先々週、脳を研究している大学教授KRさんと会食した。会食で話題にしたいことを私は前日に文章にまとめておいた。その主なテーマは『脳の退化』、『未来の脳』、『恋愛同一性障害』の3つ。『恋愛同一性障害』は先週のガジ丸通信で書いた。『脳の退化』については、次回に回すこととして、今回は『未来の脳』のこと。
『未来の脳』は、脳コンピューターインターフェースに関連して、「未来の脳はどうなるだろう?」ということ。脳コンピューターインターフェースとは、考えるだけでパソコンのカーソルを動かすことができるというもの。カーソルを動かせるということはコンピューターを動かすことができるということ。考えるだけでコンピューターを動かすことができるということは、脳の信号でコミュニケーションができるということ。脳からコンピューターへだけでは無く、コンピューターから脳へ直接情報を送ることが可能となれば、いわゆるテレパシーが可能になる。そうなれば、聴覚障害者も健常者と普通にコミュニケーションがとれるということ。また、ロボットを制御するコンピューターがあれば、考えるだけでロボットを動かすことができるということ、である。
それについてのKRさんの意見は、「脳の信号によるコミュニケーションは近い将来実現するだろうが、ロボットをリアルタイムに動かすには、脳の表面だけで無く、脳の内部にまで信号を感知する針を無数に刺さなければならない。それには相当の無理があり、実現するには長い期間の研究を必要とするだろう。」とのことであった。
先々週のガジ丸通信『バカな自由』では、大脳辺縁系と大脳新皮質の関わり方のようなことを書いて、己の欲望をコントロールできない人のことを「バカ」だなんて、過激的なことを言ってしまった。弱い子供を獲物とする殺人者や、唯一の超大国による思い上がりの暴力などを思って、ちょっと興奮してしまったのだ。それに関連して、「現代人の想像力の欠如」ということもその日の会食でちょっと話題にした。他人の立場に身を置くのは想像力だと思ったのである。そのことについてもKRさんから面白い話が聞けた。
人間にはミラーニューロンというものがあるらしい。他人が感じていることを我がことのように感じるニューロンらしい。ちなみに、ニューロンとは神経細胞のこと。神経細胞とは「神経系を構成する細胞のうち、刺激を受けて興奮し、また他の細胞に刺激を伝達する能力をもつ細胞」(広辞苑)のこと。ミラーは鏡。他人の感じていることを鑑に写すように我が心にも感じさせてくれる神経細胞ということだ。ミラーニューロンは、相手の立場になってモノを考えたり、感じたりすることのできる細胞ということ。教授によると、それが実は、心の形成に大きな役割を担っているのではないか、とのことであった。
そのミラーニューロンの発達していない人がいる。あるいは、その数が足りない人がいる。そういう人は貧しい心の持ち主と言っていいかもしれない。他人の痛みを想像できない人なのである。つまりは、バカなのである。唯一の超大国にもそういう人がいる。沸酒大統領のバーカ!・・・と今週もまた私は過激的になってしまうのであった。日本国の新しい最高権力者、荒心臓総理が、荒っぽい心の持ち主で無いことを期待する。
記:2006.9.29 ガジ丸