去年(2010年)12月、吉の浦海岸を散歩していたら、見たことの無い鳥に出会った。図鑑にあるどの鳥とも見た目に大きな違いがあった。全身の羽毛がモジャモジャと、まるで逆立っているように見えた。大きさと姿形はキジバトに似ていた。
撮った写真をよく見ると、羽毛は見えた通り、逆立っていた。何か、とても恐ろしい経験、犬に危うく噛み殺されそうになったとかを経験して逆立っていたのかもしれない。その鳥は、首筋の模様からキジバトと断定。恐怖に慄いたキジバトだと思われる。
「鳩が豆鉄砲を食ったよう」なんて慣用句があるが、「驚いて目を丸くしているさま」(広辞苑)という意味だが、その時のキジバトはまさしくそれ、「はっせ!たまし抜ぎたひゃー(まったく!魂が抜けたぜ、といった意味のウチナーグチ)」と、近くにいてカメラを構えている私に向かって言っているような、そんな表情であった。
今年4月11日、糸満市にある平和創造の森公園へ散策へ出かけた。その帰り際、ちょうど駐車場の自分の車に乗り込んだ時、鳥の、喧嘩をしているような声を聞いた。声のする方を見る。現場は30メートル程先、出口へ向かう道の傍だ。
そのまま車を走らせて現場のすぐ近くで停車する。喧嘩している鳥はイソヒヨドリ、2羽が激しく掴みあい、激しく突き合っている。2羽は掴みあったまま、羽をバタバタさせて、少し飛んだかと思うと、掴みあったまま地面に落ちる。どちらかが、あるいはどちらとも、激しく地面に叩きつけられているので、怪我をしているであろう。
ふと、横を見ると、もう1羽いた。喧嘩している2羽とは色模様が違うが、同じイソヒヨドリ、その雄の方だ。ということは、喧嘩しているのは雌同士だ。しばらく眺めていると、雄は2羽の雌に近寄ったり離れたりしている。「お前たち、もうやめなよ」なんて言って、「煩い!あんたは邪魔!」と怒鳴られる、なんてことなのかもしれない。
今週月曜日(25日)、西原運動公園を散歩していたら、ビー、ビーと聞き慣れない鳥の鳴き声が聞こえた。「近くだな」と思って辺りを見回すと、建物の庇の上にいた。聞き慣れない鳴き声の主は、シロハラに似ているが、違う。ヒヨドリにも似ているが、違う。しかし、何者かはすぐに判明した。ビービー鳴くのは雛鳥で、その親がやってきて、口移しに餌をあげたのだ。親鳥は見なれた奴、イソヒヨドリの雄であった。
平和創造の森公園で喧嘩していた2羽の雌の、その傍にいた雄と、西原運動公園で子育てしていた雄はもちろん違う雄であろうが、雌の喧嘩にオロオロしたり、雛にせっせと餌を運んだりと、イソヒヨドリの雄は心優しい奴なんだなぁと思った。
旧暦2月、3月頃のことを「うりづん」と沖縄では言う。暑くも寒くも無いとても過ごしやすい季節。私は概ね快調である。ぐっすり眠れるからだ。ところが、同じ「うりづん」の季節でも、4月に入って数日過ぎた辺り、二十四節気で表すと、だいたい清明に入る頃からメジロが囀り始める。彼らは朝が早い。夜明け前から囀る。この時期は窓を開けて寝ているので、その声は私の耳に大音量で伝わる。煩い。空が明るくなってくるとシロガシラの囀りも始まる。これはもっと煩い。目が覚める。寝不足となる。
同じ頃、冬を沖縄で過ごしていたシロハラが北へ旅立つ。アパートの庭にも職場の庭にも、畑にもあちこちの公園にもたくさんいたシロハラ、今季は倭国の寒さが長引いたせいか、例年より遅くまでいたが、今(4月下旬)はもうすっかり消えてしまった。
記:2011.4.27 ガジ丸 →沖縄の生活目次