ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

アカスジシロコケガ

2012年02月24日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 苔植物とか地衣類とか

 植物図鑑や動物図鑑を見ていると、知らない言葉にも時折お目にかかる。知らない言葉は概ね広辞苑を引いて知るようにしている。言葉を知ったとしても、その意味を理解しているかどうかは別の話だが、少なくともその場では理解したつもりになる。
 言葉も意味も知っているつもりだったのに、「その意味を他人に説明できるか?」と自問して、「んにゃ、できねぇ」となる言葉にも時折お目にかかる。最近はそういったものも広辞苑を引いて確認するようにしている。どうしてそんな面倒なことをする?と訊かれれば、ふっ、ふっ、ふっ、将来物知りオジーになって、尊敬されるためである。

 今回はコケを調べた。苔だ、『君が代』に出てくる「苔生すまで」の苔、河辺などの湿った個所の岩にへばりついているあの苔、京都の苔寺(西芳寺の通称)のように庭のグランドカバーとしても使われ、しっとりとした風情を醸し出すあの苔。
 「緑色植物の一門。有性世代(配偶体)と無性世代(胞子体)を規則的に繰り返す(世代交代)。配偶体がよく発達し、その上に形成された胞子体は配偶体から独立しない。この点シダ植物や種子植物と異なる」と広辞苑にある。・・・解んねぇ。
 アカスジシロコケガの食草が地衣類とあった。地衣類を私は知らない。広辞苑に「植物分類群の一門。菌類と藻類との共生体。菌の有する菌糸は葉緑素を含む藻に付着してこれを取り囲み、水と共に吸収した無機塩類を藻に送り、藻は同化作用によって作った有機生成物を菌に分配し、共生しつつ樹皮・岩石に着生する」とある。・・・解んねぇ。
 これらを理解するには広辞苑だけでは無理だということは解った。生物学、植物学の本が必要であろうと思う。そこまでやる元気は今のところ無い。

 アカスジシロコケガ(赤筋白苔蛾):鱗翅目の昆虫
 ヒトリガ科 北海道以南、南西諸島、台湾などに分布 方言名:ハベル
 名前の由来、明確に表した資料は無いが想像はつく。コケは「木の幹や枝、岩、時に水中の石の上に見られる花の咲かない小形の植物の俗称。コケ植物・地衣類・藻類などが含まれる。」(広辞苑)のことで、本種の幼虫の食草は地衣類とあり、それで苔。体の全体が白色で、そこに赤い筋が入っていることからアカスジシロ(赤筋白)と付く。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「暗い所の湿った岩や樹木に発生する地衣類を食する」とあり、そういうところは主に山地なので「山地で見られる」とも記されていたが、私は元のアパート(那覇市首里の住宅街)の庭で見た。また同書に、成虫は「夜間に吸蜜に花へ集まる」とのことだが、私は昼間見ている。
 前翅長12ミリ内外。成虫の出現時期は4月から11月。幼虫の食草は地衣類。その幼虫、図鑑に写真は掲載されていないが、「幼虫は体長が30ミリ内外で黒褐色、背線は橙黄色、各節にこぶ状突起があり、長い刺毛を発生する」とあり、これまでたくさん撮ってきた幼虫の写真の中から「これだ!」と思われるものが見つかった。
 
 成虫   
 
 幼虫   

 記:ガジ丸 2012.2.17  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


料理の雑人

2012年02月24日 | 通信-社会・生活

 小ぶり(径5センチくらい)のカブを1個丸ごと、有機栽培のカブだったので皮も剥かずにそのまま蒸して、塩を少々振って、食った。美味かった。その時買った有機栽培のカブは3個あった。残りの2個はその前日に皮ごとスライスして漬物(ただの塩漬けだが)にして食った。我ながら良い塩梅だったので美味かった。
 それに味をしめて先週は赤カブを漬物にした。上述の白カブは葉も漬物にしている。この2つもただの塩漬けだが、少々癖があったのでポン酢を足した。美味かった。
  畑の収穫物、2月は既にカリフラワー3個、ブロッコリー2個、セロリ数本、パセリたくさんなどを収穫している。それらも美味しく頂いている。例えば、これは少々手間がかかっているが、カリフラワーとホタテのクリームシチュー、あとは、蒸したブロッコリーやセロリをポン酢で食ったり、塩で食ったりしている。どれも美味かった。

