ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

キョウオウ

2019年08月19日 | 草木:野菜

 ウコンは既にこのHPで紹介済み。記事を書いてアップしたのは2004年7月14日となっている。そうかもう15年も前になるか。まだ両親とも生きていた頃、首里石嶺のボロアパートに1人住んでいた頃、まだバリバリ働いていて、時には現場に出て肉体労働をしたっぷり汗をかいていた頃、酒もたっぷり飲んで健康だった頃だ。
 ノスタルジーはさておいて、15年前ウコンを紹介した時、ついでに同頁でキョウオウとガジュツも紹介している。ウコンはアパートの畑にウコンがあり、葉も花も根茎も何度も目にし、写真も撮っていた。が、キョウオウとガジュツには長い間会えなかった。

 ガジュツについては先週、「2017年6月に畑で遭遇した」と書いた通りだが、キョウオウにはその後もずっと出会えなかった。去年2018年6月から薬草の勉強を始めているが。参考文献の多くに載っているキョウオウ。春ウコンという名前で沖縄ではよく知られた薬草なのに、私はまだ見たことが無い。「探そう」と思って、薬草に詳しい友人のKにキョウオウのありそうな場所について訊くと、「知念辺りの畑を回ればあるよ、葉の裏を触ればウコンとキョウオウははっきり区別できる」とのことであった。
 Kからそれを聞いて数日後、たまたま南風原町に住む叔父の家を訪ねる機会があった。叔父の家の庭は、一部畑になっていて、そこに薬草の類も植えられてあった。それを思い出して庭へ回る。ウコンに似たものがあった。葉の裏を確認する。一触瞭然だった。

 ウコン 秋ウコン 葉はツルツルしている。秋に白い花。
 ガジュツ 紫ウコン 葉の中央に紫の線が入っている。花色は赤紫。
 キョウオウ 春ウコン 葉の裏がビロードのよう。春に桃色の花。
 
 キョウオウ(薑黄):薬用・染料
 ショウガ科ウコン属の多年草 インド原産 方言名:ヤマウキン、ハルウッチン
 正式名称を「キョウオウ」漢字で書くと「姜黄」と言うが、渡来した時に何かの誤解があったのか、中国では本種がウコン(鬱金)と呼ばれる。根茎は黄色で、薬用となる。春に花を付けることから別名ハルウコンといい、沖縄ではこれが通り名となっている。
 根茎は黄色で、アキウコンに比べると苦みが強く、食用には不向きとされている。アキウコンに比べると薬効成分が多いので健康食品などに多く使われる。植物の葉や茎、根等に含まれる精油成分が動脈硬化予防やコレステロール分解、ガン抑制の効果を持つ。秋ウコンに比べてクルクミンの量は少ないが、食物繊維は豊富に含まれている。
 開花期は春、紅味を帯びた白色の花を穂状につける。根茎は黄色。葉の裏はビロードのようになっている。根茎は薬用の他、黄色染料にも使われる。
 
 葉
 
 根茎
 ちなみに学名
 ウコン Curcuma longa
 キョウオウ Curcuma aromatica
 ガジュツ Curcuma zedoaria

 記:島乃ガジ丸 2019.8.11 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行


ガジュツ

2019年08月14日 | 草木:野菜

 ウコンは既にこのHPで紹介済み。記事を書いてアップしたのは2004年7月14日となっている。そうかもう15年も前になるか。まだ両親とも生きていた頃、首里石嶺のボロアパートに1人住んでいた頃、まだバリバリ働いていて時には現場に出て肉体労働をしたっぷり汗をかいていた頃、酒もたっぷり飲んで健康だった頃だ。

 ノスタルジーはさておいて、15年前ウコンを紹介した時、ついでに同頁でキョウオウとガジュツも紹介している。その頃の私は健康だったこともあり、薬草に特に興味を持っいたということはなく、ガジュツもキョウオウも軽く紹介しているだけ。
 軽い紹介で済ませたのは、実は、ウコンは身近にあったが、ガジュツもキョウオウもその生きている姿を私は見たことが無かったからでもある。よって、写真も無い。
 2017年6月、腰痛の足音が忍び寄ってはいたが、まだ元気に畑仕事をしていた頃、畑の一角に、これまでてっきりウコンだと思っていた植物が成長して、葉が茂っているのを見つける。葉の中央に紫色の筋がある。「おっ、これはもしかしたらあれだ」と物覚えの悪い私も思い出す。その日、そのウコンに似た植物は花も着けていた。
 ウコン 秋ウコン 葉はツルツルしている。秋に白い花。
 ガジュツ 紫ウコン 葉の中央に紫の線が入っている。花色は赤紫。
 キョウオウ 春ウコン 葉の裏がビロードのよう。春に桃色の花。
 
