ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

オキナワウラジロガシ

2017年09月01日 | 草木:公園街路

 先週紹介した沖縄の草木「イタジイ」と同じ日、同じ場所、2011年9月16日、石垣島バンナ公園で出合ったオキナワウラジロガシ、イタジイと同じく、西原町立図書館から借りた本『沖縄やんばるフィールド図鑑』によると、「やんばるの森でスダジイ(イタジイの別名)に次いで多い」とある。であればイタジイと同じく、数年前まではヤンバルの森をたびたび散策していた私なので、オキナワウラジロガシにもきっと出会っているはず。きっと写真も撮って、パソコンの不明植物フォルダに入れてあるはず。
 パソコンの不明植物フォルダは「雑草」、「草本」、「木本」の子フォルダに分けられており、「木本」フォルダには約440枚の写真が収められている。1本の樹木につき写真は全体、花、葉などだいたい3枚は撮っているので、不明樹木は110種はある。その中からオキナワウラジロガシを探すのは面倒、ということで止めた。
 よって、イタジイと同じく、今回紹介する写真はヤンバル産ではなく石垣島産。「何で?」と問われたら、その答えもイタジイと同じ、ヤンバルには無かったが、石垣島バンナ公園には「これがオキナワウラジロガシ」という名札があったから。
     
 広辞苑で樫を引くと「ブナ科コナラ属の常緑高木の一群の総称。・・・同属の高木で常緑でないものをナラと総称。・・・果実は「どんぐり」。材は堅く、器具材その他として重要。」とある。オキナワウラジロガシは樫の1種ウラジロガシの変種。若い頃、樹木の支柱材として加工されたものを扱ったことがある。重くて堅かったという印象。
 
 オキナワウラジロガシ(沖縄裏白樫):公園・建築材
 ブナ科の常緑高木 琉球列島に分布する固有種 方言名:カシ、カシギ
 名前の由来、カシについては広辞苑に「イカシ(厳し)の上略形か」とあった。ウラジロについては同じく広辞苑に裏白と漢字が充てられ「葉の裏は蝋状物質を分泌し白色」とあり、「葉の裏は・・・白色」ということから来ているものと思われる。オキナワは琉球列島に分布する固有種だからで間違いないであろう。
 琉球列島に分布を細かく言うと、奄美大島、徳之島、沖縄島、久米島、石垣島、西表島とのこと。山地に生育し、琉球列島のブナ林の主要構成樹木の1つ。
 材は硬く、建築材として首里城前の丸柱や守礼の門など、琉球建築に古くから利用されている。また、シイタケ栽培用原木や船舶材、薪炭材にも利用されている。
 高さは20mほどに達し、文献には「庭園樹に良い」とあったが、大名屋敷のような大きな庭ならともかく、一般の個人の庭には不向き。
 実(どんぐり)は秋~冬に熟し大型とあり、加工して食用になるとのこと。花は小さく特に目立たない。開花期は2月。方言名、宮古八重山ではカスキと呼ぶ。
 
 葉

 記:島乃ガジ丸 2017.8.3 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行


イタジイ(スダジイ)

2017年08月11日 | 草木:公園街路

 西原町立図書館から借りた本『沖縄やんばるフィールド図鑑』によると、そのスダジイの説明文に「やんばるの森で最も多い樹木」とある。ちなみに、同説明文では「別名イタジイ、オキナワジイ」とあって、スダジイを代表名としているが、私が参考にしている他の文献も確認して、多数決の結果、ここではイタジイを代表名とした。
 話が逸れたが、「やんばるの森で最も多い樹木」であれば、私はこれまでに何度もイタジイを目にしているはず。数年前までは毎年のようにやんばるの森に出掛け、野山を散策して動植物の写真を撮っていた。「やんばるの森で最も多い樹木」であれば、パソコンの不明植物フォルダにおそらくイタジイはあるはず。しかし、今回紹介する写真はヤンバル産ではなく石垣島産。「何で?」と問われたら、答えははっきりしている。やんばるの森にはたくさんの樹木があったが、そのどれがイタジイなのか素人の私には判断できなかった。しかし、石垣島バンナ公園には「これがイタジイ」という名札があったから。
     

