ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ハラアカツマグロキンバエ

2019年10月11日 | 動物:昆虫-双翅目(ハエ他)

 温暖化の先駆け

 ハラアカツマグロキンバエは長い名前だけど、その1つ1つが体の特徴を表している。腹の赤い、端(ツマ)の黒い、金蠅の仲間ということ。
 判りやすい名前であり、まあまあ大きいし(10ミリ近い)見た目派手なので目立つのだが、沖縄ではあまり有名ではない。2014年10月に、私の畑にたくさん出現していた。それまでも、私は昆虫にも興味を持って機会があれば写真を撮っていたのだが、本種に遭遇したのはその時が初めてだった。
 文献をあれこれ調べると、「宮古諸島以南に分布」とある。南に生息するものが地球温暖化のお陰で、その生息地を北へ伸ばしているということなのかもしれない。地球温暖化の先駆けなのかもしれない。

 
 ハラアカツマグロキンバエ(腹赤端黒金蠅):双翅目の昆虫
 宮古諸島以南に分布 出現時期は不詳
 名前の由来、ツマグロキンバエについてはツマグロキンバエの頁に書いた通り。繰り返すと、『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「翅の先端は黒色に見え、和名はそれに由来する」とあった。ということでツマグロ(端黒)。キンバエは広辞苑にあり「クロバエ科のハエのうち、体に金緑ないし青緑色の光沢を持つものをいう」とのこと。本種は「腹部がほとんど赤色」なのでハラアカ(腹赤)とつくと思われる。
 「宮古諸島以南に分布」と文献にあったが、2014年10月に、私の畑にたくさん出現していた。地球温暖化のせいで生息域を北に延ばしているのかもしれない。
 
 斜め下から

 ツマグロキンバエと本種、両者は似てはいるが別属。ちなみに学名、
 ツマグロキンバエ Stomorhina obsoleta
 ハラアカツマグロキンバエ Idiellopsis xanthogaster

 →ツマグロキンバエは既に紹介済み


 記:2019.10.11 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『沖縄の生きものたち』沖縄生物教育研究会編著、発行


クロオビハナバエ

2019年08月28日 | 動物:昆虫-双翅目(ハエ他)

 老いてもできる仕事

 今年(2019年)7月下旬の2週間ばかり体調を崩していた。その2週間、食い物を調達するため近所のスーパーへ出かける他はほとんど家から出ず、家にいる時も炊事、洗濯、掃除などの家事はほぼいつも通りにやっていたが、体調不良の要因は主に頭痛だったので、薬草研究、及び沖縄戦研究のような本読んだりパソコン作業したりの頭を使う作業はほぼ休んで、ベッドに横になっていることが多かった。

 それでも、1日家にいるのでパソコンは時々開く。1日に4~5時間は開いていた。開いて、頭を使う作業は休んで、パソコンに溜め込んでいる画像などのファイルの整理整頓をしていた。この作業はあまり頭を使わないので楽。
 などということをやっていたら、記事を途中まで書いているものが植物にも動物にもあることを発見した。今回紹介するクロオビハナバエもその1つ。写真のプロパティーを見ると、撮影時期は2006年1月31日。バリバリの現役で、現場仕事の肉体労働も元気にこなしていた頃。今の自分の惨状を思うと、若かりし頃がとても懐かしい。
 クロオビハナバエとは関係ない話となったが、ただ、体が思うように動かなくなってもパソコン作業が少しでもできる間は、私にもできる仕事があるんだと知って、少し嬉しくなった。老いても楽しみがあることを教えてくれたクロオビハナバエであった。
 
 クロオビハナバエ(黒帯花蠅):双翅目の昆虫
 ハナバエ科 本州~沖縄、台湾、インドなどに分布 方言名:フェー
 名前の由来は資料が無く正確には不明だが、『学研生物図鑑』の記述から推理すると、「胸背に幅広い黒色横帯がある」ことからクロオビ(黒帯)だと思われる。
 見た目の特徴は「胸背に幅広い黒色横帯がある」の他に、「腹部3~4節背面に三角形の黒斑がある」とのこと。
 体長5~6ミリ。雌の成虫はゴミ溜めや動物の死体に集まる。雄は樹木の幹に多数止まっている。成虫の出現、本州中部では6~9月とのことだが、沖縄では冬も見られる。
 
 横から

 記:2019.8.18 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『沖縄の生きものたち』沖縄生物教育研究会編著、発行


セスジナガハリバエ

2019年08月21日 | 動物:昆虫-双翅目(ハエ他)

