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頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

アディダスのレスリングシューズを買った

2009-07-17 | sport

そうそう。レスリングをはじめたのだ。いやレスリングはベッドの上だけで・・・

ボクシングをしていると、シューズが気になる。私はナイキのフリーを履いている。とりあえずこれでいいだろうと。しかし、ほとんどの選手はボクシングシューズかレスリングシューズを履いている。

鬼のTトレーナーに訊いた。

「私が右足のステップがスムーズにゆかないのはこのシューズのせいでせうか?」

「ボクシングシューズの方がいいけどよー おまえのレベルは靴とは関係ねえよー」

と言いつつ、ボクシングシューズは高いからレスリングシューズでも代用できると教えてくれた。それからレスリングシューズを探していた。しかしアメリカ屋でもSPORTS AUTHORITYでも、横浜ベイサイドマリーナのナイキ、アディダス、アシックスにも、軽井沢のアウトレットでも売ってない。

先日富士山に行く前に寄った御殿場のアウトレットのアディダスで発見した。












よく分からないがサイズ9.5がちょうど合ったのでたぶん3分もかからずに買うことにした。速攻。2561256というモデル。

後でネットで調べてみたら、滑りやすい北京オリンピックのレスリングマット用に開発されたモデルだそうでアメリカの通販119ドルで売っていた。私は4500円ほどで買った。

履いてみたら、実にいい。フットワークがすごくスムーズに出来るようになった。何が違うのかよく分からないが。TトレーナーとFトレーナーにすぐに「お?シューズ買ったね?」と指摘された。それまでが変だったのだろうか。

このシューズを履きたいが為に、富士山登山の翌日の筋肉痛に悩まされている翌日の夜私はジムに行ってしまった。アム・アイ・あほ?



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富士登山備忘録

2009-07-16 | travel

自分用、来年また登るときのためのメモ。これから登ろうという酔狂な方に参考になるか不明。いやこのブログを何かの参考にしようとする方は酔狂だ。

・ タオルを頭に巻いたが、落ちやすいのでもっと長いものか、帽子
・ ヘッドランプ、電池が落ちた。テープで巻いておくべき。ヘッドランプを2回落とした。
・ ウエアは問題なし(上:skins、モンベルドライ長袖シャツ+モンベルウインドブレーカー+モンベルダウン)(下:skins、アディダスジャージ+モンベルウインドブレーカー)(靴:ライケル、厚手トレッキング用ソックス)
・ 眼鏡で良かった。上の方は強風で砂利が何度も眼に入った。ハードコンタクト不可。ソフトは大丈夫かも知れないが。眼鏡では強い日差しから眼を守れないが、今回は日差しが弱かった。度付サングラスがあれがなお良し。コンタクト+色なしサングラスはどうだろう?
・ マスクか、首に巻くショールのような布で口を覆いたい。口に何度も砂が入った。鼻水も垂れるし。
・ ヒーヒーで書いたように、下りで膝が壊れる。なぜか昨年は左膝。今年は右膝。右膝をかばって変な歩き方をした事が他の下半身へダメージを与えたかもしれない。懸案のテーピングがサポーターを考えた方が良い。ヘビー級の知り合いマサさんが言うように足のテーピングは剥がすときに常にスネ毛の抜け痛いリスクを負わねばなるまいが。L-BREATHのIさんが言うようにCW-Xを着用しても気休め程度の効果しかないのかどうか、今回はskinsを着用したので分からない。
・ 昨年と同じ夜11時から登り始めたが、頂上近くで渋滞した。夜10時から登りたい。
・ 昨年と同じく、御殿場のアウトレットで買い物をしてから行った。閉店の夜8時過ぎに駐車場を出ようとしたら出口渋滞がひどかった。7時半には出たい(富士吉田までは距離がある。富士宮は近いが)
・ Tully'sで珈琲を保温ポットに入れてもらって持っていったのは良かった。しかしややぬるくなっていたので、もっと保温が効き小型のボトルを買うか、山頂で600円の甘酒を飲むかしたい。
・ 富士宮では山頂の山小屋が営業してなかったが、山梨県側富士吉田口からは山小屋はたくさん開いているし、山頂でも営業していた。
・ 水は500ccX4+珈琲でちょうど良かった(2人分)
・ 富士山近くのコンビニでは、サンドイッチ全て売り切れ、おにぎり残り僅かであったので、早めに調達しておきたい。
・ 私は眠くならなかったが、眠くなる人が多くいるので、尻に敷くクッション、シュラフ、ハイテクひざかけのようなものがあると仮眠しやすいだろう。
・ 渋滞を予想して、下山後5合目で富士山メロンパン250円を食ってからすぐに駐車場を12時に出たのは吉。富士五湖道路へ河口湖ICから乗るべきだったが、山中湖ICから乗ったのは失敗。研究所近くの運動場近辺で野球の大会があるのか路上駐車が多く運転しにくかったのと遠回り(カーナビがなぜ河口湖を避けたのか、そしてなぜ東名高速ではなく中央高速しかも三鷹で降りるよう指示したのか不明)早めに出たので東名出口渋滞を避けられたのは吉。御殿場ICを1時頃、海老名PAに1時40分到着。


