ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

アカギカメムシ

2019年03月20日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 カメムシ界代表

 沖縄の動物を紹介するようになってもう14年ほどになるが、当然ながら(分母が大きいので)その内昆虫類が最も多く、既に300種を超えている。その多くは既に物覚えの悪い私の脳味噌から消えているが、有名どころはその姿と共に記憶にある。
 物覚えの悪い脳味噌ではあるが、14年前から図鑑を見る機会が多くあったので、まだ出会ってもいない昆虫でも記憶に残っているものもある。図書館から借りる昆虫図鑑の全てに、昆虫だけでは無く身近な動物を紹介しているほとんどにも記載がある有名どころはたいてい覚えている。カメムシなんて世の中の美女たちに見向きもされないであろうが、ほとんどの図鑑に載っているアカギカメムシは、未遭遇だが私の記憶にあった。

 アカギカメムシは『ふる里の動物たち』によると「アカギによくつくカメムシ」なのでその名がついているようだが、『沖縄昆虫野外観察図鑑』には寄主としてアカメガシワ、ウラジロアカメガシワ、オオバギ、カキバカンコノキとあり、アカギはなかった。
 それでも、オオバギはアカギよりもさらに多く見られる樹木であり、アカメガシワもしばしば見かける樹木。たとえアカギが寄主でないとしても、それらが寄主であれば本種はどこにでもいるカメムシの種類と言える、はずだが、長く発見できなかった。
 アカギカメムシはしかも、体長もカメムシの中では大きい方で、色も赤や橙や黄色だったりでよく目立ち、1本の寄主樹木に大量に発生するともあって、そこにいればすぐに気付くはず。しかも私は、虫の写真を撮ってやろうという意欲のあるオジサンだ。どうして有名で目立つ虫に遭遇できないのか、今から思えば不思議なことであった。
 2018年12月、今住んでいるアパート、2階の私の部屋から階段を下りて1階の出口前、最後の階段の片隅に彼はいた。彼はしかし、既に死んでいた。
 
 アカギカメムシ(赤木亀虫):半翅目の昆虫
 カメムシ科 種子島以南、台湾、東南アジアに分布 方言名:フー
 名前の由来は『ふる里の動物たち』に「アカギによくつくカメムシなので」とあった。ではあるが、『沖縄昆虫野外観察図鑑』に記載されている寄主はアカメガシワ、ウラジロアカメガシワ、オオバギ、カキバカンコノキとあり、アカギはなかった。
 出現は周年。「寄主の葉上で集団を作ることがあり、8~10月には集団の個体数が多くなり、1本の寄主に1~2千個体も見られる」とある。であれば目立つはず。
 やや大型のカメムシで体長19~26ミリ。体色は紅色から橙黄色まであり、背中には黄白色に囲まれた黒斑が数個ある。大きさも色も模様も目立つ。どこにでもいて、しかも大群になり、体長も大き目で色も目立つ。なのに長く発見できなかった。
 「8~10月には集団の個体数が多くなり」の頃の体色は概ね橙黄色で、その前の7月頃、幼虫が産まれる頃の体色は橙赤色とのことで、さらに目立つようである。
 「母虫は孵化まで抱卵し続け、口器から水分を出し卵塊表面を湿らせる。天敵(アリなど)の攻撃に対しては体で卵を覆い隠すか、臭気を放出して追放する。いわゆる子守虫としてよく知られる」と『沖縄昆虫野外観察図鑑』にあった。見上げた母である。
 分布の種子島以南は奄美大島、沖縄島、石垣島、西表島となっている。
 
 横から
 
 仔虫

 記:2019.3.17 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『沖縄の生きものたち』沖縄生物教育研究会編著、発行


マルツノゼミ

2018年03月16日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 とても小さな

 今回紹介するマルツノゼミは、初遭遇して写真を撮ったのは2014年4月のこと。遭遇した場所は私が借りている畑ナッピバル(私による命名)で、何者かを調べてそれがマルツノゼミであると判ったのは、おそらくそう時は経っていない。何しろ大きな特徴があるので判り易かった。大きな特徴とは、セミにしてはとても小さいということ。
 その約1年後、従妹Tが息子Rを連れてナッピバルへ遊びに来た。Rはその時小学校2年か3年生、男の子らしく昆虫好きで、畑に来るとたいてい虫探しをしている。ちょうどその頃、イワサキクサゼミが畑に現れていて、鳴き声が聞こえていた。

