ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ナスのニンニク炒め

2019年06月17日 | 飲食:食べ物(料理)

 薬草の勉強をなおも続けているが、目の痛み、頭痛、肩、首の凝りを避けるため、1日8~9時間だったパソコン作業を1日4~5時間に減らした。4月中旬のことである。その他、肩甲骨のストレッチ、薬草摂取などということもやって目の痛み、頭痛、肩凝りはだいぶ良くなったのだが、首の痛みはまだ残っており、腰は相変わらず痛い。
 腰が痛いと「この先、肉体労働ができない」という思いに至って気分も沈む。気分が沈むと肉体労働ではないパソコン作業にも影響が出る。やる気がなくなる。パソコン作業だけでなく生活の概ねに元気が出なくなる。楽しいのは寝る前と、スーパー行って今宵の肴を何にするか考えながら食材を買い、家に戻ってその食材を料理して、できた肴をテーブルに並べ、先ずは1缶の発泡酒を飲み、今宵の肴に合わせた酒を飲む、のが楽しい位。一杯あるじゃねぇーかと思われるかもしれないが、腰痛前はもっと一杯あった。

 やる気が出ないので「薬草冊子その2」作りも滞っていた、そんな5月のある日、しばらくなかったニンニク料理を食うかと思い立つ。3月から沖縄もニンニクの収穫時期となる。スーパーに並んでいたのを何度か買い、元気を求め焼きニンニクなどにして食っていた。普通に美味しいニンニクだった。5月下旬になってもニンニクはスーパーや八百屋い多く並んでいたが、何度食べても元気にならないのでいつか食う気を失くしていた。
 そんな5月下旬のある日、八百屋でナスに目が行く。今宵は焼きナスにするかとカゴにいれる。ナスの真後ろの棚にニンニクがあった。「そうだ、今日は久々にニンニクを食うかと予定していたんだ」と思い出し、ニンニクをカゴに入れナスを元に戻す。その時ふと思い付いた。「そうだ、ナスのニンニク炒め」と、で、再びナスをカゴに入れる。

 ナスのニンニク炒めは、実は想い出の料理で、コンロが汚れるのを嫌がって油を使う料理の減ったここ10年は少なくなっているが、それまでは年に1~2回は作っていたと覚えている。母の料理であり、母の作るそれはとても美味しかった。
 ニンニクという強い味が加わるので塩加減さえ間違えなければ、ナスのニンニク炒めは誰が作ってもまあまあ美味しい。母の味には及ばない(何故だか不明)が、私が作ったのもまあまあ美味しい。まあまあ美味しく、母を想い出し、食べると元気になる。ニンニクの力で元気になっているのかどうかは今のところ判断できない。
     
 ナス(茄子):野菜
 ナス科の一年生草本 インド原産(推定) 方言名:ナシビ
 高温性の野菜で、30度内外が発芽適温。春蒔き夏収穫、夏蒔き冬収穫などの品種があり、沖縄ではほぼ一年中、栽培ができる。乾燥に弱い。

 記:2019.6.16 ガジ丸 →沖縄の飲食目次


シメサバ

2019年01月23日 | 飲食:食べ物(料理)

 美味しくても独り

 例年そうだが、南の島の沖縄の冬は短い。ただでさえ短いのに今年は寒くなるのが随分遅れた。一昨日からやっと冬らしい気温(最低が15度ほど)となった。
 今住んでいる私の住まいは広いので、独りでいるという心の寂しさも加わってか、さらに、腰痛が治らないという将来不安も加わってか、元気だった頃に比べると寒い日は寒さをより強く感じる。であるが、寒くなると飲兵衛の私には楽しみがいっぱいある。
 酒好きの私は酒なら何でも持ってこいなのだが、そんな中でも最も好む日本酒が、寒くなるとより旨くなる。「今宵の晩酌は日本酒だ」となると、その肴も楽しみとなる。漬物とか刺身とか、豆腐と野菜が主体で魚介が少々の鍋料理、移動販売をしている豆腐屋さんの生湯葉(とても旨い)など。どれも手間がかからないという利点もある。