参照関連記事

ライケルの靴
昨年なぜ登ったか
モンベルウエア
昨年山頂で
登頂記1
登頂記2
登頂記3
登頂記4

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『運命の人』(四)山崎豊子

2009-07-15 | books

「運命の人」(四)山崎豊子 文藝春秋社 2009年(初出文藝春秋2005年1月~2009年2月号)

(一)と(二)はすごく面白かったという感想からなぜかそうでもなくなってしまった(三)に続く最終巻。

あの後、沖縄に住むようになった弓成。彼が知るようになった、沖縄での戦争末期の悲惨さから米軍と沖縄の関係を記し、事件のその後と、弓成自身の人生の流転を描写している。話の展開と最後の落としどころはとても滑らかとも言えるし、予想できたとも言える。しかしその事はたぶん本作を理解するにあたって重大なことではないように思う。知るべきこと(誰が知るべきだと決めるのは別として)を知らない人たちを啓蒙しようとしている小説だから、素直に「そうですか。それは知りませんでした」が正しいリアクションなのだ。

久しぶりに長風呂したときに風呂場で浴槽につかりながら一冊読み終えてしまった。だから上に書いたように、とても滑らかな筆の滑りが素晴らしいという言い方をするのもよし、それが真の小説の堪能の仕方かと問うてみるもまたよし。どちらも真だと思うのでこの際どちらであると決めなくても良いと思う。

まあ「面白かったか?」というボールをど真ん中に投げられれば、黙って下を向いてそのボールは見逃すだろうが。







運命の人(四)
山崎 豊子
文藝春秋

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ドラマ「ブザービート~崖っぷちのヒーロー」

2009-07-14 | film, drama and TV

最初のバスケのシーンで、大駄作の予感がした。バスケ選手とは思えないほど小さい選手たち、ハーフタイムで、テクニカルな事を言わずに俺たちの目標はプレイオフに出ることではなくプレイオフで優勝することだと言うヘッドコーチ、華奢で色白すぎるチアリーダー、異常に濃いピンクが目立つユニフォーム。さらに、追い討ちをかけるようにバイオリンを弾く動きが変な北川景子。

以上のたぶん合計10分程度のシーン以外はむしろそんなに悪くなかった。最初の駄作の予感は外れ、自分の感性が鈍っているのを感じた。

簡単に言うと極めて月9らしい。恋愛+スポーツ=月9の王道 である。

今後は周囲が思っているよりずっと悪い子の相武紗季と、選手として恋人として今ひとつの山下智久君と、妙にカツゼツのいい北川景子とおばちゃんぽい貫地谷しほり、健全ぽく見える伊藤英明ヘッドコーチの恋の行方が全く木にならない。じゃなくてやや気になる。チッと舌打ちはするし、タバコは吸うしの相武さんは今後どんな裏顔を披露するのだろうか。後は伊藤英明君の髪型は非常に彼に似合っていると思った。

なぜ私がヘアーの話をしているのだろうか。そうそう。このドラマで一番スタッフが輝いていたシーンがあった。それは山Pのヘアー。ではなくて部屋。壁に大きなREGGIE MILLERのポスター(?)が。文字と31番しか書かれていないのでこれが何の事だか分からない人も多いだろうがそれを敢えて説明しないことに今後バスケ関連の事はおろそかにせず、マニアをうならせてくれることを予感させた。REGGIE MILLERはIndiana Pacersのシュティングガード。マイケル・ジョーダンや山Pと同じポジション。(いや山Pはポイントガードだったかも?)彼については下にYouTubeで傑作選のような動画があるので貼り付けておく。










ここでCardia03という人がしているコメント、
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My Knicks made 4 out of the 10 highlights on here and they all were at The Garden.