 『沖縄四季の花木』に「沖縄の山地を構成する樹木の主役」とあり、景観の主役だけでなく、ノグチゲラが営巣し、樹洞ではヤンバルテナガコガネが生活し、果実はリュウキュウイノシシ、ケナガネズミが食べ、他の鳥類の貴重な栄養源となっているようだ。
 沖縄の森の主役、今度ヤンバル(沖縄島北部の通称)へ行く機会(ガソリン代を考えると当分は無いだろうな)があれば、お目にかかって挨拶したいと思う。
 
 イタジイ(いた椎):公園・建築材
 ブナ科の常緑高木 関東地方以南、南西諸島、朝鮮に分布 方言名:シィジャ
 名前の由来は資料が無く不明。広辞苑にイタジイは無くスダジイとなっている。スダジイを引くと別名としてイタジイがあった。イタジイもスダジイも由来は不明。シイを広辞苑で引いても語源の記載は無く、よって、シイについても由来は不明。
 分布の南西諸島を細かく言うと、奄美大島、徳之島、沖縄島、石垣島、西表島となっている。山地に生育し、琉球列島のブナ林の主要構成樹木の1つ。
 高さは20mほどに達する。材は建築材、器具材、薪炭材、パルプ原料に、樹皮は染料に用いる。また、椎茸栽培の原木にも利用される。
 花は淡緑黄色で小さく目立たないが芳香がある、開花期は2月から3月。堅果(どんぐり)は卵形で13ミリ内外あり、10~12月に熟し、生食できる。
 
 葉

 記:島乃ガジ丸 2017.7.29 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行


リュウキュウハリギリ

2017年07月25日 | 草木:公園街路

 3、4年前の春、みちのく一人旅その1(その2は去年)に出た。福島で県立美術館を見学した後、午後2時を過ぎて遅い昼飯を取る。山菜の時期だそうで、山菜を肴にビールを一杯やろうと、福島駅近くでそれらがありそうな店を見つけ、ガラガラとドアを開けて中へ入る。カウンターの向こうに60歳位のオヤジが座っていて、ジロっと睨まれた。
 オヤジはテレビを観ていたようだ。テレビは大きな音量で競馬中継をやっていた。「何で、こんな時間帯に入ってくるんだ!」といった憮然とした表情でオヤジは
 「っらしゃい」と小さな低い声で言う。馬券を買っていたんだろう。オヤジにとっては客よりも競馬中継の方が大事なようである。こっちを見てはいるが、耳はテレビから離れたくないようで、なかなか立ち上がらない。傍に立っていた奥さんと思われる人が、さっと動いて、オシボリを出し、注文を聞く。生ビールと山菜の天ぷら盛り合わせを頼む。そこでやっとオヤジは立ち上がり、天ぷらを作る。包丁を握ったところでオヤジは自分の商売を思い出したようだ。愛想笑いを浮かべて「お客さん、旅ですか」などと訊く。やっと私を客扱いしてくれたのだが、そこまで、私が店に入ってから10分ほど経っていた。
 オヤジの態度はあまり良いとは言えなかったが、天ぷらは美味しかった。特に、タラノメの天ぷらは私の好物で、それも十分に旨かった。

 タラノキは、沖縄には無い。が、それに近いものはある。従姉の亭主が私同様、酒が好きで、食い物への好奇心も強く、数年前、自分の庭にリュウキュウハリギリを植えた。リュウキュウハリギリの若芽はタラノメに近い味がすると言う。植えてから3年後くらいには十分大きくなり、新芽も収穫できるようになったのだが、沖縄の春は短い。あっというまに過ぎる。収穫できるようになった去年、そして今年と、彼も私もリュウキュウハリギリの新芽を食っていない。二人とも「好奇心はあるが、貪欲では無い」のだと褒めておこう。脳が衰えて、忘れっぽくなっているだけに過ぎないのかもしれないが・・・。
 
