ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

オキザリス

2019年10月23日 | 草木:蔓蔦

 「オキザリス」と言われても、「何それ?リスの置きもの?」となる。
 「何だよ、リスの置きものって?」と問い返され、
 「いや、漢字で書くと「置き座リス」、座ったリスの置きものかなぁって」と、スットコドッコイの私は答えたかもしれない。でも、それは昔の話。植物調べを始めてもう20年近くなる今の私は、「オキザリス」と聞いたらそのイメージも思い浮かぶ。
 オキザリスは和語で言うと「カタバミ」の仲間。カタバミと言えば何しろ、沖縄では超有名な雑草、畑の敵になっている、農夫が頭を悩ます強害草のカタバミがある。ウチナーグチ(沖縄語)で言えばメーハジチャーだが、農夫が頭を悩ます強害草のカタバミはそれではなく、もう1つ別の種、ウチナーグチでいうところのヤファタのこと。ヤファタとは和語で言うとムラサキカタバミのこと。根絶不能の害草。

 そんなカタバミの種類の中に花壇草花に利用される種類があることを知ったのは、植物調べを始めてから数年も経った頃、いくつかあって、前にオオキバナカタバミを紹介しているが、今回紹介するオキザリス・トライアングラリスもその1つ。
 
 オキザリス・トライアングラリス(Oxalis triangularis):花壇
 カタバミ科カタバミ属の球根植物 ブラジル原産の園芸植物 方言名:なし
 名前の由来、オキザリス・トライアングラリスは学名の日本語読み。別名がいくつかあり、ムラサキノマイ(紫の舞)、サンカクバオキザリス(三角葉オキザリス)などとある。葉色が紫色で葉形が三角形をしていることからそういった流通名なのであろう。私としては紫三角葉カタバミにしてくれたら、きっと一発で覚える。
 高さは5~30センチ、花色は白色や桃色、開花期、倭国では6~10月。沖縄では11月になっても咲いている。葉の色形が魅力的というだけでなく、花も可愛いので花壇の草花として利用されている。
 
 花
 カタバミ科カタバミ属なので畑の強害草であるカタバミと同属。ちなみに、
 カタバミ Oxalis corniculata
 ムラサキカタバミ Oxalis debilis subsp. corymbosa
 オオキバナカタバミ Oxalis pes-caprae

 記:島乃ガジ丸 2019.10.19 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『ネイチャーガイド琉球の樹木』大川智史、林将之著、株式会社文一総合出版


オオイタビ

2019年05月07日 | 草木:蔓蔦

 薬草の勉強を始めて1年近くになる。暢気者かつ怠け者の私なので1年近く経ってもまだ薬草研究家としてはひよっこのまま、・・・というのは置いといて。
 これまで多く植物を紹介しているが、それが薬草にもなるということにはほとんど留意せずにいたので、薬草を勉強するようになって「あっ、これも薬になるんだ」という発見がいくつもあった。ごく身近なものでもアメリカフウロ、イヌビワ、イノモトソウ、オオキンケイギクなどその他多数。そして、オオイタビもその1つ。

 オオイタビはよく見る植物で、とても身近。なので、私のブログでも既に2005年5月に紹介済み。薬効があることを追記しようと14年前の記事を確認する。そして、14年前の間違いに気付く。沖縄の植物を紹介しようと思って勉強を始めたのは2004年、1年間程度の勉強では、植物研究家としてもひよっこだったようだ。
 間違いとは、その頁で一緒にヒメイタビを紹介しているが、大きいのがオオイタビなら小さいのはヒメイタビであろうと思い込んで、何の疑いも無く掲載しているヒメイタビの写真が間違い。私がヒメイタビと判断したのはオオイタビのようである。
 オオイタビが生えている近く(に限らないが)には、オオイタビよりずっと小さい葉のツタをよく見る。その小さい葉のツタをヒメイタビと私は思い込んでしまったのだが、オオイタビは「幼苗の葉も茎もかなり小さいため別の植物に間違えやすい」と『琉球弧野山の花』にある通り、私は別の植物(ヒメイタビ)と間違えてしまったのである。
 ということで、2005年の記事は削除し、オオイタビは内容を変更して新たに書き直し、ヒメイタビについては見つけ次第、写真を撮って紹介することにしたい。

