ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

リュウキュウカトリヤンマ

2018年07月04日 | 動物:昆虫-トンボ目

 ジャパンとリュウキュウ

 2015年6月、今まで見たことのないトンボが畑にいたので、そっと近付いて写真を撮る。大きなトンボ、おそらくヤンマトンボの仲間であろうと推測する。
 で、後日そのトンボを調べると、ヤンマトンボの仲間との推測は当っていて、「たぶんカトリヤンマ」と判明。「たぶん」と断定できなかったのは、これに似たトンボがもう1種いたから。もう1種とはリュウキュウカトリヤンマ、『沖縄昆虫野外観察図鑑』によるとカトリヤンマとリュウキュウカトリヤンマ良く似ているらしい。
 同書のカトリヤンマの頁で「リュウキュウカトリヤンマとの判別は尾毛が長い」とあったのだが、長さを比べる対象が無いので判断のしようがない。

 つい最近、2018年5月になって、宜野湾市民図書館で『沖縄のトンボ図鑑』というトンボについて詳しい図鑑を見つけた。その図鑑にはカトリヤンマとリュウキュウカトリヤンマの違いが判り易く説明されていた。違いはいくつかあった(詳細は下記)が、その中でも「リュウキュウカトリヤンマは複眼が緑褐色で、カトリヤンマは複眼が青色とのことで判別できる」とあって、それで、私の写真のものがリュウキュウカトリヤンマと判断できた。両者の学名がまた判り易い、カトリヤンマはジャパン(japonica)とつき、リュウキュウカトリヤンマはリュウキュウ(ryukyuensis)とついている。

 
 リュウキュウカトリヤンマ(琉球蚊取蜻蜒):トンボ目の昆虫
 ヤンマ科 先島諸島~奄美諸島に分布 琉球列島の固有種 方言名:ターマー
 名前の由来は資料が無く不明。ヤンマというと少年が憧れる大きなトンボで、ヤンマというと有名だと思われるが、その由来は見つけることができなかった。ヤンマの漢字表記である蜻蜒については『沖縄のトンボ図鑑』にあったが由来は不明。
 カトリについても正確には不明だが、同書に蚊取と漢字表記があった。蚊取り線香の蚊取と想像する。トンボは概ね蚊を食べるからという根拠。
 リュウキュウについては「琉球列島の固有種」だからということで間違いないと思う。方言名のターマー、他のトンボ類には方言名:アーケージェーとしているものが多いが、トンボ類の中でもヤンマ科など大きめのトンボはターマーと呼ぶとのこと。
 近縁種のカトリヤンマとの違いは「胸部の色がカトリヤンマの黄緑に比べて淡褐色で、翅の基部から前縁にかけて褐色に煙る個体が多い」、「尾部の上付き付属器がカトリヤンマより短い」、「産卵は湿地や池沼の柔らかい泥土に行う」など。そして、本種は複眼が緑褐色で、カトリヤンマは複眼が青色とのことで判別できるとのこと。
 腹長47~50ミリとヤンマらしく大きい。出現時期は4月下旬~10月。
 
 横から
 
 産卵


 カトリヤンマ(蚊取蜻蜒):トンボ目の昆虫
 ヤンマ科 日本全土~沖縄島、朝鮮、台湾、中国に分布 方言名:ターマー
 名前の由来は資料が無く正確には不明だが、カトリについてもヤンマについても上記のリュウキュウカトリヤンマに同じ。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「雄の腹部第3節が著しくくびれる」、「リュウキュウカトリヤンマとの判別は尾毛が長い」、「産卵は・・・石の下などの湿った土に行われ、水中でない場所に産むことが多い」などとあった。
 腹長46~53ミリとヤンマらしく大きい。出現時期は6~11月。ちなみに学名、
 カトリヤンマ Gynacantha japonica
 リュウキュウカトリヤンマ Gynacantha ryukyuensis

 記:2018.7.3 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『沖縄のトンボ図鑑』尾園暁・渡辺健一・他著、ミナミヤンマクラブ株式会社発行