ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ヒイラギ

2018年04月19日 | 草木:中木

 私は、詩はあまり読まない(最近は小説もほとんど読まない)が、沖縄産の詩人、山之口獏は大好きである。若い頃、女にもてない不幸な境遇にあり、結婚したいという詩をたくさん書いた詩人。その後、何とか結婚できたのではあるが、若い頃からの貧乏は結婚後もずっと続き、次には、お金が欲しいという詩をたくさん書いた詩人である。
 『鮪に鰯』という題の詩がある。

 鮪の刺身を食いたくなったと
 人間みたいなことを女房が言った

と始まる。これだけでも面白そうでしょう。続きを読みたくなった人は山之口獏詩集を買うなり、図書館で借りるなりして読んでいただきたい。

 焦げた鰯のその頭をこづいて
 火鉢の灰だとつぶやいたのだ

で終わる。全体には「俺たちゃ貧乏人」という表現の中、途中に「ビキニの灰」という言葉があり、原爆に対する批判がこの詩には込められている。

 植物のヒイラギを調べていると、鰯が出てきた。鰯というと真っ先に私は、この山之口獏の詩『鮪に鰯』が浮かんだのであった。ヒイラギとは何の関係も無い。
 
 ヒイラギ(柊・疼木):主木・添景
 モクセイ科の常緑中木 原産分布は関東以南、沖縄、台湾、他 方言名:なし
 疼はヒイラと読み、疼ぐはヒリヒリと痛むという意味がある。葉に棘があって、触るとヒリヒリ痛む木ということで疼ぐ木、これが詰まってヒイラギとのこと。
 沖縄には無い風習だが、「節分の夜、この枝と鰯の頭を門戸に挿すと悪鬼を払うという。」と広辞苑にあった。ヒイラギの棘は鬼も痛かろうが、鰯の頭が何なんだか?
 「鰯の頭も信心から」という諺がある。「鰯の頭のようなつまらないものでも、信仰すると、ひどくありがたく思える。」(広辞苑)ということ。これが関係しているのか。
 10月から11月、葉の付け根から花茎が出、小さな白い花が集まって咲く。高さが3~5mに留まり、樹形が整うので庭木に用いられる。剪定が効き、段作りもできる。
 
 葉

 記:島乃ガジ丸 2005.11.28 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行


アワダン

2017年08月04日 | 草木:中木

 アワダンの写真のプロパティーを見ると、撮った日時は2011年9月15日午後4時17分となっている。その日その時私は与那国島にいた。埼玉の友人Kと八重山与那国オジサン二人旅の初日だ。楽しい旅だった。「そうか、あれからもう6年も経つのか、光陰矢のごとしだな、まったく。あの世からのお呼びもすぐだな」と感慨にふける。
 アワダンを調べると、名前の由来が私の参考にしているどの文献にもなく不明。で、私得意の想像(妄想は大得意だが)で、「アワダンのアワは粟であろう」と判断。下にその写真を掲載しているが、小さな果実が100~150個ほどかたまって着いている。小さなブツブツ、それを粟に喩えたのではないかと想像した訳である。
 と想像しながら、「待てよ、俺は粟をそれと知って見たことがないぞ、何で粟がブツブツだと思ったんだ?」と考えて、「そうか、あれだ、粟おこしだ、ブツブツのお菓子だ」と閃いた。粟おこしは「粟で製したおこし種を、砂糖・水飴で固めた菓子」(広辞苑)のこと。粟おこしは私が子供の頃から沖縄にもあって、子供の頃から食べている。

 粟と言えば五穀の1つでもある。劣等生ではあったが、一応日本文学科を出ているのでそれくらいは知っている。粟の実が小さいものであることも、実物を見たことがないけれど粟粒という言葉から知っている。「きわめて小さいものにたとえ」(〃)のこと。
 アワダンのダンは、下記の説明文では真面目な想像をしているが、ここでは別に、弾ということにしてみよう。粟弾、きわめて小さい弾となる。北の太っちょが血迷って発射をし続けているミサイルがほとんど被害のない粟弾であることを祈る。あるいは泡弾でも良い。そう願う。植物とは関係ない話になってしまった。時節柄ということです。
 