I have crazy respect for Reggie, if anybody should know? how great he was. It damn sure would be a Knick fan, he used to kill us.

I remember all those games.
Knick Killer Reggie Miller.
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これに尽きる。当時大ニックスファンだった私はREGGIE MILLERを憎悪しつつ畏怖の念を抱いた。骸骨のような顔をしていると思ったのは私だけだろうか。今となってはニックスオタクのスパイク・リーが最前列の席で見てたとき、彼と言い合いをしていたのも良い思い出だ。

と思いもしないことで熱くさせてくれて、ドラマに感謝。謹んで来週も拝見させていただきます。



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ヒーヒー

2009-07-13 | days

昨日の都議選、自民党の大敗を受けて、いや受けないで。

土曜夜から日曜の午前にかけて頂上盗聴を果たした、いや登頂を果たした富士山。登りでは、ちょっと尋常でないほど好調だった私。トレックランナー並みに走って行けそうだった。無駄に体力が余っているので、しかも登りは真っ暗な中進むので、登りながらシャドーボクシングを始める私。キモイを通り越して、頭がお菓子な人だった。

しかしである。下り始めたら、ガツーンと膝に来た。右膝がすぐに悲鳴をあげた。ヒーヒー。昨年は左膝だったので、なぜか右傾化が進行中のようである。それからずっと右膝をかばって、足をまっすぐではなく、着地のときつま先を右に傾けることで何とかしのいだ。それでも昨年ほど膝の悲鳴は大声ではなかった。昨年は、近くの登山者にうるさいと叱られるほどだったのに。

昨日、既に夜にかけて太ももの前が張ってきた。ということは翌日はもう筋肉痛は起こらないだろうと期待していたら、

我が家の隣に住むタナカトクイチさん(仮名)が怒鳴り込んで来た。うるさいと。朝っぱらからヒーヒー言ってんじゃないと。

そう。私がヒーヒー言っていたのだ。幹部は、いや患部は太もも前部、後部、ふくらはぎ全体、背中、腰。特に足がひどい。

男として生まれたからには、誰かをヒーヒー言わせるのではなく、自分でヒーヒー言いたいとかねてから思っていた。その願いだけは叶えられた。





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富士山登ってきた2009

2009-07-12 | travel
昨晩から今朝にかけて富士山に登っていた。今年は唯一全面開通してる富士吉田口から。昨年よりパワーアップした私の登りっぷり&男っぷりとか、途中で見かけた登山者たち、アンビリーバブルとうもろこし兄ちゃん、意味不明ラクロス屋、ジャックという奇妙な団体による大量幼稚園児富士登山などは、まあまた今度。

今私の問題は昼の2時に疲れて帰宅して、今日これからどないせえちゅうねんてことやねん ちゅうねんつーやつはぁーやっぱりちゅうねんだけが使える言葉なんかな どないやねん



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「海のエジプト展」

2009-07-11 | days

パシフィコ横浜に見に行ってきた。地震や津波で海底に沈んでしまった、アレキサンドリア、ヘラクレイオン、カノープス。最新の機器を使って探索、引き上げられたお宝を見せてくれる。バーチャルリアリティシアターでは、自分が探索しているような気分を味わえる。

古代エジプトに物凄く興味があるというわけでもなく、だからと言って行きたくないというほど食わず嫌いでもない私は「おお、意外と悪くないじゃん」と思った。3時間半ぐらいの娯楽として、映画など他の代替物と比較に、充分耐えうる。当日券は大人2300円、前売りが2000円だから、誰かと行く場合その差額は結構大きい。

なんとなく、オタクっぽいとか真面目っぽい人が多くいるのかと思ったが、むしろ普通のおばちゃんとか不良っぽい若者がいた。わたくし的には、彼氏・彼女とのはじめてのデートにオススメしておく。誰が見ても感動する映画を一緒に観たところで、彼・彼女の人となりは分からないが、こういう、見ようによっては面白いというようなモノを見る方がそのリアクションから人となりが分かるから。また彼・彼女の気を惹きたいのなら、多少の事前学習をしておけばよいだろう。プトレマイオス朝って何やねんとか、ギリシアとエジプトの文化的な混交や、ギリシア神話薀蓄などどれか一つ披露して、ただだらだらと展示物を観るだけとは違う何かを出しておきたい。彼女が麻衣という名前だったら、勇気を出して「太れ麻衣オス」と言ってみれば吉。クレオパトラの話が出てきたら、彼にこっそりとブラウスをめくって見せて「ほら、あたしもコブラに噛まれちゃった♪」と言うために事前にわき腹にコブラシールを貼っておきたい。