 楽な作業場

 老いた目にパソコン画面はきついが、本の文字や図鑑を見るのはそうきつくはない。なので、パソコン作業に疲れた時は外を眺めたり、瞑想したりもするが、本や図鑑を観ていることも多い。本や図鑑を観て何をしているかというと、最近は薬草の勉強が主になっているが、撮り溜めている写真の昆虫や小動物を何者か判明させる作業もやっている。

 セスジナガハリバエ、これは既に2~3年前には何者か判明していた。パソコンの中の「判明写真」フォルダの子フォルダ「動物ハチアブ」にあった。その子フォルダには他に数種のハチアブ類の写真があって、その内の4種の名前をメモ用紙に書いて、図書館へ行き、図鑑を開いてそれらの説明文を書く作業をする。ところが、その4種の内3種はいつも利用している『沖縄野外観察図鑑』に記載が無い。「沖縄では生息数が少ないのかもしれないな」と思いつつ、『学研生物図鑑』を開く。これにはあった。
 
 図書館に入って、本探しから4種の内3種のハエ類の調べを終えるまで約40分。図書館の椅子は長時間腰掛けても腰に対する負担が少ない構造になっているのか、40分程度では腰に痛みは出ない。目も痛くないし首肩も凝らない。図書館は楽な作業場である。
 
 セスジナガハリバエ(背筋長針蝿):双翅目の昆虫
 ヤドリバエ科 北海道~九州、沖縄島、中国、マレーシア他に分布 方言名:フェー
 名前の由来は資料がなく正確には不明。『沖縄昆虫野外観察図鑑』の記述から推理すると、「腹背には2本の不明瞭な黒色縦条が走る」からセスジ(背筋)、「前頭側剛毛は強大」からナガハリ(長針)、蠅の仲間だからハエなのだと思われる。
 体長は10ミリ内外。複眼は赤色、頬は白色、翅は長大、脚は長く腿節は赤褐色。
 成虫の出現は3月から11月。寄主は、本土ではコフキコガネの幼虫とされているらしいが、沖縄ではまだ判っていないとのこと。

 記:2019.8.14 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『沖縄の生きものたち』沖縄生物教育研究会編著、発行


ウルマオドリバエ

2019年04月17日 | 動物:昆虫-双翅目(ハエ他)

 年々増えつつあるハエ

 4月になると、ある虫が群れて飛ぶようになる。飛びながら相手を探し合体する。私の経験から言えば数年前から目立つようになった。それまでは見なかった、少なくとも私はその存在に気付かなかった。畑をやるようになって(4~5年前)からその群舞に気付いているので、木や草の多い所にいるものかと思っていた。ところが、コンクリートとアスファルトに囲まれた住宅街の中にある今の住まいでも、引っ越してきた去年にその飛び交っているのをアパートのすぐ前で見たし、今年も又、多くが飛んでいる。
 群舞する虫は、調べるとウルマオドリバエという名。「蚊柱状に乱舞」と文献にあり、乱舞が名の由来にもなっているが、アパートの前では多く飛んでいても柱状とは言えず、上にも横にも疎らに広がっている状態。であるが、畑では柱状を見ている。「おーっ!」と驚くほどの柱状、驚いて、「写真撮らなきゃ」と思って、カメラを取りに行って、戻って、カメラを構えた頃には既に柱状は形が崩れていた。
 
 蚊柱状が解散しつつある画像

 ちなみに、「蚊柱状に乱舞」は英語でスオウミング(swarming)というとのこと。スウォーム(swarm)の和訳は「群飛」で「昆虫などが多数群れて飛ぶことをいい」とのことを言い、交尾の相手探しの時にその光景が現れるとのこと。
 
 ウルマオドリバエ(砂礫島踊り蠅):双翅目の昆虫
 オドリバエ科 沖縄島に分布、外国での分布は不明 方言名:フェー(ハエの総称)
 名前の由来はウルマについては『沖縄大百科事典』に「琉球の雅名・・・当時の沖縄や薩摩の文人のあいだで琉球の意で用いられた」とあり、砂礫島との漢字表記は「ウルは粗い砂、マは島の意」とのこととある。これには他説もあるが、「琉球の別名と解されるようになったのは、室町時代に・・・以来のことらしい」ともあった。
 オドリについては『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「空中でダンスをしているように見えるから」とある。英語名もDance Fliesと呼ばれているとのこと。
 外国での分布は文献に記載が無く不明だが、英名があるということは英語圏の国のどこか、あるいはイギリスの学者が尋ねたどこぞの国にも分布していると思われる。
 沖縄では4~5月に出現し、「蚊柱状に乱舞」し、「空中で相手(交尾の)を捕え、一緒に地上に落下して交尾する」とのこと。ちなみに、蚊柱(かばしら)とは、ネットのコトバンクによると「蚊やユスリカなどが群れをなして飛び、柱のように見えるもの。ふつう雄からなり、雌が飛び入って交尾することが観察される」とのこと。昆虫などが多数群れて飛ぶことを群飛(ぐんぴ)と言い、英語ではスオウミング(swarming)と言う。
 体長は4~6ミリ、体は黒色、複眼は淡赤色。頭部は小さい。胸部は背面に突出したように見える。翅は脈が黒色、膜は半透明で淡黄褐色を帯びる。などといったことが身体的特徴。食物は微小昆虫で、成虫は花にもよく集まるとのこと。
 