 ガジュツ(莪)
 ショウガ科ウコン属の多年草 ヒマラヤ原産 方言名:不詳
 ガジュツ(莪)は漢名。流通名のムラサキウコンで知られている。ムラサキの名のの由来は「葉の真ん中に紫色の腺が入っている。花色は赤紫、根茎も紫」など由来の候補があるが、花色が赤紫色だからであろう。それがウコンやガジュツとの目立つ違い。
 葉の形はウコンに似る。30センチほどに花茎を伸ばし、ウコンに似た花を着ける。上部の苞葉、ウコンは白色、ガジュツは紅味を帯びた白色、本種は赤紫色。開花期は夏。
 クルクミンはほとんど含まないが、根茎の主成分はシネオール、カンファー、アズレン類などの精油成分で。血液の浄化、血管の老化予防に効果がある。
 
 花
 
 根茎
 
 根茎スライス
 ちなみに学名
 ウコン Curcuma longa
 キョウオウ Curcuma aromatica
 ガジュツ Curcuma zedoaria

 記:島乃ガジ丸 2019.8.4 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行


ダイズ

2019年07月29日 | 草木:野菜

 子供の頃はそうでもなかったが、酒を飲むようになってから私は豆腐が好きになった。日本酒を飲むようになってからはさらに好きになった。以来、何十年も経て、豆腐は私の食生活に無くてはならないものになっている。
 ここ4~5年会っていないが、高校の同級生Tが豆腐屋に勤めていて、彼から「繁多川は昔から豆腐の名産地、島豆腐用の大豆の生産地でもあった」と聞いてはいた。で、今回改めて調べてみると、彼の言う通りであり、ネットのサイトには偶然にも、

 地域で繋がるマルシェ。
 在来大豆オーヒグーと奏でるものがたりを美味しい食べ物といっしょにどうぞ。
 2019年6月30日(日)10時〜16時
 那覇市立繁多川公民館

などという催し物があった。ダイズを紹介しようと思ってこの頁を書き始めたのは6月の半ばだった。「おー、何という偶然、神のお導きだ」と暢気なオジサンは喜んで、その催し物に参加しようと思ったのだが、暢気なオジサンはすっかり忘れてしまっていた。
 
 ダイズ(大豆):果菜
 マメ科の一年草 東アジア原産 方言名:トーフマーミ
 名前の由来は、こんな有名な植物なのに資料が無く不明。同様に有名なアズキと対比して大きい方をダイズ(大豆)、小さい方をアズキ(小豆)としたのだろうか?沖縄名のトーフマーミは判りやすい、豆腐豆という意。豆腐の主原料だから。
 現在は世界の多くで栽培され、五穀の一つであり、最も重要なマメ科の作物となっている。日本でも古くから栽培され、豆は蛋白質豊富で食用となり、味噌・醤油・豆腐・納豆などの原料になり、豆から採れる油は食用になり、工業用としても利用される。
 葉はマメ科に多い三出複葉、マメ科に多い蝶形の花を束状につけ、長さ5センチほどの莢果となる。品種が多くあり、各地で土地に合った品種が栽培されている。

 シマダイズ(島大豆):果菜
 マメ科の一年草 東アジア原産 方言名:トーフマーミ
 名前の由来はダイズと同様で不詳。シマは沖縄産という意。
 古い時代に全国に広がったダイズ、沖縄にも「下大豆」などの在来品種があったようだが、それらは小粒であることが特徴とのこと。島豆腐や味噌作りに利用されたとのこと。昔は盛んに栽培されたようだが、現在ではほとんど作られていないとのこと。
 最近、ラジオからシマダイズ復活といったような内容のニュースが聞こえた。ネットで確認すると、那覇市繁多川(はんたがわ)には昔から湧き水が豊富にあって、豆腐作りが盛んだったとのこと。在来のダイズを用いて豆腐作りをするようである。本土復帰前までの豆腐の材料は、「青ヒグ(オーヒグー)」という在来の大豆、とあった。

