今から遠い未来。地球から移民として宇宙に渡っていった者たち。宇宙国家を作り、今では地球を支配している。地球、ニューヨークシティの刑事、ライジ・ベイリは殺人事件の捜査を命じられた。殺されたのは宇宙人。そして捜査のパートナーは、ロボット!・・・
おお。SFとミステリーが見事に融合している。面白いし、考えさせてもくれる。まさか1953年の作品とは。
人口過剰になってしまったので、産児制限や食料の配給制度がある。ロボットに仕事を奪われ怒っている人たちがいる。地球では宇宙政府と仲良くやりたい人たちをそうでもない人たちがいる。この辺は、アメリカやヨーロッパ、あるいは日本の現状にちょっと通じるものがある。
訳者あとがきに、アシモフの「空想自然科学入門」にこんなことが書いてあると紹介してくれている。
ううむ。科学だけじゃない、学問の細分化とセクショナリズム。色んなこと知っている「知識人」が昔より減ってきているような気がしなくもない。
また、アシモフは大学で化学を専攻し、大学の教員になるだけじゃなく、生物学や物理学、天文学、数学の解説書、ノンフィクションもたくさん書いている。だからこそのこの発言なのだし、またこういう人の話は面白いに違いないと思わせる。
もちろん、本作は抜群に面白い。特にSFが苦手な人にオススメ。
今日の一曲
ロボットの歌。The Flaming Lipsで、"Yoshimi Battles the Pink Robots Pt. 1"
では、また。
おお。SFとミステリーが見事に融合している。面白いし、考えさせてもくれる。まさか1953年の作品とは。
人口過剰になってしまったので、産児制限や食料の配給制度がある。ロボットに仕事を奪われ怒っている人たちがいる。地球では宇宙政府と仲良くやりたい人たちをそうでもない人たちがいる。この辺は、アメリカやヨーロッパ、あるいは日本の現状にちょっと通じるものがある。
訳者あとがきに、アシモフの「空想自然科学入門」にこんなことが書いてあると紹介してくれている。
「18世紀までの科学は、果樹園のようなものだった。それはよく耕され、手入れされ、整理され、薫りたかく、枝もたわわに実をつけていた。(中略)しかもそれ以後となると、人々があまりにもせっせと働きすぎたために、果樹園はうっそうと生いしげり、陽もさしこまなくなってきた。もはや隅から隅まで通り抜けることなどできなくなり、人々は道に迷ったりもとの場所へ逆もどりしてしまった。(中略)そこである者は、果樹園のせまい一部分だけで満足し、狭いところに閉じこもってしまった。
今日では、科学という果樹園は、地球をとりまく巨大な怪物となり、そこには一枚の地図もなく、誰も道を知らなくなった。有能な科学者たちも、ただ狭い部分を手探りしているにすぎない。(中略)強いて道を求めようとすると、果樹園のなかで迷子になってしまうのだ。(中略)
だが幸いなことに、わたしはSF作家だった。ちゃんとしたSF作家であるためには(わたしの考えでは)できるだけ多くの科学の分野と親しくなっておかねばならない。そこでわたしは、科学の一般化の方向にむかって、頑固に歩きつづけてきた。
今日では、科学という果樹園は、地球をとりまく巨大な怪物となり、そこには一枚の地図もなく、誰も道を知らなくなった。有能な科学者たちも、ただ狭い部分を手探りしているにすぎない。(中略)強いて道を求めようとすると、果樹園のなかで迷子になってしまうのだ。(中略)
だが幸いなことに、わたしはSF作家だった。ちゃんとしたSF作家であるためには(わたしの考えでは)できるだけ多くの科学の分野と親しくなっておかねばならない。そこでわたしは、科学の一般化の方向にむかって、頑固に歩きつづけてきた。
ううむ。科学だけじゃない、学問の細分化とセクショナリズム。色んなこと知っている「知識人」が昔より減ってきているような気がしなくもない。
また、アシモフは大学で化学を専攻し、大学の教員になるだけじゃなく、生物学や物理学、天文学、数学の解説書、ノンフィクションもたくさん書いている。だからこそのこの発言なのだし、またこういう人の話は面白いに違いないと思わせる。
もちろん、本作は抜群に面白い。特にSFが苦手な人にオススメ。
今日の一曲
ロボットの歌。The Flaming Lipsで、"Yoshimi Battles the Pink Robots Pt. 1"
では、また。
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