goo blog サービス終了のお知らせ 

ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

チャノキ

2019年08月05日 | 草木:低木

 若い頃(20代半ば)、配達の仕事をしていた。配達先は那覇市から南部一帯、遠くは中部の石川市(現うるま市)、嘉手納町、読谷村まであった。
 石川市の配達先に行く途中、茶畑があった。テレビや雑誌などで見たことのある静岡県のどこぞの茶畑風景を彷彿とさせる景色だった。配達の仕事は2年ほどで辞め、その後茶畑を観る機会は無かったのだが、それから30年近くが経って、職場が時短となって自由な時間がたっぷりとなって、親戚の土地を30坪ばかり借りて農業の真似事みたいなことをやっている頃、沖縄島北部大宜味村で農業をやっているTさんに再会した。
 Tさんは姉の友人のご亭主で、若い頃何度か会って一緒に飲みにも行っている。子供が中学高校の頃だから働き盛りの中年の頃か、ある日突然、天の声が聞こえ、「農業がやりたい」となって、女房子供を那覇に残して、単身大宜見へ移り住んだ人。

 「農業は面白い、楽しい、1度畑を見においで」と言うTさんの誘いを受け、ある日、大宜味村のTさんの住まいと、Tさんが師事しているIさんの家、及び畑を見学しに行った。2012年1月の事。Iさん家の辺りは建築物がほとんど無い、ほぼ山と野原と畑地ばかりのところ。ボーっと立って呼吸をしているだけで気持ちの良いところ。
 その後何度も、Tさんに招かれIさんの家にお邪魔する。その年だけで10度は行っているはず。イノシシ鍋パーティーなどやって、イノシシは美味しいということなどを知った。そして、その年の3月、3度目訪問くらいの時に、私は一人でIさん家近辺を散策した。その時、Iさん家の手前に久しく目にしなかった茶畑と遭遇した。
 
 チャノキ(茶の木):薬用・嗜好飲料用
 ツバキ科の常緑低木 インド、東南アジア、中国南部の山地が原産 方言名:チャー
 茶は漢名でその読み方がそのまま和語となったものと『植物名の由来』にあった。同じような由来の植物には蜜柑(みかん)、桔梗(ききょう)、竜胆(りんどう)等があるとのこと。茶は樹木も指し、飲料となった茶も指す。樹木の場合はチャノキとも言う。
 インド、スリランカ、中国、日本、インドネシアなどで栽培されている。日本での産地は静岡県が有名、沖縄でも栽培され、本島北部(ヤンバル)で多く栽培されている。
 中国では紀元前1世紀には既に煎じ薬として利用されていて、その後、嗜好飲料としても利用され、中国全土にチャノキの栽培が広まったとのこと。日本では1200年頃に中国から入ってきて、広まった。沖縄には1627年に伝来し、現宜野座村で栽培が始まったとのこと。その後、北部一帯に栽培が広まった。
 チャノキの品種は中国種とアッサム種に大別され、その間に両種の雑種があり、日本は中国種が多く、在来種もあったが自然交雑していき、その後、優良品種が作られた。沖縄にも在来種があったが、1966年頃から優良品種が導入されていき、栽培されている。現在も大宜味村、旧石川市などへ行けば茶畑を見ることができる。
 高さは、放っておけば7~8mになるが、栽培ものは1m前後に仕立てられる。葉は長楕円形で先が尖り、硬く表面に光沢がある。花は芳香があり色は白の五弁、開花期は10~11月頃。「果実は鈍い3稜を持ち、裂開して種子を飛ばす」とのこと