 腰痛になる前、畑仕事に追われる前までは心にも時間にも余裕があったので、いくらか手間のかかる肴も自作していた。手間がかかる肴は概ねパン、シチューなどのワイン用だったかもしれないが、日本酒用で手間がかかるのも作っている、例えばシメサバ。
 シメサバとは、明鏡国語辞典によると、「締め鯖」と漢字表記し、「新鮮なサバを3枚におろして塩を振り、よく身を締めてから酢に浸したもの」のこと。手間はかかるのだが寒くなって、「日本酒飲みたいなぁ」と思った時はよく作った。
 よく作っていたので写真もあるだろうと探したらあった。2008年11月に作ったものと2012年2月に作ったもの。2008年というと首里石嶺に住んでいて、まだ会社勤めをしていてバリバリの肉体労働者。前年に母が亡くなっており、週末は実家へ行って1人暮らしの父にパソコンを教えている頃。母の一年忌が済んで気持ちものんびりしているある日、シメサバを作って独り日本酒を飲んだみたいである。
 2012年というと、前年に宜野湾市のワンルームアパートに越していて、勤めている会社が時短で週休5日となり、空いている日は親戚の土地(30坪ほど)で農作業をしている頃、2年前に父が亡くなり誰も住まなくなった実家の整理処分に動き回っている頃。そんなある寒い日に、心身の疲れを癒すためにシメサバを、2008年の時よりもずっと丁寧に作って、独り日本酒を飲んだみたいである。・・・いつも独りだなぁ。
     
     
     
 こんなこと書いて「今宵は日本酒」となりそうだが、今日は休肝日、残念。しかし、明日は市販のシメサバを買って日本酒にしよう、と考えただけで幸せになる。・・・独りだけど。
     
     

 記:2019.1.23 ガジ丸 →沖縄の飲食目次


冷やし沖縄ソバ

2018年09月14日 | 飲食:食べ物(料理)

 夏の定番

 南国沖縄が今年の夏は例年に比べ涼しかった。あくまでも例年に比べ、である。晴れた日の日中の日向はそれでも激しく暑い。沖縄の太陽は雲さえ邪魔しなきゃガンガン照り付け灼熱となる。ただ、例年よりは涼しかった。沖縄気象台のデータ(那覇)によると月平均の最高気温は、7月はここ10年で最も低く唯一30度台の30.8度、8月もここ10年で最も低いタイ記録の31.2度。ちなみに去年は酷暑だった。去年の7月はここ10年で唯一33度台の33.3度。8月も同じくここ10年で唯一33度台の33.6度。
 今年の涼しさの訳は、台風発生が多く、それに影響されて曇りの日が多く、風もそれなりに吹いていた。去年は晴れの日が多かった、で、暑かった。旱魃でもあった。7月8月の合計降水量、去年は約101ミリ、今年は同じく2ヶ月合計で739ミリ、過去10年(2008~2017)の平均は約446ミリ、去年は少なく、今年は多い。

 例年より涼しかった今年の夏、先日、ソーメン食いながらふと思い出した。数年前から去年の夏まで、私の夏のメニューの定番であった「冷やし沖縄ソバ」を、そういえば今年は1度も食べていない。「数年前」がいつかを調べると2011年であった。2011年夏というと、まだ会社勤めをしていたが、不況から時短となり出勤は週2日となっていた頃、2日間で間に合わない分は家に持ち帰ってやっていた頃だ。そして、その年9月には首里石嶺のボロアパートから宜野湾市のワンルームアパートへ引っ越している。
 沖縄気象台のデータを調べると、その年の夏は平年並みの気温で特別暑かったわけではないようだが、それでも南国沖縄、夏の日差しは殺人光線。出勤日以外の日は親戚の土地(30坪ほど)を借りて畑仕事をしていたので、汗はたっぷりかいていた。
 さらに、その時住んでいた首里石嶺のボロアパートに冷房設備は無く、部屋は2階建ての2階にあり、掃き出しの窓から西日がたっぷり入り込み、屋根のコンクリート、壁のコンクリートに夏の太陽による輻射熱もたっぷり。晴れた日は1日中暑かった。