私たちの背後で、三人組の女性たち(30代一名、20代二名)がいた。30代らしき女性がすごく詳しいようで、色んな説明をしていた。私はそれを聞きながら、連れに「すごいねえ」と言ったところ、連れは「王家の紋章読んでるからだよ」と言い切った。そこから判明したのは、連れが意外とマンガ好きであるということではなく、意外と根拠がないまま物事を言い切る傾向にあるということだ。




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ドラマ『任侠ヘルパー』

2009-07-10 | film, drama and TV

ヤクザの跡目争い。広域暴力団のトップ(であろう)爺さんが死去し、その跡に就くであろう松平健が後釜を選ぶため、傘下の組から6人を介護施設に送り込む。ヘルパーとしてちゃんと出来たら後釜に座れるかどうかは不明だが、介護施設での老人と素人ヘルパーたちの葛藤やら心温まるふれあいと描(こうとしている)

私ではなく、このドラマを観た二人の女性(内一人は未成年)が異口同音に「リアリティがない」と言ったのがとても印象的であり、このドラマの瑕疵を言い当てている。

設定は悪くないから、録画した撮って見た。しかし裏でやっていたツール・ド・フランスを観れば良かった(ま実際後で観たけど)

なぜリアリティがないと感じたのだろう。

1.極道の描き方が、Vシネマやマンガで描かれる戯画された世界を中途半端に取り込みつつ、オレオレ詐欺など現代的なネタも織り込んでいるので、ごった煮化してしまった。
2.6人の人物造形がパターンにハマりすぎていて、やはり現実的ではない。
3.だからと言って現実から離れたファンタジーとまで割り切れていない。
4.感情移入出来るような魅力的な登場人物の欠如。
5.演技に違和感。

ラスト近辺で黒木メイサさんと草ナギ剛君が対抗するチンピラと揉め事を抱えそうになるシーンがあるが、そこでの黒木と草ナギの怒りの表情は学芸会のようだった。脚本は決して悪くないと思うので(ストーリーそのものはつまらなくない)演技をする方の問題か演技をさせるほうの問題だと思う。初回だけを見て、もう観ないドラマがまた一つ増えた。




デートを一回して、もう二度と会いたくないと、思う方に問題があるのか、思わせる方に問題があるのか、どっちなのだろうか。




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夜と朝の間に

2009-07-09 | days

夜何かを思う。「そうだ!あれをやろう」「よし、あれはプランBで!」などと。

しかし、翌日朝になるとめっきりさっぱりその気がなくなる。あれをあれするぞと昨晩メールしなくて良かったと安堵してみたり、あるいはあれをあれするぞと昨晩メールしたことに後悔したり。

なんなのだろうか。夜と朝の間には何があるのだろうか。どうして夜はあんなに気が大きいのに、朝はあんなに気が小さいのだろうか。

夜と朝の間に、すごくちっちゃなおっさんが私の脳の中でダンスを踊ってるのだろうか。

夜の私と朝の私は、ようは別の人間ということでよろしいか。名前も変えたほうがよろしいか。



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ある高校の文化祭

2009-07-08 | days



不覚にも笑ってしまった。


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七夕

2009-07-07 | laugh or let me die



あいつは言った。


年に一度、確実なものを待つような人生よりも、

不確実な驚きを待つような人生を

生きてゆきたい。




七夕より

















たなぼた





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『骸骨ビルの庭』宮本輝

2009-07-06 | books

「骸骨ビルの庭」(上下)宮本輝 講談社 2009年 (初出群像2006年6月号~2009年2月号)

久しぶりにずっしりと来た。

大阪にある通称骸骨ビル。怪しい人たちが暮らしている。彼らの立ち退きのために送り込まれてきた私。骸骨ビルのオーナーだったパパちゃん、そこで育てて貰った戦災孤児たち。年月を越えて、戦後をちょっと飄々としたタッチで描く。

内容は、<どうして骸骨ビルに><彼らが住むようになったか><どんな風に骸骨ビルで><彼らが過ごしてきたか><どうして立ち退きに反対しているのか><それら全てに対して私はどう感じているのか>とまとめてしまってよいと思う。しかしまとめきれないのは、文章の間から立ち上る匂い。むせかえるような汗の匂い、骸骨ビルの「庭」で育てる作物の匂い、美味しそうな食べ物の匂い・・・ 色んな匂いが立ち込めている。