 先週のガジ丸通信にも書いたが、刺身でも食える新鮮なサバに塩を振って、七輪の炭火で焼くとヒジョーに美味い。サバはシメサバにしてもヒジョーに美味い。今週のガジ丸コラムにも書いているが、マグロ(値段の安いビンナガマグロ)はソテーにしても煮物にしても普通に美味しく、酢味噌漬けにするとヒジョーに美味い。

 長引く不況で、建設業である私の勤める会社も業績が悪化し、時短を余儀無くされた私はどんどん貧乏になって行き、今や、溜めこんでいた500円玉貯金の缶を開け、その金ももうすぐ底を付く状況となってしまった。で、食費や酒代も削らなければならなくなっている。食費は元々少食粗食なのであまり多くは無いが、酒代は、日本酒が好きなので高くついていた。で、去年から日本酒も極力減らしている。
 ところが私は、料理が上手、少なくとも世の中に一人は「こんな美味ぇものは無ぇ」と喜んで食ってくれるほど上手いので、日本酒にとても合うような美味い料理も時々作ってしまう。あんまり美味いと日本酒を飲まざるをえなくなる。
 それはしかし、できるだけ我慢するようにはしているが、ある程度しかたがないと諦めている。日本酒のせいで金が尽きて、食い物が買えなくなって餓死したとしても、「酒好きの男、酒を買って飯を食わずに餓死する」と新聞にでも載れば本望だ。
          

 子供の頃からケーキが苦手で、青年の頃は「男が甘い物なぞ食えるか」とウィスキーをストレートで飲むなど粋がっていた私だが、年取るにつれて甘い物を食うことが多くなってきた。ケーキは今でも苦手(油と砂糖の塊としか感じない)だが、和菓子系は好きで、饅頭や餡餅などを時々食後や一服タイムに食べている。
  1個100円ほどの饅頭や餡餅を1日1個食えば月に3千円となる。これを1千円で済ませれば2千円が浮く。2千円あれば日本酒が1升買える。私は概ね1回に2合程度しか飲まないので週に1回飲んでもなお余る。「よし、これで行こう」と決めた。
 お菓子代を3千円から1千円にするにはどうしたらいいか・・・自作すればいいのだ。豆を買った。先ずは大豆、これを煮る。黒砂糖を加える。金時豆でも同様にして食った。まあまあ美味かった。誰がどう言おうが、世の中の一人だけはそれで満足。「一人」とはもちろん私のこと。料理の雑人は大雑把な料理でも満足できるのである。
          

 記:2012.2.24 島乃ガジ丸


美味い物は高価である必要は無い

2012年02月17日 | 通信-社会・生活

 最後に好きな物を好きなだけ食っていいという最後の晩餐を想像した。んがっ、「あんた明日死ぬから、これが最後の飯だ」という状況に私が置かれるという理由が思いつかない。もしも、重い病気で医者からそう宣告されたとしたら、重い病気なので好きなように食事はできないだろうし、体も食事を受けつかないであろう。
 ならば、と一つ思いついた。私は死刑囚で明日が刑の執行日であるという場合。私が死刑囚になる・・・「それは無い」とは言えない。日本が7、80年前の社会情勢みたいになって戦争へ突き進む中、反戦運動をして捕まって、で、死刑になるという可能性は0パーセントでは無い。八重山の教科書問題を思うと、戦争を起こした当時の日本を肯定するような組織が平和大好きの沖縄にまで影響を及ぼすようになっているみたいだし。

 話がちょっと逸れた。まあ、とにかく体が「快食できる」というほどに元気な状態であり、そして「これが最後の飯」を考えた場合、私は何を選ぶだろうか?
 和牛の高級霜降りステーキ、高級フランス料理のフルコース、高級料亭の日本料理なども魅力があるだろうが、おそらく、「得することが死ぬほど好きだ」とのたまう友人のK子やE子ならば、できるだけ高価なものを選択するであろうが、私は違う。
  私なら普段食べ慣れていないものよりは、日常口にしていて「こりゃあ美味ぇや」と思っているものを選ぶ。「こりゃあ美味ぇや」と思っているものはたくさんあるが、その中から一回の食事分を選ぶなら、先ずは玄米のごはん、味噌汁、漬物が基本だ。パンとかコンソメスープとか、ドレッシングのかかった生野菜のサラダなんてのは選ばない。
 味噌汁に注文をつけていいなら、豚汁にしたい。豚バラ肉とゴボウ、ダイコンなど具だくさんの味噌汁、これは沖縄の味だと思う。母の味でもある。漬物に注文をつけていいなら、糠漬けにしたい。糠漬けなら何でもいいが、いつも食べ慣れているキャベツ、ハクサイ、キュウリ、ナスなどが良い。ニンジンやカブも好きである。
          

