ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

アズキとキントキマメ

2019年07月31日 | あいさつ

 ぜんざいの主役

 沖縄でぜんざいと言えばほぼ間違いなく氷ぜんざい。氷ぜんざいは、今ではもう全国的に知れ渡っていると思うが、冷たいぜんざいの上にカキ氷を乗せたもの。夏の食物と思われがちだが、冬でもある。「暖かいぜんざいください」と注文しないと、寒い日でも「ぜんざいください」と言うと氷ぜんざいがやってきた(現在はどうか不明)。
 中学校高校の近辺で営業している食堂にはたいてい置いてある。体育系部活で汗をかいた少年たちは学校帰りにそういった食堂へ寄って、1杯のぜんざいを食った。氷ぜんざいは氷が溶けるにしたがって味が薄まる、だけでなく、沖縄のぜんざいは元々そう甘くは無いと思う。黒糖を使っているせいもあるかしらないが、とにかくサッパリ系。汗をたっぷりかいて咽喉の乾いた少年たちにはピッタシの食物であった。

 大学進学で東京で暮らすようになってのある日、宮崎出身の友人と2人、ぜんざいを食う目的で(何でその目的になったかは不明)甘味処へ入った。30人は座れるであろう店内には我々の他に20人ほどの客がいた。我々以外に男はいなかった。
 田舎者のウチナーンチュの青年が初めて食うヤマトゥ(倭)のぜんざいだった。スプーン1杯分を口の中に入れて、その余りの甘さに衝撃を受けた。砂糖の塊のように感じた。吐き出すことも無く、その1杯は完食したが、以降、ぜんざいを食うことは無かった。

 東京で食べたぜんざいはアズキであった。沖縄で食べていたぜんざいは違う。見た目に違いがはっきり判る。大きさが全然違う。色も沖縄の豆は薄い。ほどなく、沖縄のぜんざいに入っている豆はキントキマメであることを知る。
 私の感覚では、東京のぜんざいは砂糖の量が半端ない、沖縄のぜんざいは控えめ。それだでなく豆自体の味もアズキは濃厚だが、キントキマメは淡泊なのではないかと思う。
 凍え死にそうな寒い地域では、甘く濃厚な暖かいぜんざいが命を救い、脳味噌が溶けそうなほど激しく暑い沖縄ではサッパリ系のぜんざいが命を救うのかもしれない。
     
 キントキマメ(金時豆):果菜
 マメ科の一年草 インゲンマメの一種 方言名:不詳
 北海道で生産されている大正金時という品種が有名。蔓無しの類で、種子が大きいのが特徴、種子は長さ2センチ近くになる。
 煮豆用に適し、和風洋風どちらにも合う。甘納豆の原料として重要とされている。
      
 アズキ(小豆):果菜
 マメ科の一年草 東アジア原産 方言名:アカマーミ
 茎は直立して高さは30~50センチになる。葉は長い柄を持つ三出複葉、小葉は卵型で長さ5~9センチ。葉腋から短い花柄を出し、3~12個の黄色い、いかにもマメ科らしい蝶型花をつける。開花期は初夏。莢の中の種子は大豆より小さく暗赤色。
 古い時代に中国から渡来し日本各地で栽培されている。煮て食用、赤飯に用い、甘く煮て餡子にし、お菓子の材になり、古くから食材として重宝されている。
 豆には薬効もあり、便秘、腎臓病、二日酔いなどに効くとのこと。
     
 シマアズキ(島小豆):果菜
 マメ科の一年草 インド原産 方言名:アカマーミ
 名前の由来、アズキについては上記の通り、沖縄産のなのでシマ(島)が付く。
 『沖縄食材図鑑』によると、「沖縄には伝統野菜の1つに黒小豆がある、赤い小豆より栄養価が高い、アントシアニンが多く含まれる。宮古島産が有名」とのこと。さらに「沖縄の伝統的餅菓子、十五夜に供えられるフチャギに欠かせない」ともあり、これで私も、「あーあれのことか」とよく理解できる。旬は9月~10月。
     

 記:2019.7.28 ガジ丸 →沖縄の飲食目次


ダイズ

2019年07月29日 | 草木:野菜

 子供の頃はそうでもなかったが、酒を飲むようになってから私は豆腐が好きになった。日本酒を飲むようになってからはさらに好きになった。以来、何十年も経て、豆腐は私の食生活に無くてはならないものになっている。
 ここ4~5年会っていないが、高校の同級生Tが豆腐屋に勤めていて、彼から「繁多川は昔から豆腐の名産地、島豆腐用の大豆の生産地でもあった」と聞いてはいた。で、今回改めて調べてみると、彼の言う通りであり、ネットのサイトには偶然にも、

