では結実しないとのことで、地下にできる根塊や、葉腋にできるムカゴ(零余子)で繁殖するとのこと。
ビタミンや、カルシウムなどのミネラルが豊富に含まれ、栄養価の高い葉野菜とされている。茎、葉、根塊、ムカゴがお茶、野菜、薬用として利用される。
記:2018.8.6 ガジ丸 →沖縄の飲食目次
参考文献
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
『沖縄おばぁの健康レシピと長寿の知恵袋』平良一彦監修、(株)エクスナレッジ発行
『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
不味くはない
植物としてのツルムラサキを紹介したのは2006年4月のこと。その記事の中で「野菜としては、そう多くは生産されていないようである。スーパーに並んでいるのを私は見たことが無い。」と書いているが、数年前から通っている八百屋にはヨモギやウンチェーバー、ニガナなどと共にたいてい置いてあり、今はスーパーでもたまに見かける。
ツルムラサキを食べた経験があるかどうか、少なくとも「これがツルムラサキ」と認識して食べたことは無いと思う。前述したように普通にスーパーで売られているものでは無かったし、首里石嶺に住んでいる時、その庭にツルムラサキが自生していたが、それは雑草と思っていたので食べようという気にはならなかった。
先日(2018年7月20日)、最近よく通っている八百屋へ行って1束購入し、その半分を翌日、茹でてゴマ和えにして食べてみた。つい最近ハンダマ(スイゼンジナ)をほぼ同じ味付けのゴマ和えにして食べたのでそれと比較すると、
食感はハンダマ(スイゼンジナ)ほどではないがヌルヌルしていて、ハンダマより柔らかい。味は、ハンダマより苦みが少々強く、匂いも「良い香り」とは言えない。それでも不味くは無いので、あれば喜んで食べる。味付けが良ければ美味くなるかもしれない。
カルシウム、鉄、ビタミンAを多く含む健康野菜。黄疸、淋病、梅毒や手足の関節リウマチに薬効があるとのこと。別の文献には解熱、利尿、通便に食すともあった。
葉、茎、花、果実全て利用でき、黄疸、淋病、梅毒については乾燥させた葉を煎じて飲むとあり、関節リウマチについては豚足と共に酒少々を加えて煮て、食するとのこと。その他、普通に野菜としてお浸し、天ぷら、油炒めで食す。
ツルムラサキ(蔓紫):野菜・薬用
ツルムラサキ科の蔓性多年草 熱帯アジア原産 方言名:ジービン、ジュビン
性質が強く、沖縄の夏の暑さにも負けないので夏野菜として重宝される。夏だけでなく一年中収穫できる。また、害虫被害も無いので無農薬栽培ができる。
品種はいろいろあって、茎が紫色なのと緑色のものとに大別される。野菜としての利用は緑茎種が好まれるとのこと。ツルは3~4mまで伸びる。
葉脇に可愛らしい白い小さな花を穂状に付け、次々と咲く。早い花から順次実となり、熟すと照りのある濃紫色となる。花と実が一緒についていることが多いので目立つ。
記:2018.7.24 ガジ丸 →沖縄の飲食目次
参考文献
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄おばぁの健康レシピと長寿の知恵袋』平良一彦監修、(株)エクスナレッジ発行
食べて美味しい薬草
子供の頃、ターイユシンジという煎じものを何度か飲まされたことがある。ターイユとは沖縄語で、漢字で表せば田魚、和語で言えば鮒のこと。シンジは煎じのこと。
父から聞いた話だが、父の父(私の祖父)は一時期鮒釣りを生業とし、釣った鮒は祖母が市場へ売りに行ってたらしい。確か小学校一年生の時、祖父の鮒釣りを手伝わされたことがある。庭の畑からミミズを捕獲し、近くの川へ行ったのを覚えている。
ターイユシンジ、滋養強壮として体力が落ちた時、病気の時などに体力回復の目的で摂取すると文献にある。風邪で寝込んだ時などに私は飲まされたのであろう。
そのターイユシンジはターイユだけを煎じたのではなく、葉ものも入っていた。葉ものは、私の子供の頃の記憶は「苦い」というだけしか残っていないが、今回、沖縄料理の本などで調べてみたら、その苦いものはニガナであった。ニガナとは倭国で言うニガナとは種が違って、和語で言うとホソバワダンのこと。苦いのでニガナという名。
ニガナは苦いけれども、ゴーヤーよりは苦くないと私の舌は感じている。ニガナの白和えは、その苦さが味のアクセントとなってとても美味しい。なので、ニガナは薬草としても扱われるが、日常食の野菜としても用いられる。スーパーで普通に売られている。
薬草で腰痛や歯周病、高血圧を何とかしようと思って、最近、薬草類を意識して摂るようにしている。ニガナは胃腸に良いとあり、腰痛や歯周病、高血圧などに効くとは言われていないのだが、ビタミンやミネラルが豊富だとのことなので、何かの役に立つだろうと思い、最近よく食べている。食べて美味しいという理由が大きいが。
ニガナ(苦菜):野菜・薬草
キク科の多年生草本 九州以南に分布 方言名:ニガナ・ンジャナ・ンザナ
沖縄でニガナと呼んでいる植物はホソバワダン(細葉苦菜)とハマナレン(大葉苦菜)の2種であるが、本土でニガナと呼んでいるニガナとは別種。ホソバワダンとハマナレンはどちらもキク科アゼトウナ属で、本土のニガナはキク科ニガナ属の多年草。
栄養価が高く、夏場の野菜の少ない時期に重宝する。魚汁や白和えなどに使われる。
薬効としては、解熱、胃痛腹痛、回虫駆除、心臓病などに効くとのこと。
記:2018.7.22 ガジ丸 →沖縄の飲食目次
参考文献
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄おばぁの健康レシピと長寿の知恵袋』平良一彦監修、(株)エクスナレッジ発行