 さて、玄米のご飯、豚汁、糠漬けの基本が揃って、もう一品おかずを選ぶなら、ゴーヤーチャンプルー、ナーベーラーウブシー、ラフテーなどの沖縄料理を差し置いて、アジの開き、目刺などの普段食べ慣れているものを棚に上げて、・・・なんてあれこれ考えずとも私の答えは決まっている。生サバの七輪の炭火による塩焼き。
  最後の飯に酒を好きなだけ飲んでも良いとなればこれ以上の幸福は無い。酒は何にするかというと、まあ、いろいろ飲みたいのだが、1種だけ選べと言われたら、沖縄の銘酒泡盛を差し置いて、ワインも何十万円の代物であったとしても棚に上げて、日本酒を私は選びたい。できれば純米大吟醸にしたい。それをせめて四合は頂きたい。
 サバは、沖縄近海では獲れないようだが、生の、刺身で食っても美味いという奴の、その真ん中あたりの太い個所を切り身にして七輪で焼き、腹側の脂の多い個所はご飯のおかずにして、背側の比較的淡白な部分は酒の肴にする。
 先ずは、酒を一口飲んで、「あー美味ぇ、生きてて良かった」と神に感謝し、サバの背側を一口頬張って「あー美味ぇ、元気で良かった」と幸せに浸る。
 最後はそんな美味い物を食ってから死にたい。「食い物は美味けりゃいいんだ、高価である必要は無い」と、粗食を始めてから数年を経てつくづく思うのである。
          

 記:2012.2.17 島乃ガジ丸


オオトモエ

2012年02月17日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 しっぽを曲げたおたまじゃくし

 「ともえ」を広辞苑で引くと「鞆(とも)の側面を図案化した文様」とあり、漢字もそこから鞆絵とある。漢字はもう一つ巴もあり、一般的にはその字を多く見る。
 「巴と言えば・・・巴御紋ってよく聞くなぁ」と思い出し、「何のことだっけ?」と調べてみる。巴御紋、正式にはヒジャイグムン(左御紋)と言い、琉球王家の紋章とのことであった。左巻きの三つ巴である。そういえば、器にそのような紋があったり、レコードレーベルに左巻きの三つ巴紋をロゴマークにしたゴモンレコードなんてのもあった。
 三つ巴というとまた、「三者がからみ合って対立すること」(広辞苑)という意味もあり、「三つ巴の戦い」なんていう言葉もよく耳にした。よく?どこで耳にしたかは記憶に薄いが、中国の『三国志』だったかもしれない。魏・呉・蜀の三つ巴。

 オタマジャクシは御玉杓子と書き、汁を掬う調理器具のお玉に形が似ているからその名がある。オタマジャクシのしっぽが真っ直ぐの場合はその通りだと私も思うが、しっぽを曲げた時(泳いでいる時はよく曲げている)は巴の形だと私は気付いた。
 巴が一つならば、その形はオタマジャクシに似ているということが判明したが、今回紹介するオオトモエのトモエが巴と何の関わりがあるかは不明。