 地域で繋がるマルシェ。
 在来大豆オーヒグーと奏でるものがたりを美味しい食べ物といっしょにどうぞ。
 2019年6月30日(日)10時〜16時
 那覇市立繁多川公民館

などという催し物があった。ダイズを紹介しようと思ってこの頁を書き始めたのは6月の半ばだった。「おー、何という偶然、神のお導きだ」と暢気なオジサンは喜んで、その催し物に参加しようと思ったのだが、暢気なオジサンはすっかり忘れてしまっていた。
 
 ダイズ(大豆):果菜
 マメ科の一年草 東アジア原産 方言名:トーフマーミ
 名前の由来は、こんな有名な植物なのに資料が無く不明。同様に有名なアズキと対比して大きい方をダイズ(大豆)、小さい方をアズキ(小豆)としたのだろうか?沖縄名のトーフマーミは判りやすい、豆腐豆という意。豆腐の主原料だから。
 現在は世界の多くで栽培され、五穀の一つであり、最も重要なマメ科の作物となっている。日本でも古くから栽培され、豆は蛋白質豊富で食用となり、味噌・醤油・豆腐・納豆などの原料になり、豆から採れる油は食用になり、工業用としても利用される。
 葉はマメ科に多い三出複葉、マメ科に多い蝶形の花を束状につけ、長さ5センチほどの莢果となる。品種が多くあり、各地で土地に合った品種が栽培されている。

 シマダイズ(島大豆):果菜
 マメ科の一年草 東アジア原産 方言名:トーフマーミ
 名前の由来はダイズと同様で不詳。シマは沖縄産という意。
 古い時代に全国に広がったダイズ、沖縄にも「下大豆」などの在来品種があったようだが、それらは小粒であることが特徴とのこと。島豆腐や味噌作りに利用されたとのこと。昔は盛んに栽培されたようだが、現在ではほとんど作られていないとのこと。
 最近、ラジオからシマダイズ復活といったような内容のニュースが聞こえた。ネットで確認すると、那覇市繁多川(はんたがわ)には昔から湧き水が豊富にあって、豆腐作りが盛んだったとのこと。在来のダイズを用いて豆腐作りをするようである。本土復帰前までの豆腐の材料は、「青ヒグ(オーヒグー)」という在来の大豆、とあった。

 →煮豆

 記:島乃ガジ丸 2019.7.26 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行
 『自分で採れる薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
 『家庭で使える薬用植物大図鑑』田中孝治著、社団法人家の光協会発行


タックルセー

2019年07月26日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

 あおり言葉

 アメリカの大統領がイランを脅している、ように、最近のニュースを聞いていると私は感じる。「言う事聞かないと只じゃおかんぞ!」と言っているように聞こえる。
 
 「おい!そこどけ。」
 「何で?」
 「俺が通るからだ。」
 「ここは1人がやっとだ、そこへ回ったらいいじゃないか。」
 「俺はここを通りたいんだ、どけっ!」
 「嫌だよ、俺が先にいるんじゃないか。」
 「何だとー!お前、俺が怖くないのか!?」
 「怖いよ、体でかいし、怒鳴るし。」
 「じゃぁ、何で俺の言う事聞かないんだ?」
 「誰かに命令される生き方はしたくない、俺は奴隷にはなりたくないんだ。」

 「俺の言う事を聞かないなんて生意気な野郎だ」と、相手を殴る奴、ロシアの指導者や中国の指導者みたいな奴がいる。アメリカも前の大統領は謙虚な人だったが、今の大統領は子供みたいな奴、気に入らないことは我慢しない。
 「言うこと聞かん奴はタックルセー!」と、中国もロシアもやっている。
     