 たっぷり寝汗をかいた朝、一夜明けてもなおムンムンしている部屋の中で、朝飯に暖かいものは食えなかった。たいてい、冷やしソーメン、ざる蕎麦、冷やし中華などを食っていた。そんなある日、冷やし中華を食っている時にふと思い付いた。「中華麺ではなく沖縄ソバの麺の方が美味しいのではないか?」と。で、試してみた。
 念の為断っておくが、以上のことをはっきり記憶しているわけでは無い。自作の冷やし沖縄ソバを撮った写真の日付がその頃のものであることから「たぶんそうだった」と想像している。でも、その頃その部屋では昼も夜も糞暑かったことはよく覚えている。
 その後の引越し先は冷房設備もあり、4階建ての2階ということもあり石嶺のアパートほど暑くはなかったが、冷やし沖縄ソバは私の夏の定番メニューとなっていた。普通の中華麺よりも沖縄ソバを使った方が旨いと私の舌は感じていた。
     
     

 沖縄ソバは概ね生麺であり、普通にかけソバとして食べる際も麺は下茹でする。下茹でしたものを器に移して、ネギや三枚肉などの具をのせてソバ出汁をかけて食べる。冷やし沖縄ソバの場合は下茹でした麺を笊に取り水で冷やす。冷やした麺の水を切って器に移して、あれこれ好みの具をのせて、冷やし中華で使うタレをかけて食う。
     

 記:2018.9.13 ガジ丸 →沖縄の飲食目次


ミミガーウサチ(和え物)

2018年07月18日 | 飲食:食べ物(料理)

 コラーゲン

 なかなか治らない腰痛を、日常の食べ物で何とかならないかと薬草の勉強をし、あれこれ薬草を摂取するようにしているが、野菜だけでなく肉類にも薬になるものがあろうと7月に入ってからチムシンジという沖縄に昔から伝わる煎じ薬を摂ったりもしている。チムは肝の沖縄語読みで豚レバーのこと、シンジは「煎じ」の沖縄語読み。
 チムシンジが腰痛に効くとはどの参考文献にも無かったが、とにかく元気にはなる。それはそれで十分。腰以外の他の部分が元気であれば腰にも良い影響を与えるはず。
 元気はそれで良いとして、腰痛に効く肉類はと考えたらコラーゲンという単語が先ず頭に浮かんだ。コラーゲン、鶏の手羽やら、豚足やらを煮込んでいたらトロトロするが、そのトロトロの元になるもの、その汁が冷えたら固まるもの、ゼラチンの原料。
 コラーゲンを『現代用語の基礎知識』で引いたら「鶏肉の皮付き手羽」などに含まれ、「皮膚や骨、目などの老化を防止する」とあった。骨の老化防止なら腰痛にも良かろう。腰痛となってから老眼も酷くなっているので、「目の老化防止」にも惹かれる。

 肉を食うならコラーゲンの多い部位をということで、鶏手羽、テビチ(豚足)、牛筋肉を好んで食べるようにしている。そして、沖縄料理には他にも良いのがあった。
 ミミガー、漢字で書くと耳皮であるが、人間の耳皮を指しているのではなく、沖縄料理で使う豚の耳たぶのことを言う。ミミガーというと、私の頭には豚の耳たぶそのものではなく、豚の耳たぶを使った料理が思い浮ぶ。ミミガーウサチが何よりも先に浮かぶ。ウサチとは和え物を意味する沖縄語。大雑把にいうとミミガーを茹でて、ポン酢や酢味噌などで和えたもの。ご飯のおかずというよりは、酒の肴に合う。
 「ポン酢や酢味噌などで和え」と書いたが、私が若い頃まではポン酢や酢味噌などで和えたものはほとんど食べたことが無い。母が作るミミガーも、居酒屋や沖縄料理屋のミミガーも概ねピーナッツバター和えだった。ピーナッツの匂いがした。

 念の為確認すると、『沖縄大百科事典』にはミミガーウサチでは無くミミガーサシミとして載っている。「琉球料理の一つ・・・茹でた耳皮をせん切りにし、キュウリやモヤシなどと三杯酢あるいはピーナッツ酢で和える」とのこと。
 『沖縄おばぁの健康レシピと長寿の知恵袋』には「ミミガーのウサチ」があり、ゴーヤーとピーナッツ酢で和えている。ピーナッツ酢は、ピーナッツバターだけでなく白味噌、砂糖、酢などが入っている。私が子供の頃から食べていたのもそれだったと思う。
 『沖縄大百科事典』に「法事料理」に出されるとあって、そういえば「子供の頃から食べていた」のも法事の時のものだったかもしれない。日常的な料理ではなかったかもしれない。「今日の夕食はミミガーよ」と母が言い、「わーい」と喜んだ記憶は無い。
     