 ・・・したいと思って約1ヶ月、その間、いくつかの公園を歩き回ってヒメイタビかもしれないと思われるものやオオイタビの写真を合わせて40~50枚撮った。『琉球の樹木』に両者の見極め方が詳しく書かれてある。それを参考に40~50枚の写真を検証した結果、40~50枚の全てがオオイタビだった。ヒメイタビが見つからない。
 
 オオイタビ(大崖石榴):壁面
 クワ科の常緑蔓植物 原産分布は関東以南、沖縄、台湾、他 方言名:イシバーキ
 名前の由来は資料が無く不明。近縁種にイタビカズラがあり、広辞苑にイタビを崖石榴との漢字表記があった。本種もイタビカズラもクワ科イチジク属。イチジクは無花果と漢字表記するが、同じ仲間にザクロ(石榴)があり、崖を這うザクロという意で崖石榴ということであろう。本種は大型(特に果実が)なのでオオ(大)が付くのであろう。
 『琉球の樹木』にはイタビカズラの漢字表記が薜茘葛とあり、オオイタビは大薜茘、ヒメイタビは姫薜茘と漢字が充てられている。薜茘、全く知らない単語、辞書やネットのWiki等で調べた結果、ヘイレイと読み、マサキノカズラ(真拆の葛)のことで、マサキノカズラはテイカカズラを指しているのではないか・・・と私の調査結果となった。
 イタビカズラ類はクワ科イチジク属、テイカカズラはキョウチクトウ科テイカカズラ属で遠く違う植物だが、ツル性木本で気根で貼り付くなど形態は似ており、葉の見た目も似ている。ただ、花と実の見た目は大きく異なる。
 などということから、ここでは漢字表記を大崖石榴とした。「果実がザクロ(石榴)に似ていて、崖を這う性質を持つもの。その中でも果実の大きいもの。」という意。
 陽光を好むが、半日陰でも生育する。枝からいくつも気根(同じクワ科フィカス属のガジュマルなども気根を多く出す)を出し、それが壁に吸着し、成長する。
 フィカス属(イチジク属)にはフィカス・ベンジャミナ、フィカス・ハワイなどがあり、他に、ボダイジュやゴムノキなどもフィカス属で、沖縄にこの属の植物は多い。学名では、オオイタビはフィカス・プミラ。ガジュマルはフィカス・ミクロカルパという。
 濃い黒紫色の果実は、同種のイタビカズラやヒメイタビに比べて大きく、観賞価値がある。結実期は5月から9月。イチジクと同じく無花果で、果実の内部に花がある。なお、雌株の果実は甘く生食できるとのこと。雌株の果実は発見したが、まだ食べていない。
 茎葉は薬効があり、乾燥させ煎じて服用する。高血圧や糖尿病に効果があるとのこと。
 
 雄株の果実
 
 雌株の果実
 
 雄株雌株の果実
 
 雄株雌株の果実の中 

 訂正:2019.5.6
 記:2005.5.9 島乃ガジ丸 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行


サカキカズラ

2019年03月04日 | 草木:蔓蔦

 薬草研究家のHさん83才は、83才でもまだ元気。バス停を2つ手前で降りて家まで30分は歩いている。その他、食事へ出かけるのも買い物へ行くのもほとんど徒歩。
 そのHさんに頼まれた薬草表は、形を冊子に代えて「その1」は既に差し上げ、「その2」を今手掛けている。「その1」は食べて薬になるものであったが、「その2」は塗り薬なるもの、火傷などに効き目のあるものにしようと決め、その方面の薬草を調べる。
 いろいろある中でサネカズラという植物に目が留まる。何か月か前に相互読者のコスモスさんやくりまんじゅうさんが紹介していたツル植物で、私もその名はビナンカズラという別名と共に記憶していた。が、現物にはまだ出会っていない。今回改めて文献を調べると「茎の粘液で整髪していたので別名が美男葛」とのこと。

