ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

クロバネツリアブ

2011年06月25日 | 動物:昆虫-双翅目(ハエ他)

 ヘリコプターなんて比じゃない

  週1回、金曜日だけ通っている職場は宜野湾市にあり、世界一危険な基地と言われ、移転先でもめているあの普天間基地のすぐ近くにある。基地のフェンスまでなら徒歩5分程度の距離。ジェット機が時々頭上を飛び、非常に煩い。
 普天間基地は米海兵隊の航空基地で、ヘリ基地として知られている。その通り、輸送ヘリや攻撃ヘリなどが配備されているが、2800m級の滑走路も1本備え、飛行機も配備されている。で、ジェット機も時々見る。ヘリコプターは頻繁に見る。
 ホバリング(hovering)という言葉は、ヘリ コプターが空中で停止している状態の英単語として私は覚えていたが、調べると、虫や鳥がそういう状態にあることも指しているらしい。ということは、ヘリコプターより虫や鳥の方が古くからいるので、「ヘリコプターのようにホバリングするアブがいる」では無く、「ヘリコプターはアブのようにホバリングできる乗り物である」と言うのがきっと正しい。
 鳥、身近ではシロガシラがホバリングしているのを時々見る。蛾の類にも上手な奴がいる。でも、一番はアブの類、彼らは特に上手で、ヘリコプターなんて比じゃない。

 
 クロバネツリアブ(黒翅釣虻・黒翅吊虻):双翅目の昆虫
 ツリアブ科 本州以南、沖縄、東南アジアなどに分布 方言名:不詳
 名前の由来について、『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「翅は黒色で」とあることからクロバネであろう。ツリアブについては、ツリアブ科と科もあるのでちゃんとした由来もあるのであろうが不明。ただ、同書に「空中で停滞飛行しているところがよく観察される」とあり、空中で止まっているところが吊られているように見える喩えなのかもしれない。ホバリング(停滞飛行)の得意なアブの仲間がツリアブ科なのであろう。
 体長13~18ミリ。成虫の出現は5月から10月。翅が長く、体の表面は黒い短毛で覆われており、腹部には白帯があるのが特徴。人の目につく日向で翅を広げ休んでいるのもよく見る。人をあまり恐れないみたいで、近付いて写真を撮ることができた。
 幼虫は各種昆虫の天敵となっているらしいが、どのような形の、どのていどの大きさの幼虫なのか興味がある。恐ろしい顔をしているのであろうか。
 
 横から

 記:ガジ丸 2011.5.28 →沖縄の動物目次
 加筆:2014.9.23

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行


オオハナアブ

2011年06月25日 | 動物:昆虫-双翅目(ハエ他)

 ハエの仲間だったのね

 去年、一昨年とやっていないが、それまではほぼ毎年、キャンプがあった。5、6年前までは年に1回は必ず、10年前の前後数年間はキャンプの最盛期で、年に2、3回行くこともあった。その頃のメンバーが今年の初めに集った。メンバーのY男とM女の入籍報告会を名目としたホームパーティーであった。その席で、「今年はキャンプを復活する」と女性陣から声があがった。久々のキャンプだ。今から楽しみである。

 キャンプの場所は概ね、ヤンバル(山原と書く、沖縄島北部の通称)のキャンプ場である。10年前頃のキャンプ場はその中の、本部町にある塩川キャンプ場で開くことが多かった。塩川キャンプ場は無料。たぶん、塩川が管理している。売店、食堂などは無かったが、水道とトイレはあった。トイレは汲み取り式。
  汲み取り式のトイレは、雲子しようとしゃがむ時に、自分のでは無い人々の雲子が目に入る。トイレットペーパーなども目に入る。それから、ウジ(蛆)も目に入る。ウジは日頃目にすることの無い虫であるが、汲み取り式トイレには付きものの虫。

 ウジはハエの幼虫とばかり思っていたが、アブの幼虫もウジであるらしい。それもそのはず、ハエとアブは同じ双翅目とのこと。広辞苑に「(ハナアブの)幼虫は長い尾を持った蛆で汚水などにすみ、「おながうじ」と呼ばれる。」とあった。ウジの形にも多少の違いがあるようである。今度機会があれば、じっくり観察してみようと思う。

 
 オオハナアブ(大花虻):双翅目の昆虫
 ハナアブ科 沖縄島、八重山諸島、中国、東南アジアに分布 方言名:不詳
 ハナアブ(花虻)は「ハナアブ科の昆虫の総称」で、「花蜜を吸う」ところからその名がある。本種はハナアブの中では大型なのでオオ(大)がつく。写真のもの、『沖縄昆虫野外観察図鑑』にはオオハナアブとあったが、別の文献にはミナミオオハナアブ(南大花虻)という名前で載っていた。亜種があるのかもしれない。
 「飛ぶときに羽音をたてるので蜂と間違う」とあるが、これは擬態の一つで、蜂に似せることから天敵に狙われにくいということらしい。虻や蠅の仲間にはよく見られることらしい。ところが私は、蜂と虻の違いが判らない。ハチは膜翅目で、アブは双翅目。ハチはハチで、アブはハエの仲間ということ。ハチとハエなら違いはよく判る。
 幼虫はいかにもハエの仲間らしく蛆で、水の中に住む。成虫は花の蜜を吸う。センダングサの花でよく見かける。山でも林でも民家近くでもよく見かける。
 体長は13~16ミリ。成虫の出現は3月から12月。
 