その匂いがなんとも言えない美匂だった。加えてストーリー展開もなんとも言えない自然な流れ、たまに出る意外性。そしてとても魅力的な登場人物が出すいい台詞。

私の大学時代の恩師はこう言う。


 その五十五歳から六十一歳までの六年間の勉学で、私は多くを学んだが、最も大きなものは、人間、とりわけ若者の将来に役に立たない学問は、死んだ学問だということだった。
 そんな簡単なことが六十一歳になるまでなぜわからなかったのか。私にそれを教えてくれる師がいなかったからだ。優れた師をもたない人生には無為な徒労が待っている。なぜなら、絶えず揺れ動く我儘で横着で傲慢な我が心を師とするしかないからだ(上巻62頁より引用)


この部分を読んだとき、真っ直ぐ伸びた針金のようなモノを、耳の穴にすーっと入れられたような感覚がした。私自身が最近感じ、考えていたこと、迷っていたことにヒントを与えてくれた。

またたまたまパパちゃんが拾った本に紙切れが挟まっていてこんな言葉が書かれていた。


 「構へて構へて所領を惜しみ妻子を顧み又人を憑みて・あやぶむ事無かれ但偏に思ひ切るべし、今年の世間を鏡とせよ若干の人の死ぬるに今まで生きて有りつるは此の事にあはん為なりけり、此れこそ宇治川を渡せし所よ・是こそ勢多を渡せし所よ・名を揚るか名をくだすかなけり」(168頁より)


パパちゃんはこの文章に心が釘付けになるのだが、私もとても気になった。


 「外食が体に良くないのは、自分の好きなものしか食べないからなんですね」(178頁より)


そうかそうか。自分の好きなことしかやらないのは、体に、自分のソウルにとって長期的に見れば、良くないんだ。ふむ。


 「ぼくは高校生のときに、人間は何のために生まれてきたのかってパパちゃんに訊いたことがあんねん」と言った。
 即答できるような質問ではないことくらいはわかる年齢に達していたし、明確に答えられるものでもないと承知していたが、パパちゃんは即答し、かつ断言したのだ。自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすために生まれてきたのだ、と。(250頁より)



こんな文章に出会えるから本はやめられないのだ。そして声をやや大にしていいたい。

宮本輝ー! 好きだー!






骸骨ビルの庭(上)
宮本 輝
講談社

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骸骨ビルの庭(下)
宮本 輝
講談社

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運も実力?

2009-07-05 | days

知り合いの中学校のセンセGさんにきいた話。

受け持っている生徒のA君とB君。それぞれ同じくらいバカらしい。A君はWhat does it say?を「なんで悲しかったんですか」と訳し、(sayとsadを混同しているのだろう。そんな中学生はおらが中学生だったごろにもいただ)B君は源氏が平家を滅ぼした、を「せきがはら」のたたかいと言ったそうだ。しかも「壇ノ浦」という文字を読みながら。(おらが中学のごろは郷ひろみをがふひろみと読んだもんだ。んだんだ)

どっちも単なるバカで片付けて終わりではなく、二人には明確な違いがあるそうな。選択肢がある問題の場合、例えば50%の確率で正解できる場合B君は70とか80%の正解が出来て、A君は20%しか正解出来ないそうだ。どちらも同じ位バカなのに、運が良い方と悪い方が極端なほど現象面で表われているそうだ。うーむ。

で、二人にまた顕著に表われているのが放つオーラ。B君は将来何になりたいか明確なビジョンがあって(競馬学校に行って騎手になりたいそうだ)部活動にも頑張っている、A君にはなりたいものが何もないしもちろん帰宅部である。それがA君の放つネガティブな負のオーラとB君の放つプラスのオーラとなっているそうな。

B君はバカなのにその学校に入れるのかときいたら、本人は入れない事態など全く想定していないそうだ。それは若者らしい極めてサッパリとした考え方で、ある意味美しい(むしろ若者は、もしダメだったときのことを考えてと、無駄にオプションとたくさん持とうとする傾向が昔より進んでいるように思う)なるほど。非常に興味深いフィールド・ワークである。

女子たちはよく言う。
働く男の姿はステキであると。
前向きに頑張っている姿はステキであると。
目標がある人は輝いていると。

それがそのまま当てはまるようである。女子たちが<彼氏><伴侶>に求める条件がそのまま中学生というガキを評価するのに使える。女子あなどりがたし。

話を今回記事のタイトルに戻すと(戻し忘れるところだった)、まあ頑張っているとかそういうポジティブな方向に動いていると、運までが自分のところにやって来て、日々テキトー生きているとどんどん運が逃げてしまうようである。