 リュウキュウハリギリ(琉球針桐):公園
 ウコギ科の落葉高木。基本種の原産分布は日本各地。方言名:ダラギ、ヤマギリ
 基本種のハリギリは日本の他、シベリア、中国にも分布している。リュウキュウハリギリはハリギリの変種で沖縄特有のもの。
 半日陰でもよく育ち、耐風、耐潮風性も強い丈夫な木。開花期は5月から7月であるが、花は特に観賞するほどのものでは無い。樹形を楽しむ。高さ10~20mになる。
 幹、枝に鋭い棘がある。クマゼミが好んで集まる。材は器具材に使われる。
 
 葉
 
 枝

 記:島乃ガジ丸 2005.7.3 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行


ヤブニッケイ

2017年07月25日 | 草木:公園街路

 私が子供の頃、沖縄では駄菓子屋のことをイッセンマチヤグヮーと言った。マチヤグヮーは漢字にすると街屋小とでもなるか。街は市場を指し、屋がついて商店、小がついて小さな商店ということになる。イッセンは、その意味としては1銭と書いてもいい。子供相手の、単価の安い駄菓子が主な商品である。が、じっさいは1銭では無く、1セントを短く言ったもの。1セントはアメリカ合衆国の通貨。私が子供の頃、沖縄はまだアメリカの統治下にあり、我々が使う通貨はドルであった。
 当時のイッセンマチヤグヮーには、いかがわしい食い物がたくさんあった。現在では食品として使用するのを禁じられている合成着色料、合成甘味料、防腐剤などが何の歯止めも無く使われていたと思う。そんないかがわしい食い物でも子供たちにとってはご馳走となる。我々はそれらを喜々として食った。我々の世代はきっと早死にするに違いない。
 マチヤグヮーやイッセンマチヤグヮーについては後日、詳しく紹介したいと思う。

 さて、いかがわしい食い物の中に、色のついた紙があった。紙は飲み込むのでは無く、口に入れて、噛んで、紙に染み込まれている味を楽しむもの。紙を噛んだ唾液は甘く、口の中がスーッとした。舌が紙の色(赤、黄、紫など)に染まった。名前をニッキと言った。大人になってから、それがニッケイのことであることを知った。口の中がスーッとしたのはニッケイ(科学合成のニッケイかも)の成分が含まれているからであった。

 以下、2013年8月、訂正加筆。
 過日、南風原黄金森公園を散策した。ところどころに樹木札があり、その中にはその木の用途を記されたものも多くあった。ヤブニッケイは、「枝や葉に油分を多く含み、よく燃えるので、石油やガスコンロが普及する前は、薪として好まれました。種子は炊くと胡麻の代用になるようです。葉は皮膚病、水虫などの薬用になります」とのこと。
 「薪として好まれた」に私は関心を持ち、畑に1本植えておくかと思った。縄文人の生き方に憧れているので、燃料も自給しようかという魂胆。
 
 ヤブニッケイ(藪肉桂):公園
 クスノキ科の常緑高木 西日本、沖縄、台湾、他に分布 方言名:シバキ、ツツアギ
 香辛料のシナモンのことを和語ではニッケイ(肉桂)と言うが、それは樹木のニッケイの樹皮(桂皮と言う)を乾燥させたものを言う。ということで、ニッケイは樹木名でもある。そのニッケイと同属で、山地に自生することからヤブニッケイという名。
 本種の樹皮もニッケイにやや似た香りと渋みがあるらしいが、香辛料として利用されるとは私が参考にしているどの文献にも記載されていない。ただ、種子から肉桂脂をとり薬用とするのはニッケイと同じとある。紫黒色の果実、結実期は6月から9月。
 高さ10mになる。成長は速く、耐潮風性が強い。半陰でも陽光地でもよく生育する。種子が薬用に用いられ、材は器具や薪炭として利用される。花は目立たない。
 