 「今鳴き声が聞こえるのはイワサキクサゼミだよ」と、オジサンが得意げに言うと、
 「知ってるよ、でも、もっと、ずっと小さなセミがいるよ」Rは言う。その時、既にマルツノゼミの存在を知っていて、セミの仲間ではないと確認済みであった。
 「それって、マルツノゼミのことか?」
 「そうだよ」
 「マルツノゼミはセミの仲間じゃないんだよ」と、オジサンはさらに得意げに言う。すると、Rは面白くなさそうな顔をし、黙ってしまった。
 その時私は、「そうか、よく知っているね、よく勉強しているね、偉いね」などと言ってあげれば良かったのだ。そうすれば彼は、もっと昆虫に興味を持って、もっと勉強したに違いない。子供を育てる立場であるという意味で、私は大人失格であった。

 先日(2018年になって)、マルツノゼミを紹介しようと思って、その説明文を書いている時、文献やネットを調べていたら、
 カメムシ目は 腹吻亜目(アブラムシ、カイガラムシ、キジラミなど)
        頸吻亜目(ヨコバイ亜目:セミ、ヨコバイ、ウンカなど)
        鞘吻亜目
        カメムシ亜目(異翅亜目)
の亜目に分かれていて、マルツノゼミは頸吻亜目(ヨコバイ亜目)の中の、セミ型下目の中の、ツノゼミ上科の中のツノゼミ科となっている。ツノゼミ上科にはヨコバイ科も含まれているのでセミよりはヨコバイ科に近いようだ。
 しかしながら、セミ科とツノゼミ科は、カメムシ目の中では同じセミ型下目に含まれているもの。仲間といっても良いのであった。そこまで理解した上で、オジサンは小学校低学年の男子に丁寧に教えるべきだった。やはり私は大人失格。

  
 マルツノゼミ(丸角蝉):半翅目の昆虫
 ツノゼミ科 南西諸島、日本全土、シベリア、他に分布 方言名:不詳
 名前の由来、広辞苑に「つのぜみ」があった。角蝉と漢字表記され「カメムシ目ツノゼミ科の昆虫の総称・・・一見セミを小さくしたように見えるが、前胸部にさまざまな形をした突起を備える」とのこと。「一見セミに見え」から蝉、「前胸部に突起を備え」から角だと思われる。マル(丸)は私の想像だが、背中が丸いからだと思われる。
 「ツノゼミの仲間は熱帯地方に多く分布」とあるが、本種はシベリアにも分布し、分布はその他オーストラリア、ヨーロッパ、北アメリカとなっている。分布の南西諸島を詳しく記すと、西表島、石垣島、南北大東島、沖縄諸島となっている。
 体長4~5ミリと小さく、なかなか出会う機会がない。私の畑ナッピバルで過去6年間で見たのはたったの2回だけ。本種を探す目的で数時間藪の中を歩けば見つかるかもしれないが、それだけの手間暇を掛けるほど私は昆虫に愛情を持っていない。
 寄主は広葉樹、個体数は多くないとのこと。成虫の出現は5~11月。

 記:2018.3.12 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行


オオモンシロナガカメムシ

2017年09月29日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 地表でよく見る

 私の畑にカメムシの類はたくさんいる。例えば、フウセンカズラに群れるアカヘリカメムシ。ダイコン、キャベツ、カラシナなどに着くヒメナガメ。イネ科植物に着くホソハリカメムシ。ナス科の植物に群れるホオズキカメムシ。樹木の葉上でよく見るナナホシキンカメムシ。エダマメに群れるホソヘリカメムシ。サクナに群れるアカスジカメムシ。畑小屋周辺をウロチョロするビロウドサシガメなど、年に数度はお目にかかっている。
 上記のように季節によって、あるいは育てている作物によって見られる種類は異なるものが多いが、季節によらず、作物によらずよく見るカメムシもいる。

