ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

消えたトンボ公園

2018年07月10日 | 通信-環境・自然

 過日、宜野湾市民図書館で良い参考書を見つけた。沖縄に生息するトンボ類を網羅したと思われる『沖縄のトンボ図鑑』、私がこれまでに出会って写真に収めてあるトンボ類の内、「これはこれかな?それともあれかな?」と確信の持てなかったもののいくつかが、その図鑑によって「これはこれだ」と判断できるようになった。「この図鑑があればトンボが判る」と思い、先日トンボ公園へ数年ぶり(2009年8月以来)に出掛けた。
 トンボ公園の正式名称は覚えていないが、最初に訪れたのは2004年頃だったと記憶している。公園の一角に池があり、その池にはアシやガマなどの植物が生えていて、周りにはいろんな種のトンボがたくさん飛んでいた。なのでトンボ公園と勝手に命名。
 しかしその日、アシやガマは残っていたが、モンシロチョウやハナムグリは飛んでいたが、トンボの類は飛んでいなかった。池の水が干上がっていた。池の水が干上がっていると共に、池の周囲はあまり手入れされていなかった。ゴミが散乱していた。
     
 「あー、勿体無い」と私は思う。せっかくいろんな種のトンボが多くいて、トンボ好きの人にとっては楽園のような場所だったのにと思う。私が私のブログやHPで紹介しているトンボの半数近くは、おそらくここで見つけて写真を撮っている。
 「トンボ好きの人にとっては楽園」・・・といっても、この世にトンボ好きの人ってどのくらいいるのだろう。そういう私だって「トンボ好き」とは言えない。「見たこと無い動物は見てみたい」とか、「沖縄の、自然の動植物で知らないものは知っておきたい」という好奇心は少しあるが、それも自己満足の範囲内である。見たこと無いものを見て、知らないことを知って、それを学術的にどうこうしようという気は無い。
 私の言い訳はともかく、「トンボ好きの人にとっては楽園」は当然「トンボにとって楽園」となる。そんな楽園がなくなってしまったことを残念に思いつつ、「楽園」がいつか復活してくれることを願いつつ、そこから近くにある県総合運動公園へ移動。

 県総合運動公園の一角にも池がありトンボが飛んでいる。そこはしかし、近くに売店があり、傍を歩く人も多くいる。おそらく、トンボの類には恥ずかしがり屋のトンボが多くいるのであろう、そこで私が確認できたトンボは4種だけだった。
 そういえば、と思い出す。トンボ公園には芝生の広場があってゲートボールのようなものをやっている人がたまにいたが、公園の片隅にある池の辺りを訪れる人はほとんどいなかった。私がトンボの写真を撮っている間、傍を歩く人は稀だった。「そうか、だから、恥ずかしがり屋のトンボでも平気で顔を出していたんだ」と想像する。
 トンボ公園のアシやガマの葉や茎にヤゴがいくつもいた。その1つは写真を撮り「不明ヤゴ」としてパソコンに保管していた。『沖縄のトンボ図鑑』があればそれが何というトンボのヤゴであるかも判るはず。ヤゴの写真をもっと撮っておけば良かったと後悔。
     

 猛烈台風8号は今(10日午前7時)、沖縄島を強風圏に巻き込み、外は強い風が吹いている。間もなく宮古八重山は暴風圏との予報。西日本豪雨で辛い思いをしている人々も多くいる。そんな中、トンボがどうのこうのと呑気な話を書いてしまった。
 「草や木が多くあり、人間があまりやってこない」ということが虫たちにとっての楽園になるのかと考えると、「人間が自然と外れているということか」と思ったりした。

 記:2018.7.10 島乃ガジ丸