 →煮豆

 記:島乃ガジ丸 2019.7.26 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行
 『自分で採れる薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
 『家庭で使える薬用植物大図鑑』田中孝治著、社団法人家の光協会発行


アズキ(シマアズキ)

2019年07月22日 | 草木:野菜

 元気に畑仕事をやっている頃、豆の類はよく植えていた。酒好きの私なのでもちろん、植える豆は酒の肴になりやすいものが優先となる。先ずはエダマメ、それからソラマメ、インゲンなど、いずれも酒に合う。他にもウズラマメ、シカクマメ、エンドウなど、それらも、少なくとも私の食卓では酒の肴になることが多い。

 子供の頃から酒飲みだったわけではないが、私は甘いものが苦手な方であった。特にケーキのような脂っこい甘さが苦手だった。でも、和風の餡子は好きで、饅頭や餡餅などはよく食べていた。酒好きの私でも、酒の肴ではない、ご飯のおかずの豆料理もたまには作る。さらには、酒の肴には遠い甘い豆料理もたまには作る。ということで、
 300坪の畑を始めたのは2012年の夏、季節の野菜の種をあれこれ播いたが、ホームセンターの種のコーナーを見ると、宮古島小豆と名前の書かれた種袋があった。自給自足を目指していた私、「お菓子も自給自足するか」と思い購入。早速播く。
 翌年春に宮古島小豆は収穫できた。豆は小豆より少し大きく黒い色であった。その豆はぜんざいのようにして食べたと思うが、記憶に残っていない、写真も残っていない。
 ということで、今年(2019年)5月、八百屋に宮古島小豆があったので、1袋購入して、煮て、ぜんざいにして食った。味は、市販のレトルトぜんざいに比べると今イチ、どころか今サンくらいだった。豆はただ砂糖を入れて煮ればいいものじゃないみたい。そういえば。亡くなった樹木希林さんが主人公であった映画『あん』を観て、「餡子作りも奥が深い」と知った私。それでも沖縄伝統のテーゲー(大概:いい加減という意)性格の私は、奥を突き詰めない。「食えりゃいいや」となってしまう。我ながら残念。
     

 アズキ(小豆):果菜
 マメ科の一年草 東アジア原産 方言名:アカマミ
 名前の由来は資料が無く不明。広辞苑に小豆と漢字表記があり「マメ科の一年生作物・・・種子は大豆より小さく・・・」で、ダイズの大豆に対し小豆なのだと思われる。小豆なら「ショウズ」でもよく、広辞苑にも別名として「ショウズ」とある。いずれにせよアズキという発音については不明。方言名のアカマミ(赤豆)はその色から。
 短茎の通常種と蔓状で長く伸びるツルアズキに分けられる。通常種の茎は直立して高さは30~50センチになる。沖縄在来種のミヤコジマアズキは蔓状となる。
 葉は長い柄を持つ三出複葉で、小葉は卵型で長さ5~9センチ。葉腋から短い花柄を出し、3~12個の黄色い、いかにもマメ科らしい蝶型花をつける。開花期は初夏。莢の中の種子は大豆より小さく暗赤色。ミヤコジマアズキは黒に近い色。
 古い時代に中国から渡来し日本各地で栽培されている。煮て食用、赤飯に用い、甘く煮て餡子にし、お菓子の材になり、古くから食材として重宝されている。
 豆には薬効もあり、便秘、腎臓病、二日酔いなどに効くとのこと。
 
 シマアズキ(島小豆):果菜
 マメ科の一年草 インド原産 方言名:アカマミ
 名前の由来、アズキについては上記の通り、沖縄産のなのでシマ(島)が付く。
 『沖縄食材図鑑』によると、「沖縄には伝統野菜の1つに黒小豆がある、赤い小豆より栄養価が高い、アントシアニンが多く含まれる。宮古島産が有名」とのこと。さらに「沖縄の伝統的餅菓子、十五夜に供えられるフチャギに欠かせない」ともあり、これで私も、「あーあれのことか」とよく理解できる。旬は9月~10月。
 