 などと調べている内に、私の頭の中でサネカズラがいつしかサカキカズラに誤変換されてしまい、図鑑の写真を見て「あー、これなら前に写真を撮っているぞ」とパソコンの中を探し、その写真を見つけ「あった、やったぜ、ビナンカズラを紹介できる」と喜んで、さっそく図鑑にあるサカキカズラの説明文を読む。「???」となる。説明文のどこにも「別名ビナンカズラ」と書かれていない。そこで勘違いに気付く。
 余談だが、鏡を見ても脳が軟化したオジーはいるが、ビナンはいない。
 
 サカキカズラ(榊葛):野山・公園
 キョウチクトウ科の蔓性常緑木本 関東南部~先島まで分布 方言名:クルミカンダ
 名前の由来は『沖縄植物野外活用図鑑』に「葉の形状がサカキに似るから」とあった。サカキは榊と漢字表記し、ツバキ科の常緑高木。
 低地山地の林に生え、他のものに絡みついて10mほども伸びる。サカキに似るという葉は対生し、倒披針状長楕円形で先は鈍く尖る。長さ6~14センチ。
 枝の先に集散花序を出し、五弁の風車状をした左巻きの小さな花を密に着ける。花色は白、開花期は春。果実は袋状で基部は太く先は尖り円柱形で2個が対となり、熟すると2つに割れる。長さ8~12センチで冬に緑色~褐色に熟する。種子の先端に綿のように見える白い長毛があり、風に乗って種子が散布される。蔓は結束用に利用される。
 
 未熟果
 
 熟果

 記:島乃ガジ丸 2019.2.10 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『ネイチャーガイド琉球の樹木』大川智史、林将之著、株式会社文一総合出版 


ムラサキツクバネカズラ

2018年08月22日 | 草木:蔓蔦

 私は単純にモノの名前を覚えることを苦手としている。なのにこうやって沖縄の植物や動物を紹介している。これまで多くを紹介しているのにたぶん、その3分の1も記憶していないと思う。散歩していて出会う植物に見知っている「これはブログで紹介した」と覚えている植物は多くあるが、その名前を思い出せないものはきっとその過半数。
 ブログの相互読者のコスモスさんから頂くメールの中に植物の名前がいろいろ出て来るが、そのほとんどを私は知らない。例えば、ナスタチウムは、「聞いたことあるけど、何だったっけ?」となる。だけど、キンレンカならその姿とともにすぐに思い浮ぶ。
 ナスタチウムはおそらく英名、キンレンカはその和名。私にとって和名が覚えやすいのは、その由来から記憶に残り易いから。金蓮花、葉がハスの葉に似た黄色の花。

 ムラサキツクバネカズラ、「何だそれ?」となる人が多いと思われるが、ペトレアというと「あーあれね」となる人が増えると思う。でも、私はそれを私の脳味噌に記憶させるためには「ペトレアとはムラサキツクバネカズラのこと」と先ず記憶させる。そして、ムラサキツクバネカズラとは「花が紫色で、愕と果実がくっつく衝羽根(つくばね)のような形になるツル植物」と覚える。その方が覚えやすかった・・・以前は。脳軟化している今はしかし、ムラサキツクバネカズラという名は長すぎて覚えられないはず。
 ちなみに衝羽根(つくばね)とは「追羽根のはね。羽子」(広辞苑)のこと。正月に女の子が遊ぶ(現代でも遊んでいるのかなぁ)羽根つきの羽根のこと。

 
 ムラサキツクバネカズラ(紫衝羽根葛):壁面・パーゴラ
 クマツヅラ科の常緑蔓性木本 中央アメリカ原産 方言名:不詳
 海洋博公園に本種があって、名札にはペトレアとあり、それは学名の属名Petreaから。ペトレアではいくつもの種があると思われるが、本種がその代表みたいなものなのであろうか?本種の種名も含めた学名はPetrea volubilisとなっている。
 参考文献の1つである『つる植物』にムラサキツクバネカズラ(紫衝羽根葛)との和名があった。ムラサキツクバネカズラという名はおそらく、花の色がムラサキ(紫)で、愕が結実期にも残っていて、それがプロペラのような役割をするからツクバネ(衝羽根)、蔓性の植物だからカズラ(葛)だと思われる。
 衝羽根とは羽子板でついて遊ぶ羽根つきの羽根のこと。その羽根の形に似ていることからその名がついたものは他にもツクバネアサガオ、ツクバネウツギなどがある。
 蔓は他のものに巻きついて長さ5~10mほどまで伸びる。葉は対性で長楕円形、長さ10~15センチ。葉面がざらつくことからサンドペーパーとも呼ばれるとのこと。
 枝端、または葉腋から長さ10~20センチの穂状花序をやや下向きに出し、紫色の花を数個つける。愕は花弁とほとんど同じ形で淡青色。開花期は3月~7月。
 愕が結実期にも残っていて、プロペラのような(ツクバネの形)役割をし、果実が落下する時に回転しながら風に乗って種を遠くまで運ぶとのこと。
 