 タックルスは既に紹介済み、「たたっ殺す」意味であると紹介しているが、クルスはまた、殺すではなく殴すと書いて「殴る」という意味であるとも説明している。
 今回のタックルセーはタックルスの命令形、タックルスは喧嘩相手の2人が互いに言い交わす言葉で、タックルセーはその喧嘩を周りで眺めているやじ馬たちが、自分の応援する方に激を飛ばすように言ったりする言葉となる。あるいはまた、
 「兄貴、あいつこっちの言うことを聞かないぜ」
 「何だとー!俺たちをバカにしてるな、タックルセー」というような使い方をする。このタックルセーは兄貴も弟分も同じ場所にいて,、兄貴分が弟分に命令する感じ。和語で言い換えると「やっちまえ!」という感じ。タックルセーと言われると何だかやる気になってくる。ボクシングでセコンドが選手に対し声をかける「ヤレー、イケー」というような声かけに似ている。選手はそれによって闘争本能が燃え上がる。

 あおり運転とは最近の流行り言葉だが、タックルセーは喧嘩気分を盛り上げるあおり言葉と言ってもいい。和語では他に「無礼者!」というのもある。これは、言われた相手が「何だとー、何様のつもりだ!」と、喧嘩気分の盛り上がるあおり言葉だ。
 アメリカの大統領だけではなく、日本国も韓国も「言うこと聞かん奴はタックルセー」と何者かに煽られてはいないだろうか。遠くの親戚と仲が悪くても、「お前とはもう絶交だ!」と会わないようにすればよく、人生にそう影響は無いが、隣の人と仲が悪かったら人生楽しくないぞと私は思う。隣の人が屁をしたら臭いけど、その位は我慢しよう。
     

 記:2019.7.21 ガジ丸 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行


セグロセキレイ

2019年07月24日 | 動物:鳥

 褒められたいオジー

 先週、「ビンズイ」を紹介したが、いろいろ調べている内に、ビンズイがタヒバリの仲間であり、タヒバリはしかし、ヒバリの仲間ではないことなどを知る。

 散歩して少し疲れた私は公園のベンチに腰掛けて一休みしている。公園で遊んでいる小さな子供たちが遊ぶのをやめて大きな木の上を見上げている。木の上の方の枝には大きな声で鳴いている1羽の鳥が留まっている。子供たちが私のいる所に寄ってきて、
 「オジー、あの鳥は何ていう名前なの?」と訊く。
 「あー、あれはね、ヒヨドリっていうんだよ。」と私は答える。なんていう爺さんに私はなりたいと思って、草や木や鳥や虫たちの名前を覚えようとしているのだが、これがなかなか難しい。プロジェクトX風に言えば「困難を極める」となる、大げさだが。
 「あれは確かタヒバリだな。」
 「タヒバリって、ピーチクパーチクのヒバリの仲間なの?」
 「違うよ、タヒバリはヒバリの仲間ではないんだよ、ほら、あそこに顔とお腹が白い鳥が2羽いるだろ、あれはハクセキレイっていうんだ。タヒバリはあれの仲間なんだよ。」なんてオジーは得意そうに答える。「物知りだね」とオジーは褒められたい。
     
 セグロセキレイを最初に見たのは2006年6月7日、愛媛県宇和島で。それ以前に沖縄では見たことが無い。調べると稀にしかやってこない迷鳥とのこと。それから約8年経った2014年3月6日、畑で遭遇する。滅多に見られないものに遭遇するのは嬉しい。滅多に見られないものは覚えやすい。きっと、オジーになっても覚えている、はず。
 
 セグロセキレイ(背黒鶺鴒):スズメ目の冬鳥
 セキレイ科の迷鳥 九州以北の山地渓流添いに生息 方言名:なし
 名前の由来は資料が無く正確には不明。漢字表記の鶺鴒は『動物名の由来』にあり、鶺鴒は漢名で、その音読みがセキレイで、それがそのまま和名になったようである。セグロについては、『野鳥ガイドブック』に「全体が白色であるが、頭から背、尾や胸にかけて黒色」ということからセグロ(背黒)だと思われる。
 体の特徴は他に、「額から続く白い眉斑がよく目立つ。くちばしと足は黒色」とあり、行動の特徴として「長い尾をよく振る」とあった。「長い尾をよく振る」はセキレイの仲間の特徴のようで、ハクセキレイやキセキレイが尾をよく振るのは何度も見ている。
 全長21センチ。九州以北の山地・・・に生息とある通り、沖縄ではほとんど見られない。迷鳥として稀に渡来するとのこと。
 水田や河口付近などの水辺に生息し、見られる時期は10月から3月。
 
 宇和島の

 記:2017.7.15 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『検索入門 野鳥の図鑑』中村登流著、株式会社保育社発行
 『野鳥ガイド』唐沢孝一著、株式会社新星出版社発行