 葉

 ちなみに、
 ニッケイ(肉桂):公園
 クスノキ科の常緑高木。インドシナ原産 方言名:なし
 
 葉

 記:島乃ガジ丸 2005.12.19 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行


モモイロノウゼン

2017年07月25日 | 草木:公園街路

 職場に近い所に農協があり、そこの購買部で野菜の苗や種、腐葉土、肥料などを私は買っている。買うものの量が少なくて、重たい荷物にならない場合には、散歩を兼ねて私は歩いてそこへ行く。そう遠くは無い。往復30分ほどの散歩。
 アパートから小学校を突っ切っていくが、昨今、学校での部外者による事件が増えたせいで、学校の門前には「部外者の立入を禁ず」などと書かれた看板が立っている。その意味するところをきちんと理解できる私ではあるが、学校内に立入りするのに何の躊躇もしない。部外者の意味を勝手に解釈し、私は部外者では無い、ということにしている。
 私は、その小学校の近所、学校の裏門から直線距離にすると30m以内の場所に住んでいる。自分で言うが、私は善良な市民である。悪いこともできないわけではないが、世界の平和と我が身の幸福を願っているので、バカなことはしない方が得策だと思っている。そんな善良な私は、小学校から見れば気のいい近所のオジサンである。子供が何か危険に晒されたときに、「助けてー」と頼まれれば、「よっしゃ!」と駆けつけることもできるオジサンなのだ。学校の安全のためにも、こんなオジサンをどんどん利用するといい。オジサンは、それが自分にできることであれば利用される準備はできている。学校のために役に立つのだ。よって、オジサンは部外者では無い、ということになるのである。

 部外者でないオジサンは、先日もまた堂々と小学校の北門から入り、校舎の裏を通り、幼稚園の前から西門へ抜けて、散歩ついでの買物へ出掛けた。幼稚園のちょっと手前にモモイロノウゼンの木がある。花が咲いていたので写真を撮る。撮った写真をガジ丸HPに載せる。それまで、その花がモモイロノウゼンであることを全く疑っていない。
 この月曜日(11日)に、職場でガジ丸HPを見る機会があって、たまたまその写真を見た。タイトルがモモイロノウゼンとある写真2枚はフイリソシンカであった。フイリソシンカはマメ科、モモイロノウゼンはノウゼンカズラ科。花の形も葉の形も全然違う。モモイロノウゼンの花は、この小学校を通るときに何度も見ているし、アサガオのような形であることもよく知っている。なのに間違えた。調べると、モモイロノウゼンの開花期は6~8月とあった。何で間違えたのか不思議。二日酔いのせい、にしておこう。
 
 モモイロノウゼン(桃色凌霄):公園・花木
 ノウゼンカズラ科の常緑高木。原産分布は中南米。方言名:無し
 名前の由来、資料は無いが、ノウゼンカズラ科の植物で、花色が桃色なのでモモイロノウゼンという名。別名をタベブイアと言うが、これは属名から。
 イッペーやコガネノウゼン、ピンクテコマ、キンレイジュなど他のタベブイア属の植物同様、アサガオ状の花をつける。モモイロノウゼンはその名の通り桃色花。いっぺんに数多く咲くことはないので、さほど目立ちはしない。開花期は6月から8月。
 ピンクテコマと見た目がよく似ている。本種は葉がやや革質で先端部が尖る。ピンクテコマは葉が革質で先端が鈍形。どちらもエルサルバドルの国花。
 高さ10mに達するが、自然樹形が整っているので庭木としても使われる。英語名はキューバのピンクのトランペットの木、Cuban pink trumpet tree。
 陽光を好み、成長が早い。直立し、自然に美しい樹形となる。強風に弱いので、風の強い場所への植栽は避ける。ちなみに学名は、
 モモイロノウゼン Tabebuia pallida indl Miers
 ピンクテコマ Tabebuia rosea(Bertol)
 
 花
 2011.10.26訂正加筆

 記:島乃ガジ丸 2005.4.13 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行