  オオトモエ(大巴):鱗翅目の昆虫
 ヤガ科 本州~琉球列島、東南アジアに分布 方言名:ハベル
 名前の由来は資料が無く不明。トモエは巴、または鞆絵と書き、「鞆の側面を図案化した文様」(広辞苑)のこと。鞆って何だ?と思い、調べると「弓を射る時に、左手首内側につけ、弦が釧などに触れるのを防ぐ、まるい皮製の具」(〃)とのこと。釧(くしろ)って何だ?とまた思い、調べると「装身具の腕輪」(〃)とのこと。
 ところが、本種の体の模様に巴模様は、私が見る限りではどこにも無い。幼虫が特異な形をしていると文献にあるので、幼虫が巴の形をしているのかもしれない。
 前翅長46~49ミリと大型のガ。ヤママユガ科にはこれより大きいものがいくつもある、ヨナグニサンにいたっては前翅長130~140ミリと3倍近くの大きさだ。それでも前翅長50ミリ近い本種は林の中でよく目立ち、私もすぐに気付いた。成虫の翅の模様は地域差があり、個体差もあるとのこと。成虫の出現時期は4~11月。 
 幼虫は「頭、胸部が小さく、腹部が肥った特異な形をしている」とある。ぜひ見てみたいが、まだお目にかかれていない。食草はサルトリイバラ類。
 
 翅表
 
 翅裏

 記:ガジ丸 2012.2.2  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


勝手な健康法

2012年02月10日 | 通信-科学・空想

 私は少食である。少食にしてから10年余が経っている。この10年余で体重は12キログラム減り、体脂肪率も12%ほど下がった。少食にしたのはしかし、体重を落とすのを第一の目的にしたわけでは無い。体が重かった頃、体調も良くなかった。四六時中肩凝りだったし、膝に力が入らなかったり、現場で肉体労働をするとすぐに心臓がバクバクしたり、吹き出物が出たりしていた。それは体重が重いせいだけじゃないと思った。
 「俺は体に悪い物を食べている、それを食べ過ぎている」と思った。体に悪い物が何であるかは断定できなかったが、取りあえず食う量を減らせばいいのだ、そうすれば悪い物が何であれ「食べ過ぎる」ということは無くなる、と考えたわけ。

 食べる量を減らす際、単純に毎日の食事の量を減らしたわけでは無い。体に悪い物が何であるかを断定はできなかったが、こういうものかもしれないと想定したものはあった。お菓子などのジャンクフード、ハンバーガーなどのファストフードの類だ。菓子は今でも時々口にする(ほぼ和菓子)が、量はずっと減っている。ハンバーガーやフライドチキンといったファストフードについては、それ以来ほとんど食べていない。
 体に悪い物が何であるかの想定基準はある。口に入れるそのモノの中に化学物質が多く含まれているものである。そういうものをなるべく食べない、したがってファストフードは食べないし、外食も滅多にしない(貧乏だからという理由もある)となる。

 逆に体に良い物は何かについても考えた。玄米が良いという情報を得、5、6年前から白米を止めて玄米にしている。農産物もなるべく無農薬有機のものを食べるようにしている。肉類は減った。豚肉は沖縄料理に欠かせないので今でも良く使うが、牛肉はほとんど食わなくなった。魚介類の量はあまり変わらず、植物性蛋白質の豆腐は増えた。
  明治生まれのウチナーンチュは何故元気で長生きだったかを考えた際、「元気の基本はやはり食事だろう、昔は甘藷(サツマイモのこと、沖縄ではンムと言う)が主食だった」と父母や祖父母から聞いた話を思い出し、甘藷を調べる。甘藷は玄米と同じくらいに体に良い食べ物であることが判った。なおかつ、玄米より作ることも、口に入れるまでの手間も少ない。土地さえあれば私でも作れる。しかも沖縄の風土に合っている。

 ということで、一週間の内の4食を玄米、5、6食を甘藷にすることに決めた。そう決めすぐに実行する。それは2、3年前の話で今もなお概ね続いている。
 それからもう一つ、その頃から、週2日の出勤の日は現場仕事の場合があり、昼飯食わないと体が持たないということもあって、その2日間は例外だが、その他の日は1日2食という食生活を始めた。玄米や芋の主食の他は味噌汁、漬物、目刺といった1食1食も粗食であり、玄米なら飯椀1杯、芋なら中位の1個といった少食でもある。
 それで栄養は大丈夫?と問われれば、十分大丈夫と答えたい。朝食はその日1日のエネルギー、夕食は体に必要な栄養を寝ている間に摂取するもの、と私は考えている。体は必要な栄養分を小食の中から目一杯取り込んで、食べた物を無駄にしない。なので、少食であっても、私の体には必要な栄養が十分あると思っている。1日3食摂らなければならないなどと誰が決めたか知らないが、私は2食で十分健康に生きて行けると思う。
          

 記:2012.2.10 島乃ガジ丸