 アワダン(あわだん):景観、防潮風
 ミカン科の常緑中木 与論島以南の琉球列島、台湾などに分布 方言名:アワラン
 名前の由来は資料がなく不明。ダンは檀と想像する。檀は紫檀、黒檀、栴檀など、材質の堅い樹木の名に使われる。本種が「材質は堅い」と書かれてある資料はないのだが、ミカン科であり、ミカン科の樹木には材質の堅いものが多いのでそうであろうと判断。アワについては粟と想像する。花は房状に着き小さい。果実も小さくて固まって多く着く。そのブツブツした果実を粟粒と見立てたのではないかと思われる。が、自信はない。
 高さは6mほど。葉はミカン科の多くがそうであるように良い香りがする。花は白色で小さい、開花期は12月から1月。果実は径5ミリ程度と小さく、食用にならない。
 寒さに弱いということで、分布も与論島以南とある。琉球列島では宮古諸島に多く見られるとのこと。耐潮、耐乾性があり、日向でも日陰でも生育する。
 
 実

 記:島乃ガジ丸 2017.7.27 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行


ハテルマギリ

2017年07月28日 | 草木:中木

 300坪の畑を始めてからの植物、及び動物写真は、ほとんど畑と畑周辺のものとなっているが、以前はあの海この海、あの山この山、あの町この町、あっちの公園こっちの公園を歩いて撮っていた。数年前(中には10数年前のものもあるが)の写真を見て、この木この花どこで撮ったのかは、老化した私の脳は蹴っても殴っても思い出せない。ただしかし、この木この花をどこで撮ったのかは、ちょいと調べれば判る。写真の撮影日時を見て、その日の日記を開けばその日その時私がどこにいたかがほとんど判る。

 ハテルマギリの写真が5枚ある。もちろん、それらの5枚はハテルマギリと知って撮ったのではなく、後日、調べてそうであると判明したもの。この内2枚は2011年9月17日で、残る3枚は2012年9月10日と日付けされている。早速どこで撮ったかを日記を開いて調べる。2011年は波照間島、2012年は多良間島であった。
 と知って、「偉いぞ俺!」と膝を叩いた。おそらく、その名前の由来となっていると思われる波照間島でハテルマギリを見て、その写真を撮っている、「本家本元のハテルマギリだぜ」と思って、「でかした俺!」と思ったわけ。ところがどっこい、
 波照間島から1年後の多良間島で撮った3枚の写真の方がきれいに撮れている。ということで、ここで紹介する写真は全て多良間島のもの・・・いや、やはり、本家本元に敬意を表して1枚だけは、実の写真だけは波照間島のものを使おう。武士の情けじゃ。

 
 ハテルマギリ(波照間桐):景観、防潮風 
 アカネ科の常緑中木 国内では宮古諸島、八重山諸島に分布 方言名:イバガサ
 名前の由来、資料はないが想像はつく。キリは高級箪笥の材料として有名なあの有名な桐。桐はゴマノハグサ科で本種はアカネ科と、ちっとも近くは無いのだが、葉の形が桐に似ているからであろう。ただ、私が見る限りでは、ハスノハギリ(ハスノハギリ科)は確かに「葉の形が桐に似ている」が、本種はさほど似ているとは思えない。
 ハテルマについては「宮古諸島、八重山諸島に分布」ということで、八重山諸島の1つである波照間島にちなんだものと思われる。
 幹は直立し高さ5m内外。葉脇から集散花序を出し花をつける。花は白色~淡黄色で芳香がある。開花期についての資料は無いが、文献の写真は5月、私の写真は9月、ということで、ここでは5月から9月に開花ということにしておく。
 海岸に自生し、耐潮性が強い。防風防潮樹として利用されるとのこと。
 
 花
 
 実

 記:島乃ガジ丸 2017.7.13 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行


リュウキュウハギ

2017年07月16日 | 草木:中木

 10月の中旬。岩手の平泉、花巻を訪れ、町の中、山の中を歩いた。山でも町でもいたるところにアジサイが咲いているのを見た。アジサイの花期は6月から7月、梅雨の花として知られている。10月にも咲くとは知らなかった。台風の刺激による狂い咲きなのかもしれない思ったが、そのことを土地の人に訊くのを忘れたので、詳細は不明。
 学校や民家の花壇の草花、路傍のいくつかの雑草を除くと、概ね岩手の10月は花の無い季節のようだ。咲いているだろうと期待していたハギの花も既に終わっていた。さすが北国だった。
 7、8年前に鎌倉を旅した。寺巡りをした。ほとんどの寺にたくさんのハギが植えられてあった。10月か11月頃だったか、訪れた時期ははっきり覚えていないが、その時も花の季節は終わっており、ハギの枝先には花では無く、たくさんの種子が付いていた。
 そんなわけで、私はリュウキュウハギ以外のハギの花を生で観たことが無い。若い頃からさまざまな季節にあちらこちらを旅しているので、きっと見たことはあるのだろうが、草木に興味を持ったのはオジサンという歳になってから。若い頃見たとしても、ちっとも覚えていない。