 オオモンシロナガカメムシはたいてい地表を歩き回っていて、畑でよく見かけるカメムシの1種。よく見かけて1度写真を撮って、それで済ませていたが、何度か見た内のその半分くらいは別種のオオシロヘリナガカメムシだったかもしれない。両者良く似ているらしいので、私には別種と気付かなかったのかもしれない。
 じつは、『沖縄昆虫野外観察図鑑』にはオオシロヘリナガカメムシが紹介されていて、最初は、私が撮った写真のものはオオシロヘリナガカメムシと思っていたが、オオシロヘリナガカメムシの説明文の中で、オオモンシロナガカメムシが良く似た近似種として紹介されており、私の写真のものがどちらなのか迷っていた。で、新たに西原町立図書館にあった『日本原色カメムシ図鑑』を参考文献に加え、調べてみた。
 同図鑑に「(オオシロヘリナガカメムシ)は前胸背側縁の隆起条が幅広く黄白色を呈す・・・オオモンシロナガカメムシにはそれがない」とあった。私の写真のものをマジマジと観察した結果、それはオオモンシロナガカメムシであろうと判断した。
 
 オオモンシロナガカメムシ(大紋白長亀虫):半翅目の昆虫
 ナガカメムシ科 本州~九州、沖縄島に分布 方言名:フー(カメムシの総称)
 名前の由来は資料が無く不明。カメムシは広辞苑にあり、椿象、または亀虫の漢字が充てられている。椿象は不明だが、亀虫はその形を亀に喩えたのだと思われる。ナガはナガカメムシ科という一群があり、体が細長いことからきていると思われる。
 オオモンシロに大紋白という字を充てたのは私の想像。今回から新たに参考文献に加えた『日本原色カメムシ図鑑』に「翅は・・・先端近くに不規則な白色の大きい紋がある」とあり、「大きい紋が白い」ことから大紋白ではないかと思われる。
 常時参考にしている『沖縄昆虫野外観察図鑑』には、オオシロヘリナガカメムシが紹介されていて、本種オオモンシロナガカメムシはその中で近似種として補足的に記載されているだけ。『日本原色カメムシ図鑑』には両者の違いが書かれており「(オオシロヘリナガカメムシ)は前胸背側縁の隆起条が幅広く黄白色を呈す・・・オオモンシロナガカメムシにはそれがない」とのこと。両図鑑の写真を見ると、両者は良く似ているが、オオシロヘリナガカメムシにはシロヘリがあり、オオモンシロナガカメムシにはそれがない。
 体長10~12ミリ。大型のナガカメムシとあったが、確かに、図鑑で他のナガカメムシを見ると、その大きさは4~8ミリのものが多い。分布は『日本原色カメムシ図鑑』に詳しくあり、本州、四国、九州、対馬、南西諸島、小笠原諸島とのこと。

 記:2017.9.16 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『日本原色カメムシ図鑑』友国雅章監修、全国農村教育協会発行


キボシサシガメ

2017年09月22日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 油断大敵のカメムシ

 カメムシの類は「へっぴり虫」との異名もあるように「屁を放(ひ)る虫」で、「触れると臭腺から猛烈な悪臭を出すものが多い」(広辞苑)とのこと。しかし私は、それが人体に害を及ぼすもので無ければ、悪臭ごときに恐れおののきはしない。
 ところが、カメムシの一種であるサシガメの類には人を刺す衛生害虫もあるらしい。それについては既に、2007年11月23日付記事『キベリヒゲナガサシガメ』の説明文にも書いてある。「サシガメの類には人を刺す衛生害虫もある」ということを私は約10年前から知っていたということになる。ところが、
 ところが、記憶力の弱い私はそんなことすぐに忘れる。「サシガメの類は危険」という情報は、私の脳味噌の中に微塵も残っていなかった。今回、キボシサシガメを調べ、その説明文を書いている時に「あー、そういえばそうだった」と思い出した次第。
 ところが、恋人(がいたころも過去に少しあった)が髪を切っても気付かない私は、細かいことにはちっとも気付かない大雑把な性質である。そんな私がカメムシのような虫を見た時、それがサシガメの類であるかどうかなんて気付く訳もない。

 キボシサシガメを見た時、それがカメムシの類であろうとは予想できたが、サシガメの類とまでは想像しない。それが危険だなんて思わずに、ゴム手袋をしていたこともあって掴んで写真を撮った。そのキボシサシガメは既に死んでいた。
 写真を撮って(2016年9月21日)からほぼ1年が過ぎて、その写真の者が何者か調べ、キボシサシガメと判明する。すると、図鑑の説明に「時折人間を刺すことがあり、かなり痛い」とある。手袋してて良かった、相手が死んでいて良かったと思った。
 