 前から

 記:ガジ丸 2007.1.28 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『日本の甲虫』(株)北隆館発行


ホソジマヒラタアブ/ホソヒラタアブ

2011年06月25日 | 動物:昆虫-双翅目(ハエ他)

 平たいアブ

 テキトーに文章を書いている私だが、このHPをどこかの見知らぬ子供たちも見ているということを知ったので、2007年の目標の一つに、「言葉を正確に認識しよう」ということを掲げた。知っていると思っている言葉や諺なども、勘違いして覚えている可能性が多分にあるので、できるだけ辞書を引くように心がけている。

 諺で、『二兎を追う者は一兎をも得ず』は「同時に二つの事をしようとすれば、両方とも成功しない。」(広辞苑)のこと。『虻蜂取らず』も、私はこれと同じ意味で使っているが、念のため、と調べた。『虻蜂取らず』は、「あれもこれもとねらって一物も得られない。欲を深くして失敗するのにいう。」(広辞苑)とのこと。両方の説明文を何度か読み比べる。似ているようで、どこか違うような。「同じ種類のものを2つ狙う」のと「違う種類のものを2つ狙う」という違い。どれくらい違う?
 二股かける場合を想定した。「見た目は不細工だが金持ち」の女を2人、同時に狙う。「見た目は不細工だが金持ち」の女と「美人だが貧乏な」女を同時に狙う。という2種の二股を想定し、両者の違いを考える。・・・違いが判った。前者は、どっちでも良く、どちらにも同じ程度努力して、努力がどちらも中途半端で、結局二人とも逃してしまう。後者は、どっちが良いか悩んで、どーしようと思っているうちに二人とも逃してしまう。ということであろうと私は認識した。果たして、この認識、当たっているかどうか。

 アブ(虻)は双翅目(ハエ目)で、ハチ(蜂)は膜翅目(ハチ目)で、『虻蜂取らず』のアブとハチは種が遠い。ホソジマヒラタアブとホソヒラタアブ、同じ双翅目で同じハナアブ科(属は異なる)。名前も似ているが、見た目もよく似ている。ホソヒラタアブの方が小さくて、より細いというだけの違い。この二つは、よって、去年までの私のテキトーな図鑑では「どっちでもいいや」ということになっていた。しかし、2007年、心を入れ替えた私である。今年からはちゃんとこの2つも別物と認識するのだ。

 
 ホソジマヒラタアブ(細縞扁虻):双翅目の昆虫
 ハナアブ科 奄美大島、沖縄島、台湾に分布 方言名:不詳
 ハナアブ科のうち、腹部が扁平なものを総称してヒラタ(扁)アブと言う。ヒラタアブの仲間は「多くは黒い体に黄色の斑紋を持つ」と広辞苑にあったが、本種もホソヒラタアブも「黄色の体に黒い縞模様がある」と言った方が正確だと私は思う。本種はその黒い縞模様が細いので、ホソシマ(細縞)ヒラタアブという名前。
 平地の林周辺に生息し、花の蜜を吸う。個体数は少ないとあったが、その出現する時期には、職場の庭で時々見かけた。なかなか止まってくれないので写真は撮り辛い。
 体長13ミリ内外。成虫の出現は4月から10月。ホバリングする。

 
 ホソヒラタアブ(細扁虻):双翅目の昆虫
 ハナアブ科 日本、南西諸島、台湾、東南アジアに分布 方言名:不詳
 ハナアブ科のうち、腹部が扁平なものを総称してヒラタ(扁)アブと言う。本種はその平たい腹部が細いので、ホソ(細)ヒラタアブという名前。
 ハナアブ科は花の蜜に集まるからハナアブ(花虻)という名前だが、本種の幼虫は他の昆虫の幼虫やアブラムシ類などを食べる肉食性とのこと。
 草地や林周辺に生息し、個体数は多いとのことで、冬場を除いて、職場の庭でもよく見かける。止まっていることが少ないので写真は撮り辛かった。
 体長11ミリ内外。成虫の出現は3月から11月。ホバリングする。

 記:ガジ丸 2007.1.20 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行


ヒトスジシマカ

2011年06月25日 | 動物:昆虫-双翅目(ハエ他)

 長閑も吹っ飛ぶ痒さ

 今週の日曜日(5日)、脱サラ農夫の友人Tの畑に行き、農作業を手伝った。午前中の9時から12時までの3時間、辺りは農地が広がり、小川があり、ちょっとした森がその背後にあり、爽やかな風が吹き、柔らかな陽が注ぐ中、何とも長閑な時間であった。
 その日の午後は自分の畑の仕事をする。全体の除草をし、一部は耕して、種を植える準備をし、既に耕してあった部分には枝豆の種を植え、ネギを植え、水を撒く。それらの作業に計3時間を費やした。Tの畑での作業と同じ時間である。風は爽やか、陽射しは柔らかなのはTのところと同じであったが、ただ、私の畑は、長閑では無かった。