 記:2018.7.17 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 
 『沖縄おばぁの健康レシピと長寿の知恵袋』平良一彦監修、(株)エクスナレッジ発行


チムシンジ(肝煎じ)

2018年07月13日 | 飲食:食べ物(料理)

 体力回復

 子供の頃、風邪を引いた時などに飲まされたものでよく覚えているのがある。リンゴシリシリー、玉子酒、ヒル酒、そして、今回紹介するチムシンジ。
 リンゴシリシリーはリンゴをシリシリ(磨り下ろすという意の沖縄語、たぶん沖縄の擬態語)して、布で搾った、つまりはリンゴジュース。これは美味かった。
 玉子酒は沖縄伝統の風邪薬では無く大和文化だと思われる。広辞苑に記載があり「鶏卵に砂糖と熱燗とを加えて混ぜ合わせた飲料。風邪のとき発汗剤とする」とのこと。沖縄といえど、玉子に混ぜる酒は泡盛では無く日本酒だった。確かに汗をかいた。
 ヒル酒のヒルは沖縄語でニンニクのこと。ちなみに、ニンニクを漢字で表すと大蒜となるが、蒜はヒルとも読め、沖縄語はここから来ていると思われる。これは沖縄らしく、というか、果実酒の類は日本酒を使わない。ホワイトリカーや焼酎などアルコール度数の高い酒を使う。その方が腐れない。ヒル酒も泡盛を使う。これはとても臭かった。

 以上の3種はいずれも飲物で、チムシンジもまた、本質的には飲物であるが、食事としての用にも立つ。チムは「肝」の沖縄語読み、シンジは「煎じ」の沖縄語読みで、豚レバーの煎じ汁ということになる。レバーを煮ているのでそれは食える。子供の頃はそうでもなかったが、大人になってからは煮たレバーは美味いと感じていた。
 チムシンジは、豚レバーだけ単独に煎じるということは少なくとも私の経験に無く、私の母親の場合はシマニンジンやフーチバー(ヨモギ)などの島野菜が加えていたと記憶している。どれも薬草としても扱われる野菜で、健康に良いとされているもの。
 参考文献によると、レバーの他、豚肉(腿肉や腕肉など)が入り、シマニンジンの他、ダイコン、ニンニクなどの野菜も入るようである。私はニンニクは使うが、シマニンジンやダイコンを使わずニラやフーチバー(ヨモギ)などを入れたりしている。
 チムシンジは肝臓が弱った時などに服用すると文献にあるが、別の本『沖縄おばぁの健康レシピと長寿の知恵袋』によると、貧血予防にも効くらしい。体力回復、滋養にも良いらしいが、それらはシマニンジン、ニンニクなどのお陰もあるかもしれない。

 腰痛で元気の足りない今、薬草の勉強をして、薬草によって腰痛やら高血圧やらを何とかしようと考えつつ、元気になる沖縄料理についても調べている。
 元気になる沖縄料理ということで、チムシンジが最初に思い浮んだ。最近はご無沙汰しているが、前の前のアパートに住んでいる4~5年前までは、たまにだが自分で作ってよく食べていた。汁は煎じ薬として飲み、具はたいてい酒の肴にしていた。
     
 チムシンジが元気になる沖縄料理であると思い出し、先日、久々に作った。年取って、4~5年前より少し賢くなった私は、その夜、チムシンジを飲んで食べて、その具を酒の肴にすることはなく、その夜は休肝日にした。年取って肝臓も弱くなっていると思われるので、せっかくのチムシンジの薬効が酒によって薄まることを避けたわけ。
 ちなみに、チムシンジを食べて飲んだ夜、まあまあのグッスリ睡眠で、朝目覚めた時はいつに無く元気であったが、血圧を計ったら170を超えていた。ビックリ。
 今回は豚レバーとニラだけのチムシンジで、元気はそのお陰だと思う。薬草の勉強をして高血圧に効果のある野菜もいくつか覚えた。次回チムシンジを作る時は高血圧に効果のあるサクナ(ボタンボウフウ)やタマネギなどを具材にしてみようと思う。
     

 記:2018.7.12 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄おばぁの健康レシピと長寿の知恵袋』平良一彦監修、(株)エクスナレッジ発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行