 2014年の画像

 記:2019.4.15 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『沖縄の生きものたち』沖縄生物教育研究会編著、発行


センダングサミバエ

2014年10月10日 | 動物:昆虫-双翅目(ハエ他)

 無害のミバエ

 9月26日から5泊6日で旅をした。東京の叔父や岐阜の伯母に会い、「不肖の息子は家屋敷を失いました」とお詫び行脚の旅。初日は府中に住む従兄Hと飲んで楽しい時間を過ごし、2日目は東京在の友人Iの結婚披露パーティーに出席し、これもまた、楽しい時間を過ごし、3日目は静岡県磐田で、才媛K子と彼女の友人Mさんと飲んで、これはさらに楽しい時間となり、まったくもって、幸せな旅の夜を過ごさせて貰った。
 才媛K子と初めて会ったのは20年ほど前、彼女が義兄の知合いで、紹介された。彼女はダイビングを趣味としていて、沖縄へダイビング旅行に来た際、会って、飲んで、その後はメールのやり取りをし、私が1度静岡へ、彼女が2~3度沖縄へ来た際にも会っている。初めて会った時から私は彼女のことを気に入っている。美人だし、スタイルいいし、英語堪能、中国語もスペイン語もできるという才媛、頭の良さも私好み。

 初めて会った時も、その後数回あった時も彼女は化粧が薄かった。髪の毛に白髪が目立ち始めた時も髪を染めることなく、その白髪をさらけ出していた。「見栄えなんてたいしたことないわ」って感じ。そんな気風の良さも私は大好きであった。
  今回会ったのは7~8年ぶりになるか、もう十分オバサンのはずなのに、彼女は前より若く見えた。鈍感な私でもすぐに気付いた。彼女は髪を染めていた。黒く。
 「見栄えなんて・・・」にどんな変化があったか知らないが、私はその黒髪を良いものと感じた。彼女の見栄えの良さは、少なくとも私に「おっ、オバサンになっても可愛いじゃねーか」と思わせ、私の気分を楽しくさせた。それだけでも十分の価値があることだと思った。それをその時、口に出して言えば良かったかもしれないが、言いそびれた。

 センダングサミバエのミバエは見栄えではなく実蠅。実蠅というと、ウチナーンチュの大好きなゴーヤーをダメにするあの大害虫ウリミバエの仲間。であるが、このミバエはセンダングサという雑草を食草とし、人間の害にはならない。もっとも、才媛K子の見栄えのように人を幸せにすることもないようだ。

 
 センダングサミバエ(栴檀草実蠅):膜翅目の昆虫
 ミバエ科 体長3ミリ 方言名:フェー(ハエの総称)
 名前の由来、ミバエ(実蠅)は広辞苑にあり、「ミバエ科のハエの総称」で、「幼虫は植物の果実や茎葉の内部に寄生」することからついたものと思われる。センダングサは食草が「コセンダングサ、タチアワユキセンダングサなど」であることから。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「1960年代に入ってきたタチアワユキセンダングサは繁殖力が強く、各地に多く広がり、よって、それを食草とする本種も数が増えた。幼虫は花の子房を食べて育つ。」とあったが、タチアワユキセンダングサだけでなく、ハイアワユキセンダングサも沖縄のあちらこちらに数多く蔓延っている。私の畑やその周辺にも数多く蔓延っている。よく探せば本種が見つかるのであろうが、よく探さないし、細かなことに気付かない私なので、本種を見たのは一度きり。
 ミバエは「農業害虫として世界的に著名な種類が多い」とのことで、沖縄でもウリミバエ、ミカンコミバエなどが害虫として有名。本種はしかし、その食草がセンダングサ類なので農夫にとって痛くも痒くもない、どころか、タチアワユキセンダングサもハイアワユキセンダングサも畑の邪魔ものなので、それを食ってくれたら助かる。
 体長は3ミリとごく小さい。成虫の出現は周年。

 記:2014.10.3 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行