苔植物とか地衣類とか
植物図鑑や動物図鑑を見ていると、知らない言葉にも時折お目にかかる。知らない言葉は概ね広辞苑を引いて知るようにしている。言葉を知ったとしても、その意味を理解しているかどうかは別の話だが、少なくともその場では理解したつもりになる。
言葉も意味も知っているつもりだったのに、「その意味を他人に説明できるか?」と自問して、「んにゃ、できねぇ」となる言葉にも時折お目にかかる。最近はそういったものも広辞苑を引いて確認するようにしている。どうしてそんな面倒なことをする?と訊かれれば、ふっ、ふっ、ふっ、将来物知りオジーになって、尊敬されるためである。
今回はコケを調べた。苔だ、『君が代』に出てくる「苔生すまで」の苔、河辺などの湿った個所の岩にへばりついているあの苔、京都の苔寺(西芳寺の通称)のように庭のグランドカバーとしても使われ、しっとりとした風情を醸し出すあの苔。
「緑色植物の一門。有性世代(配偶体)と無性世代(胞子体)を規則的に繰り返す(世代交代)。配偶体がよく発達し、その上に形成された胞子体は配偶体から独立しない。この点シダ植物や種子植物と異なる」と広辞苑にある。・・・解んねぇ。
アカスジシロコケガの食草が地衣類とあった。地衣類を私は知らない。広辞苑に「植物分類群の一門。菌類と藻類との共生体。菌の有する菌糸は葉緑素を含む藻に付着してこれを取り囲み、水と共に吸収した無機塩類を藻に送り、藻は同化作用によって作った有機生成物を菌に分配し、共生しつつ樹皮・岩石に着生する」とある。・・・解んねぇ。
これらを理解するには広辞苑だけでは無理だということは解った。生物学、植物学の本が必要であろうと思う。そこまでやる元気は今のところ無い。
アカスジシロコケガ(赤筋白苔蛾):鱗翅目の昆虫
ヒトリガ科 北海道以南、南西諸島、台湾などに分布 方言名:ハベル
名前の由来、明確に表した資料は無いが想像はつく。コケは「木の幹や枝、岩、時に水中の石の上に見られる花の咲かない小形の植物の俗称。コケ植物・地衣類・藻類などが含まれる。」(広辞苑)のことで、本種の幼虫の食草は地衣類とあり、それで苔。体の全体が白色で、そこに赤い筋が入っていることからアカスジシロ(赤筋白)と付く。
『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「暗い所の湿った岩や樹木に発生する地衣類を食する」とあり、そういうところは主に山地なので「山地で見られる」とも記されていたが、私は元のアパート(那覇市首里の住宅街)の庭で見た。また同書に、成虫は「夜間に吸蜜に花へ集まる」とのことだが、私は昼間見ている。
前翅長12ミリ内外。成虫の出現時期は4月から11月。幼虫の食草は地衣類。その幼虫、図鑑に写真は掲載されていないが、「幼虫は体長が30ミリ内外で黒褐色、背線は橙黄色、各節にこぶ状突起があり、長い刺毛を発生する」とあり、これまでたくさん撮ってきた幼虫の写真の中から「これだ!」と思われるものが見つかった。
成虫
幼虫
記:ガジ丸 2012.2.17 →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行