 花

 記:島乃ガジ丸 2018.8.21 →沖縄の草木目次
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行 
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行


ヒスイカズラ

2018年08月16日 | 草木:蔓蔦

 今年3月末頃、友人のT夫妻が新居を訪ねてくれた。腰痛で体が弱って心も弱っている中、そういった友の優しさは心に沁みる。これも老化なのであろう。それはさておき、その時のTの話で「ヒスイカズラを見てきた」というのに私の頭が反応していた。
 ヒスイカズラはもうだいぶ前、25年ほど前になるか、知人の会社社長に「珍しいものがあるよ」と案内されてその庭にあるヒスイカズラを見せて貰った。その時はあいにく花は咲いていなかったが、「春に咲く」と聞き、その時にまた訪ねようと思っていた。思っていたがその後ずっと忘れていた。今回、ヒスイカズラのことを書こうとしてそのことを思い出した。「あー懐かしあの頃、若かりし頃」と、ノスタルジーも老化かな?

 友人Tからは「見てきた」という場所も教えて貰っていた。そこは今年3月から住んでいる今の住まいから近い、ということで、それから数日後その場所へ出掛けた。計ってはいないが車で15分ほどの文化財中村家住宅。「半分は散っていたよ」とTが言っていた通り、私が見た時はほとんど散っていて、数房が残っているだけだった。

 ヒスイカズラのヒスイは「花の色が宝石のヒスイの色に似ているから」とあった。ヒスイが宝石であることは知っているが、私はこれまで宝石とは縁の無い人生を送ってきたのでヒスイがどのようなものか全く想像がつかない。画像を浮かべることのできる宝石の類はダイヤモンドくらい。ダイヤモンドも実物を見たことは無いかもしれない、記憶には無い。過去に恋した女性は何人もいるが彼女らに宝石を贈ったこともないし、贈ろうと思って宝石屋へ入ったこともない。「淋しい人生だ」と過去を嘆くのも老化?
 
 ヒスイカズラ(翡翠葛):壁面・パーゴラ
 マメ科の常緑蔓性木本 フィリピン原産 方言名:不詳
 名前の由来は『つる植物』にあり、「ヒスイカズラの名称は花の色が宝石のヒスイの色に似ていることから」とのこと。『沖縄園芸植物大図鑑』には別名としてジェードバインとあったが、これは英名Jade Vineから。学名はStrongylodon macrobotrys。
 名前の由来となった翡翠色、『熱帯アジアの花』に「翡翠色というのは植物の世界では最も珍しい色」とあった。ヒスイ(翡翠)を広辞苑で引くと「玉(ぎょく)の一つ。鮮やかな翠緑色・・・」とあり、翠緑(すいりょく)は「みどりいろ」とあって、よく判らない。宝石に縁の無い私はたぶん、翡翠なるものを見たことが無い、なので、それがどんな色なのか不明。「ヒスイカズラの花の色さぁ」と言われたらそれまでだが。
 巻き蔓型で、木などに絡みついて高く上り、蔓の長さは5m以上となる。葉は三出葉で小葉の先は尖る。房状花序は1mほどの長さで下垂し、爪状の花を多く着ける。開花期は3~5月。私はまだ見たこと無いが「果実は長さ12センチほどの紡錘状」とのことで、結実期は7~9月。本土では温室栽培となるが、沖縄では露地栽培が可能。
 
 花

 記:島乃ガジ丸 2018.8.12 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行