 記:島乃ガジ丸 2019.7.28 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行


セッコツソウ

2019年05月13日 | 草木:低木

 風は涼しく日差し穏やかな4月のある日、県営運動公園へ散策に出かけた。その時出会った海人(ウミンチュ=漁師)らしき男性に、先々週紹介した沖縄の貝「リュウキュウサルボウ」の存在を教えてもらい「美味しいよ」と教えてもらい、その生息場所、採取方法を教えてもらい、その他、潮干狩りとは関係の無いことがらまで話が膨らみ、
 「あんたは何?ウォーキングですか?」
 「はい、のんびり散歩。腰悪くして、そのリハビリも兼ねて。」
 「腰痛ですか、私は長い間、膝を悪くしていたけど、薬草で治ったよ。」
 「ほう、薬草で。薬草には少々興味を持っているので教えてもらえませんか?」ということになって、セッコツソウという薬草を教えてもらい、「この公園内にあるよ、すぐそこ、駐車場の近くだよ」と、セッコツソウの自生する場所を教えてもらった。
 彼は野原に生えているセッコツソウを収穫し、それを私にくれた。
 「サプリメントなんかいくら飲んでも駄目だったんだけどね、これで膝が治った。あんたも試してみるといいよ。」と言い、人懐こそうな顔がニカっと笑った。
 家に帰って、取り敢えずセッコツソウの茎を葉を付けたまま干す。その後、図書館行って、セッコツソウなるものを調べる。調べた結果は以下。資料は1冊しかなかった。
 さて、干したものを数日後、刻んで、急須に入れて、お湯を注いでお茶にして飲み始めたのは4月30日、飲んでみた感想は、市販の薬草茶と同じく、いかにも薬草といった匂いは少々あるが、特に強い臭みは無く、苦みはほとんど無く飲みやすい。
 5月10日までに1日1杯の10杯ほど飲んだ。が、まだ、効果は現れていない。
 
 セッコツソウ(接骨草):薬草
 キツネノマゴ科の常緑低木 中国、台湾、沖縄、東南アジアに分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く正確には不明。接骨草という漢字表記は『琉球薬草誌』に記載があり、その字から想像すると、カルシウムを豊富に含み骨や関節に効果的な成分が含まれているから「骨を接ぐ草」という意であろうと思われる。
 見た目が草状で、名前にも草とつくが、草本類ではなく木本類に分類されている。
 高さは120センチほどまでになる。葉は針形で対生、長さ4~15センチ。開花期は夏、花は頂生や腋生で、花冠は唇形で色は白、または淡い紅色で紫班がある。
 本種を紹介している文献が『琉球薬草誌』しかなく、植物としてというより薬草として知られているらしい。カルシウム、食物繊維を豊富に含み、薬効としては関節炎、打撲、生理痛、神経痛、風邪、黄疸、痛風など。リラックス効果もあるらしい。秋に茎葉を採取し、日干し乾燥させ、関節炎、神経痛などには20~40グラムを煎じて服用。骨折などの塗布剤としては、生の茎葉を砕いて酒、酢を加えて患部に塗布する。
 ちなみに学名は、Gendarussa Vulgaris neesとある。
 
 葉

 記:島乃ガジ丸 2019.5.13 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行


テリハノイバラ

2019年03月11日 | 草木:低木

 1月から数年ぶりに「じっくり散歩」を再開しているが、この2ヶ月で1時間以上の散歩を20回ほどやっている。散歩する目的は腰痛改善が第一なのだが、体全体の健康のためでもある。散歩場所は家の近辺ではなくほとんどは公園。コンクリートとアスファルトの中ではなく、樹木に囲まれた森林公園とか海辺の海浜公園。空気の良い所。
 再開散歩が10回を超えたあたりから気付いたことがある。良い空気が体の健康に良い影響を与えているのではないか、心の健康にも良いのではないかと。
 先日、潮風に吹かれながら浜辺を歩いていたら、なかなか治らぬ腰痛のことも忘れて気分が良くなった。それで、家に帰って思ったことが「空気の良い所にいれば体も心も良い状態になる」ということ。この話は別途詳しく書くこととして、さて本題。

 「先日、潮風に吹かれながら浜辺を歩いて」の浜辺は県立総合運動公園の浜辺。その一角にバラに似た白い花が多く咲いているのが見えた。花はこんもりと茂った枝葉の中にポツンポツンといくつもある。「何だ?」と近付いて花に手を伸ばした。「痛っ」と声が出そうになった。枝には鋭い棘があってそれが手先に刺さった。刺さって思い出す。
 「これは前に見たことあるな、ノイバラではなかったかな」と。
 2012年4月に粟国島を旅した。そこで見たのではないかと家に帰ってパソコンの画像フォルダの、旅写真フォルダの、粟国島フォルダを調べる。あった。記憶力の弱い私がよくも粟国島を思い出したもんだと自画自賛。粟国島の旅は美女と一緒だった、ということで記憶に強く残っていたというわけ。美女に棘はなく、楽しい旅であった。
 