 そう言えば、リュウキュウハギでないハギを自分で育て、その花を見てやろうと思い、鎌倉の寺にあったハギの種を違う種類ごとに数個ずつ採って、持ち帰ったのを今、思い出した。おそらく家の中の書類ケースの何段目かの引き出しにまだあるはず。7、8年もの間、引き出しの奥で眠ったままのはず。薄情なオジサンに、7、8年ぶりに突然思い出されて、気まぐれに引き出しから引っ張り出されてもハギの種は戸惑うばかりであろう。忘れたままにしておこう。

 
 リュウキュウハギ(琉球萩):生垣・添景・法面緑化
 マメ科の落葉中木 分布は東南アジア、マレー半島 方言名:ハヂ
 沖縄の環境が大好きなのか、よく分枝し、成長も速い。あまりにも枝を広げ、伸ばすので、鬱陶しいと感じる時もある。が、樹冠いっぱいにつけた赤紫の花は見事。鎌倉の寺にあるハギは、ミヤギノハギ、ヤマハギといった種らしい。写真で見ると紫の花はいかにも可憐。それに比べてリュウキュウハギの赤紫は派手に感じる。花期は年に2回、3~6月と9~11月。
 職場の庭にあるリュウキュウハギ、例年だと今頃満開なのだが、今年は度重なる台風襲来のせいか、花つきがよくない。台風24号は本島に近づく前に温帯低気圧に変わりそうなので、一安心。この先、台風が来なければ、2週間後には職場のハギも満開になってくれるであろう。
 新しい枝に花芽をつけるので、花後の冬場に強剪定すると次の年の花つきが良くなる。リュウキュウハギは種子ができない。増やすときは挿し木か株分けをする。

 記:2004.10.24 島乃ガジ丸 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行


ユッカ

2017年07月16日 | 草木:中木

 ユッカヌヒーという言葉が沖縄にある。和語のオ段が、ウチナーグチ(沖縄口)ではウ段に変化するので、ヌは和語にするとノということになり、したがって、ユッカヌヒーはユッカの日となる。といっても、植物のユッカを愛でる日ということではない。ユッカのユもまた、和語ではオ段となり、ヨッカ、したがってユッカヌヒーはヨッカノヒ(4日の日)ということ。旧暦5月4日を指し、その日に行われる行事を意味する。

 わざわざ日を設けてウチナーンチュに愛でられるということは無いが、ユッカは観葉植物として人気があり、また、亜熱帯の沖縄では露地植えでも十分生育するので、民家の庭や公園などでも時々見かける。であるが、実は私は、民家の庭や公園などでも時々見かけるものがユッカであるかどうかについては、あまり自信が無い。同じく観葉植物として人気のあるドラセナの仲間と似ているからだ。ドラセナもまた、沖縄では露地で育ち、ユッカよりももっと多く、民家の庭や公園で見かける。ただ、ユッカの方がドラセナより力強い感じがするという印象があるので、撮った写真はおそらくユッカだと思う。

 
 ユッカ:添景・鉢物
 リュウゼツラン科の常緑低木 北アメリカ・西インド諸島に分布 方言名:なし
 ユッカはYucca(イトラン)属の植物の総称であり、約40種ある。別頁で紹介するキミガヨラン(yucca gloriosa)もその一つで、じつは、ユッカというとキミガヨランの別称にもなっている。であるが、一般にユッカという名前で市販されている観葉植物はユッカ・エレファンティペス(yucca elephantipes)で、ここで紹介するのはこれ。
 葉の形状は他の主なリュウゼツラン科植物同様、細長く、厚い。先端は尖っているが、キミガヨランほどには鋭く無い。葉柄は無く、幹を巻くようにして密生させる。
 高さは2m程度。鉢物では1~2mのものが主流。全体の形状は、キミガヨランはリュウゼツランに似ているが、本種はどちらかというとドラセナに似ている。リュウゼツラン(アガベ属)もドラセナ(ドラセナ属)も同じリュゼツラン科の植物。
 葉脇から花茎を伸ばし、その先に多数の小さな花をつける。花序の形状もドラセナ類に似ている。花色は白、開花期は初夏から秋。キミガヨランに比べると花は地味。
 ちなみに、イトラン(糸蘭)はリュウゼツラン科の多年草。Yucca filamentosa。

 記:島乃ガジ丸 2006.4.11 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行