俺は、あたしは運が悪い。運が悪いだけなの。と言いたくなったら、一歩留まって、運が逃げるようなことしてないか確認し、日々の生活を充実させることを考えると良いと思うぜ。






今日の教訓




運のいい歌手
くらっきー麻衣


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Mはダメなの

2009-07-04 | digital, blog & twitter

人間を強引に2分法で表現してSもしくはM、あるいはドSもしくはドMというような言葉遣いが比較的問題なく人々の口にのぼる昨今、みなさんいかがお過ごしでしょうか。私は普通です。

私のノートPCなのであるが、「M」が打てない。いやシフト+Mが打てない。大文字のMが入力できないのだ。キーボードを見るとMが消えてなくなっている。ストロークには個性があるだろうから、特にMを強く打ってしまっていたのだろうか。もしくはMを使う文章を大量に作成しているのだろうか。隣のNや<も非常に入力しにくくなってきた。

このMでボケるのが難しいのでそれは早速放棄して、同じMならやはりマルクスである。でもMはダメなの、なのだ。Mの資本論、まだ読んでいないのだ。何度となくチャレンジして途中で何度となく挫折した。フロイトの「精神分析入門」は中学生のときの初チャレンジから3回目で読み終わった。「ゲーデル、エッシャー、バッハ」も3回目で読み切ったはずである。しかし資本論は何が書いているのか分からない、とずっと思っていた。しかし英訳を読んでいたら、和訳よりずっと分かりやすいことが判明したためチョコチョコと時間があるときに読んでいる。

とタイトルを書いたときはもうちょっと面白い着地点を予想したのに、意外なほど面白くないまま着地のポーズは仲本工事風に決めて、失礼する。


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『IN』桐野夏生

2009-07-03 | books

「IN」桐野夏生 集英社 2009年


どう言えばよいのだろう・・・二つの私小説がこの作品の中にある・・・

小説内小説として緑川未来男の「無垢人」があり、この私小説で未来男の不倫相手○子とは誰か、小説家タマキが追いかける。と言うとミステリのように聞こえるが一見全くミステリっぽくないのに、実は何気なくミステリの文法にキレイに則って描かれている。しかしミステリであることがこの作品のメインストリームにあるわけではない。小説家タマキの私小説=桐野夏生の私小説であるのかよく分からなかったし、これを私小説と呼んでいいのかどこまでがフィクションか分からないのでどう呼ぶべきかすら分からない。つまり何小説だかよくワカラン。島尾敏雄の「死の棘」がモチーフになっているときいたが、読んでないので比較できない。のでそれは放棄しよう。

それとは別で、小説家タマキと編集者青司の不倫がこの小説の第二軸となる。こちら側を中心に以下に記す。まさに泥沼な恋愛にずぶずぶと漬かり込んでしまう二人。もっと泥沼な恋愛ってあると思いながらも、でもなぜかこんなにどろどろした恋愛を見た事がない。それはタマキと青司の交わす会話、タマキの内心、ぐちゃぐちゃとした恋愛をリアルすぎるほどリアルに書かれていて、それが超泥沼であると感じる原因なんだろうと想像する。

読んでいて辟易するかと思ったらむしろ読み進めていくにつれて止められない。リズムは古臭いのにも関わらずクセになるのだ。

青司という既婚男性の優柔不断ぶり、ダメ男ぶり、自意識過剰ぶり、その全てに対して、まず①ムカつく ②でも俺に似てるのかもと思う ③同情しかけるが ④やっぱり青司にはあきれる ⑤ちょっとはタマキには同情する というリアクションが私を駆け巡る。ずっとずっと。

この小説を楽しむには、読者の年齢・経験が多少必要なのではなかろうか。高校生だった自分ならちっとも面白くなかったろう。また、私自身、一度だけ恋愛において「ズルイ」と言われたことがある。自分がズルイとはちっとも思っていなかった。しかしもしかするとその「自分がズルイなんて思われてるなんて、思ってなかった」という鈍感ぶりがまた青司と私の共通点なのかも知れない。そう思い始めると、読み進めるのがちょっと怖くなったり。

というような経験、あるいは別種の経験があると、いろんな意味で堪能できる作品だった。でも万人にオススメは出来ない。

ちなみに「OUT」と関係がありそうで全くなかった。




IN
桐野 夏生
集英社

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