 テリハノイバラ(照葉野茨):海岸植栽
 バラ科の常緑匍匐性低木 本州~沖縄諸島、与那国に分布 方言名:ンディー
 名前の由来は『沖縄四季の花木』に「和名は照葉野薔薇の意味と言われる」とあった。葉に照りがあるので「照葉」は間違いないと思われるが、ノイバラは少し違っている。ノイバラは野茨と漢字表記し、茨(いばら)は「とげのある低木の総称」(明鏡国語辞典)なので「野生する茨」の意でノイバラ(野茨)だと思われる。ただし、野薔薇は「ノイバラの別称」ともあるので、『沖縄四季の花木』の説明も間違いではない。
 方言名のンディーは棘という意。別にサラカチャーともあるが、これはサルカケミカンの方言名でもあり、「猿を引っ掛けるもの」という意とのこと。
 「海岸近くの原野に生える」と文献にあったが、私が見たのは海岸の砂浜。白い花に気付いて手を伸ばしたら「痛っ」となった。枝に鋭い棘が多くある。枝は細く多く分枝して匍匐する。葉は奇数羽状複葉で、小葉は3~4対、長さ1~2.5センチで、縁は粗い鋸歯があり、表面は照りがある。花は白色、径3~4センチ、花弁は5枚、芳香がある。開花期は春。実は赤く熟し、長さ1センチほど。栽培品種のツルバラの親。
 なお、九州南部~琉球産のものは亜種リュウキュウテリハノイバラとのこと。
 
 花
 
 粟国産
 
 粟国産の花

 記:島乃ガジ丸 2019.3.3 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『ネイチャーガイド琉球の樹木』大川智史、林将之著、株式会社文一総合出版 


フジボグサ

2019年02月27日 | 草木:低木

 薬草の勉強を始めて半年以上になるが、その間、数冊の薬草に関する文献を読んだ。その薬草の中心は沖縄の薬草であり、それを包むように日本の薬草や漢方薬も少し齧り、そして、さらにその外側の西洋のハーブについても少し勉強していた。
 薬草の本のいくつかにフジボグサがあり、その花穂の見た目がラベンダーに似ているのでその類かと思ったのだが違っていた。フジボグサはマメ科の木だった。
 薬草の本のいくつかにはまた、ウツボグサというのもあり、じつは私は、フジボグサとウツボグサを混同していた。ウツボグサはシソ科の多年草で「その花穂の見た目がラベンダーに似ている」のはこれであった。頭の中にいろんな薬草、ハーブがゴチャゴチャと入り交ざって、只でさえ記憶力の弱い私の脳味噌は整理不能となっていたようだ。

 只でさえ年取って脳の力が弱りつつあるのに、新たに薬草の勉強を始める、いや、それはまだいい。沖縄の薬草であれば見慣れているのも多いので覚えやすい。だが、そこにハーブまで加えたことが間違いの元。ハーブは種類が多い。同科同属に品種が多くある。同科同属は見た目も似ている。日常的に傍にあったとしても覚えるのはきっと難しい。

 フジボグサをウツボグサと混同して、調べて下記の説明文を書いたが、野生のフジボグサに私はまだ出会っていない。文献によるとその分布は「宮古、石垣、小浜、西表」となっていて沖縄島には自生が無いようである。だから出会っていないのであろう。私が見たのは海洋博公園の植物展示室。鉢物で展示されていた。下の写真はそれ。
 
