4週前の通信記事『温暖化は着実に』で、「猛暑だった2004年」と書いたが、それは間違いで、猛暑だったのは2003年であった。どうやら、齢とると時間が速く流れるようである。3年前のことを一昨年のことだと覚え違いしたようである。
沖縄気象台のホームページに、月を上旬、中旬、下旬に分けた平均気温のデータが載っている。それによる那覇の2002年からの7月の気温(上旬 中旬 下旬)は、
2002年 28.3 27.8 28.5
2003年 29.4 30.0 30.2
2004年 28.1 29.0 29.4
2005年 29.0 29.1 29.5
となっており、いかに2003年が暑かったかが判る。
さて、梅雨明けからその2003年を上回る猛暑となった今年、7月上旬の平均気温は29.5度で、やはり2003年の記録を抜いている。ところが、中旬に入った先々週から沖縄は涼しくなった。いや、涼しいというのは間違いで、「夜寝られないほど暑くは無くなった」というのが正確。暑いには暑いが、窓を開ければ扇風機無しで過ごせた。
今年7月の上旬10日間の気温、32度台が3日、33度台が4日、35度台が1日となっている。中旬の10日間では32度台が1日あるだけで、あとはそれ以下、平均気温は28.4度となっている。なるほど、過ごしやすかったわけである。
夏の日差しが照りつける中であっても私は歩く。少なくとも往復徒歩30分程度の距離であるスーパーへの買い物は歩いて行く。今は7月上旬のような酷暑では無いので、日向は暑いけれども、ゆっくり歩けば汗が滲む程度で済む。
先週土曜日、22歳の美女からお声がかかり、デートへ出かけた。映画を観て、食事して、ジャズのライブを聴くというコースを設定し、午後3時、映画館で待ち合わせる。ウチナーンチュでありながら概ね時間を守る私は、3時ちょっと前に牧志へ着いた。牧志バス停から桜坂劇場まで5分ほどの道のり、陽射しの強い中を歩く。映画館の中へ入れば涼しいクーラーが待っている。その映画館へ後数メートルというところで電話が鳴る。
「今、向かっている途中です。場所を教えてください」と22歳。彼女は正統派のウチナーンチュなので、だいたい遅刻してくる。遅刻はいいのだが、「場所教えて」は想定外であった。有名な桜坂劇場だ、その場所をたとえ知らなくとも、前もって調べておくのは簡単なはずなのだ。しかし彼女は、準備無しでも「なんとかなるさ」と思う、これまたいかにもウチナーンチュらしい性格なのであった。
牧志バス停近くのデパート三越前で待ち合わせる。たった5分の距離だが汗をかく。首里で5分歩くのよりずっと多く汗をかく。街は暑いのである。街の空気はコンクリートで熱くして、アスファルトでも熱くして、クーラーでも熱くしているみたいである。
便利な街、車が走りやすい道、人が過ごしやすい建物、などということを目指すと街は暑くなり、過ごしにくくなる。それをカバーするために電気をたくさん使う。すると地球温暖化でますます暑くなる。化粧すると肌が荒れる。荒れた肌を覆い隠すために濃い化粧をする。すると、ますます肌が荒れる。・・・のと同じ(喩えは適切だろうか?)
沖縄気象台が観測する那覇の気温、その観測場所をデパート三越前でやったなら、平均気温はきっと2、3度ばかり上がるに違いない。
記:2006.7.28 ガジ丸