 花
 
 莢
 
 →フチャギ

 記:島乃ガジ丸 2019.7.14 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行
 『自分で採れる薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
 『家庭で使える薬用植物大図鑑』田中孝治著、社団法人家の光協会発行


コヘンルーダ

2019年07月08日 | 草木:野菜

 薬草研究家のH爺様とは7~8年ほど前に知り合っている。知り合った頃はそう頻繁に会ってはいない。年に3~4回程度だったと記憶している。でももう、既にその頃、Hさんが薬草の勉強しているって事は知っていた。Hさんの書棚にその関係の本が並んでいるのを見ていたし、Hさんの口からもいくつかの薬草の名前を聞いていた。
 サクナ(ボタンボウフウ)、クヮンソウ(アキノワスレグサ)、イーチョーバー(ウイキョウ)などといった有名どころなら私も知っていたが、「イシャナカシグサって面白い名前の優れた薬草も沖縄にあるんだよ」とある日、教えてくれた。

 イシャナカシグサは方言名で、イシャ(医者)ナカシ(泣かせる)草という意。この草があれば医者は要らない、よって医者は商売あがったりとなり泣く、ということではないかと思われる。あるいは、医者が悩むような難しい病気が、この草のお陰で治った。「おー、なんという奇跡!」と医者が感動し、涙したということかもしれない。・・・これはないか、ウチナーンチュのことだもの、そこまで深い心使いはないかも。
     
 過日、薬草研究家のH爺様と「沖縄長生薬草本社」なる会社を訪ね、そこの農場を見学させていただいた。Hさんはセッコツソウが目当てであったが、農場を歩いている時、1つの看板が私の目についた。それには世界一の薬草と書かれてあった。その看板から少し離れた所に実物はあった。開花期は初夏のコヘンルーダ、花が咲いていた。
 
 コヘンルーダ(こへんるーだ):薬草
 ミカン科の多年草 地中海地方原産 方言名:イサナカシグサ
 名前の由来、ヘンルーダという同科同属の近縁種があり、それのより小型のものだからコ(小)がついたと思われる。ヘンルーダについては『薬用植物大事典』に「ポルトガル名のヘン・ルタから転訛したといわれ、ヘンは冠詞、ルタは古いラテン語のルウ(草)から出たものという」とあった。広辞苑に「wijnruit」とオランダ語表記があるが、ヘンルーダと読めそうもない。ポルトガル語とは違うようだ。
 方言名のイサナカシグサは解り易い。イサ(医者)ナカシ(泣かす)草という意。これがあれば患者は医者を必要としない、医者は儲からないので泣くということだと思う。
 葉に薬効があり、薬草として栽培される。その効果は、「打ち身、神経痛の際その患部を葉の汁で湿布する」、「ヒステリーや不眠の際に生の葉の汁をお湯で薄めて飲む」などとある。ただ、「多量に使用すると中毒する」ともあった。
 高さは30センチほどになり、草全体に独特の匂いがある。開花期は初夏、集散花序を出し黄色の花を着ける。陽光地を好み、陰地だと枯れてしまうとのこと。
 
 花
 
 近縁種のヘンルーダは、
 
 ヘンルーダ(へんるうだ):薬草
 ミカン科の多年草 南ヨーロッパ原産 方言名:不詳
 名前の由来は、『薬用植物大事典』に「ポルトガル名のヘン・ルタから転訛したといわれ、ヘンは冠詞、ルタは古いラテン語のルウ(草)から出たものという」とあった。学名の属名はRutaとなっている。ルタはルーダに近いが、別名にルーとかコモン・ルーとかあるように、Rutaの発音はルーに近いようだ。
 高さは50~100センチ。花色は黄色で開花期は6~7月、花弁に鋸歯がある。
 
 果実

 ちなみに学名は、
 コヘンルーダ Ruta chalepensis
 ヘンルーダ Ruta graveolens

 記:島乃ガジ丸 2019.6.30 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行
 『自分で採れる薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
 『家庭で使える薬用植物大図鑑』田中孝治著、社団法人家の光協会発行