  Tの畑にはまったくいなかったガジャン(蚊)が、私の畑にはいっぱいいた。Tの畑は広く、作物はすべて刈り取られていてガジャンが隠れる場所が無かったのであろう。それを私は、ガジャンの季節にはまだ早いのだろうと勘違いして、虫除けスプレーを塗らずにいた。初めの頃は出てこなかったが、夕方になるにつれて何匹かがやってきた。首筋や腕などを数箇所刺された。ガジャンはヤマガジャン(薮蚊)、お馴染みのガジャンだが、これに刺されるとヒジョーに痒い。長閑な気分にはとてもなれない。

 
 ヒトスジシマカ(一条縞蚊):双翅目の昆虫
 カ科 東北地方以南、南西諸島、東南アジア、他に分布 方言名:ヤマガジャン
 胸部の背側に1本の縦縞があるのでヒトスジ、脚の各関節に白斑を持つのでシマとついてヒトスジシマカという名前。ヤブカはヤブカ属のカの総称でもあるが、藪に多く生息しているところからその名となっているのであろう。ちなみに、藪のことを沖縄の方言ではヤマグヮー(山小、小さい山といった意味)という。方言名のヤマガジャンは山の蚊ということであるが、藪だけで無く山にもいるから沖縄ではそういう名となる。
 本種はヤブカ属の仲間では最も普通に見られる種で、畑にいっぱい、庭にもいっぱいいる。昼間活動するが、夕方には特に多い。庭木の茂みや林内に多く潜んでいて、人の気配を感じる(二酸化炭素を感じるらしい)とすぐに寄って来る。刺されるとひどく痒い。
 空き缶などのごく小さなものでも、水が溜まっていたりすると、そこに産卵し、そこから発生する。デング熱ウィルスの媒介者である。

 記:ガジ丸 2006.3.8 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行


キイロショウジョウバエ

2011年06月25日 | 動物:昆虫-双翅目(ハエ他)

 羨ましい突然変異

 私の祖父は、私が小学生の頃に亡くなっている。歳は七十代半ばだったと覚えている。祖父は禿げていた。ザビエル禿げあった。正面から見ると角刈りに見えたが、上から見ると、頭頂部の半径数センチの円内には髪の毛が無かった。これはよく覚えている。
 私の父もザビエル禿げである。彼は現在、祖父が亡くなった歳と同じに位になるが、四十代から禿げ始め、今はもう全体的にもだいぶ薄くなってきている。
 私もまたザビエル禿げである。私は三十代後半から薄くなり始めた。私は確かに父の息子で、祖父の孫であることを確信したのであるが、ところがどっこい、私は粘っている。自作の禿げ(無い)薬で何とか禿げの進行を食い止めている。祖父や父のレベルに達するにはまだまだ長い時間を要しそうなのである。代々続く遺伝は私の血にも間違いなく流れてはいるのだが、日々の努力によって遺伝の発現を阻止しているわけである。
 私の弟は禿げていない。彼も中年と呼ばれる歳になったが、まだ髪の毛はフサフサである。弟のような事例を突然変異と呼ぶのかどうかは知らないが、羨ましいこと。

  キイロショウジョウバエは突然変異の発見の元となり、遺伝学に大きな貢献をしたハエである。そのことから、ショウジョウバエという名前は私もよく知っていた。しかしながら、周りにいくつも飛んでいるハエのどれがショウジョウバエなのかは知らずにいた。
 我々が(首里近辺のごく一部かもしれない。方言辞典に載っていない)シーベーと呼んでいる、台所の生ゴミなどに寄ってきて日頃煩く感じているハエを写真に撮った。身近にたくさんいて、鬱陶しい奴なので、そのうちその正体を調べてやろうと思っていたもの。ごく小さな(2ミリ)ハエなので、接写のできる新デジカメでなければ撮れなかった。

 
 キイロショウジョウバエ(黄色猩猩蠅):双翅目の昆虫
 ショウジョウバエ科 日本全土、南西諸島、世界各地に分布 方言名:シーベー
 ショウジョウバエはショウジョウバエ科のハエの総称で、複眼が赤いところからショウジョウ(猩猩:中想像上の怪獣。朱紅色の毛をしている)という名。本種の体は赤褐色であるが、まあ、目の色に比べると黄色っぽいということからキイロなのであろう。
 赤い眼が特徴の本種だが、1910年、アメリカのモルガンにより白目の突然変異体が発見された。そこから物語が始まる。遺伝学の研究に大きな役割を果たしたハエ。
 台所の生ゴミを溜めている辺りでよく見る。果実や茶滓などで繁殖するらしい。梅雨時と秋に発生が多い。体長2ミリ内外とごく小さなハエ。成虫の出現時期は周年。
 
 横から

 記:ガジ丸 2006.3.8 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行