 キボシサシガメ(黄星刺亀):半翅目の昆虫
 サシガメ科 南西諸島の一部、台湾、フィリピン、インドに分布 方言名:フー
 名前の由来は『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「革質部は黒褐色で1対の楕円形の黄色紋を有し、和名はそれに由来する」とあった。サシガメについては広辞苑に「カメムシ目サシガメ科の昆虫の総称・・・多くはほかの昆虫を捕らえて吸血するが、人を刺す衛生害虫もある」とあり、(口吻を刺して)「吸血する」ことからだと思われる。
 広辞苑の説明文に「人を刺す衛生害虫もある」ともあるが、本種はその1つのようで、『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「時折人間を刺すことがあり、かなり痛い」とあった。気をつけなきゃと思ったが、出会う機会は少なそうだ。同書に「雑草地や灌木林の地表に生息するが、個体数は多くない」とあった。私も2016年9月の一度しか見ていない。
 体長13ミリ内外。寄主は昆虫類、成虫の出現は周年。分布を南西諸島の一部と上記したが、詳しくは「石垣島、北大東島、沖縄島、トカラ列島」とのこと。
 
 横から

 記:2017.9.8 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『日本原色カメムシ図鑑』友国雅章監修、全国農村教育協会発行


フタホシハゴロモ

2017年09月08日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 見た目に似ず

 沖縄の基幹作物であるウージ(サトウキビ)、農家として認められていてウージを生産すれば、それを製糖工場が必ず買ってくれるらしい。作れば必ず金になるから基幹と言っていいわけである。作れば必ず金になるウージ、私の畑にも少しある。しかし、私のウージは換金作物では無い。私が農夫として認められていないからということもあるけれど、私が売ろうと思ってウージを育てているわけでは無いという理由が大きい。
 私のウージは、砂糖も自家生産してやろうと言う魂胆で育てている。実際には砂糖ではなく液糖であるが、大地と太陽と雨が育てた自然100%のウージ液糖、人間の体に良いものがたっぷり含まれているに違いない。糖類はそれだけで良しと私は思っている。

 去年の9月、私の大事な糖類摂取源であるウージにたくさんの蛾らしき虫が着いているのを発見。手で追っ払ってやろうと思ったが、数が多過ぎてそれは断念。取り敢えず写真を撮って、後日、何者かを調べる。特徴ある見た目なのですぐに判明した。虫は蛾では無く、大きく言えばセミやカメムシの仲間で、名前をフタホシハゴロモという。
 ハゴロモ科の仲間は「美しい色彩を呈する」ものが多いらしく、本種も可愛い。ところが本種は、「接触による皮膚炎症を起こさせる」らしい。見た目に似ず危険な虫であるようだ。最初に見た時の「手で追っ払ってやろうと思ったが断念」は正解だった。
 
 フタホシハゴロモ(二星羽衣):半翅目の昆虫
 ハゴロモ科 南西諸島、台湾、ボルネオ、オーストラリア、他に分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く正確には不明だが、広辞苑で羽衣を引くと、その第一義はもちろん、あの有名な天女の羽衣「鳥の羽で作った薄く軽い衣。天人がこれを着て自由に空中を飛行するという」のことで、その第三義に「カメムシ目ハゴロモ科の昆虫の総称。・・・体に比して前翅が大きく、美しい色彩を呈するものが多い」とある。「美しい色彩を呈する」ので、あの美しい羽衣に喩えたのであろう。
 フタホシは『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「先端に黒紋を有する」とあり、私の写真でも判るように翅の角、左右に1個ずつ、黒点がある。それが二星であろう。
 分布について、南西諸島と上記したが、『沖縄昆虫野外観察図鑑』にはもっと詳しく書かれてある。「石垣島、西表島、宮古島、沖縄島、奄美大島」とのこと。
 体長、翅端まで9~10ミリ。寄主はサトウキビなどイネ科植物。成虫の出現時期は5月から11月。私の畑では去年も一昨年も9月で、サトウキビに群れていた。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「人体の首のまわりや胸部などに接触による皮膚炎症を起こさせる」ともあった。触れただけで炎症らしい。気をつけよう。
 
 群れ

 記:2016.9.11 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行