 フジボグサ(藤穂草):添景・薬用
 マメ科の常緑低木 宮古、石垣、小浜、西表に分布 方言名:マユシヌブ
 名前の由来は資料が無く正確には不明だが、見た目と『琉球の樹木』にある漢字表記の藤穂草とその説明文から想像はつく。花の色が藤色(淡紫色)で、茎の先に長さ20~30センチの総状花序をつける。それが藤の花穂に似ていることからと思われる。『琉球の樹木』によると、本種は低木に分類されている、それなのに「草」とつくのはそう見えるからであろう。別の文献、『沖縄植物野外観察図鑑』などには「多年草」とあった。
 野原の明るい所に生え、高さは30~150センチになる。葉は奇数羽状複葉で小葉は1~4対、小葉の長さは6~12センチ、草全体に細かい毛がある。
 花は茎の先端に長さ20~30センチの直立した狭円筒状の花序をつけ、多数の花を次々と咲かせる、花色は淡紫から紅紫色で開花期は初夏。全草が薬用になる。

 記:島乃ガジ丸 2019.2.17 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄薬草のききめ』多和田真淳著・発行
 『身近な薬草活用手帖』寺林進監修、株式会社誠文堂新光社発行
 『食べる野草と薬草』川原勝征著、株式会社南方新社発行
 『薬用植物大事典』田中孝治著、社団法人家の光協会発行
 『薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行


サクラツツジ

2019年02月13日 | 草木:低木

 沖縄島北部(通称ヤンバル)の本部町八重岳、今帰仁村今帰仁城などの桜祭りも終わったが、そのどちらにも若い頃、私は出かけている。若い頃とはもう30年以上も前だ。独身の男女数名でグループ交際もしていたので彼らと一緒だったか、この私に恋人がいた時期もあったので彼女と一緒だったか、もうよく覚えていない。胸キュンの想い出だ。
 沖縄の花祭りは、調べるといろいろあるみたいだが、私が若い頃からあったのは、有名なものは東村のツツジ祭りというのもあった。それにも私は出かけている。誰と一緒だったかは、これもはっきりは記憶していない。はっきり思い出そうとすると、桃色だったあの頃に比べ今の自分の寂しさを強く感じ、胸キュンが強くなり過ぎて心臓麻痺を起こしかねない。よって、はっきりと思い出さずにモヤーとしたままにしておく。

 東村のツツジ祭りには様々な種のツツジが植栽されていた。それぞれが見事に咲き誇っていた。などといったことは記憶に残っている。しかし、その頃の写真は無い。沖縄の植物をHPで紹介しようと思い付くずっと前、デジカメも持っていない頃の事。
 サクラツツジはそれからずっと後、沖縄の植物も動物もバシバシ、カメラに収めている頃の、2011年の今頃、2月13日に海洋博公園で撮っている。その時誰と一緒だったかは記憶に無いが、その頃の日記は残っている。調べると、大学時代の友人3人で行っている。何の目的だったかは日記にも書いていない。相手が男だと日記も短い。
 
 サクラツツジ(桜躑躅):生垣・添景
 ツツジ科の常緑低木 沖縄島中北部の山地、久米島に自生する 方言名:ヤマザックヮ
 名前の由来、資料が無く正確には不明だが、漢字表記の躑躅は漢名で、ツツジという発音は朝鮮語からきているのではないかと『木の名の由来』にあった。朝鮮語によるツツジの呼び名が日本語のツツジという発音によく似ているとのこと。サクラは「サクラの花に似た」といった意味だと思われる。
 根元から分枝し株立ち状となり、高さは2~5mになる。花は大きく径4~5センチ、淡紅紫色で内面に紫褐色の斑がある。開花期は冬~春。材は床柱に利用される。
 基本種の花色は紅色、園芸品種に紫、白、八重咲きなどがある。『沖縄植物野外観察図鑑』にシロバナサクラツツジという品種が載っていた。その名の通りの白花。
 
 花

 記:2019.2.10 ガジ丸 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄薬草のききめ』多和田真淳著・発行
 『身近な薬草活用手帖』寺林進監修、株式会社誠文堂新光社発行
 『食べる野草と薬草』川原勝征著、株式会社南方新社発行
 『薬用植物大事典』田中孝治著、社団法人家の光協会発行
 『薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行