頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『坊ちゃん』夏目漱石

2012-06-02 | books

「坊ちゃん」夏目漱石 1906年

水村美苗が気に入ったので買った「続明暗」 夏目漱石の未完の「明暗」の続きだそうだ。「明暗」も読んでないので、そっちから先に読まないとと思ったのだけど、よく考えたら夏目君の作品は、読まされたことはあっても読んだ記憶がない。ので、「吾輩は猫である」を読み始めた。ら、尋常でないほど読みにくかった。ので、気を取り直して「坊ちゃん」を読んだ。

東京で親や兄とうまくいかない男が松山で数学の教師になって、ちょっとした正義漢になる話。猫よりはるかに読みやすい。しかし、長編好きの私には短くて物足りない。もっと幼少期の話、学校での話、東京に戻ってきてからの話をたっぷりこってり読んでみたかった。しかし楽しめたことは確か。痛快という言葉が一番近いように思う。

具体的にこの表現にグッと来たということがあまりなく、スイスイ読ませてくれた。

では、また。



坊っちゃん (新潮文庫)
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『漁港の肉子ちゃん』西加奈子

2012-06-01 | books

「漁港の肉子ちゃん」西加奈子 幻冬舎 2011年(初出パピルス2011年4月号~8月号)

「円卓」「地下の鳩」で楽しませてくれた作者。今回は、北陸の漁港の焼き肉屋の店員、あだ名は肉子ちゃん。太っているから。38歳。天真爛漫(?)で明るい。娘は小学生、キクりん。真面目。キクりんから見た子供のめんどくさい世界と大人の世界…

この表紙はよくないと思う。肉子ちゃんは、男好きでSEX好きの肉欲の塊である肉欲小説だと思ったから。そういう部分がないわけではないけれど、表紙にするほど全面に渡ってそればかりじゃない。むしろ、やや普通のホームドラマ。いや普通の定義にもよるけれど。

私は「円卓」の方がはっちゃけていて楽しめたけれど、悪くなかった。肉子ちゃんの、キクりんへの置手紙に笑わない人はいないだろう。

映像化してみると面白い作品になると思う。主演は渡辺直美かな。

では、また。

漁港の肉子ちゃん
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