頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『虎狼』モー・ヘイダー

2017-01-17 | books
金持ち、オリヴァー・アンカー・フェラーズの家に侵入した二人組。妻と娘を含めて三人を監禁する。この家で飼っている犬の首輪に「助けて」と書いて放った。この犬の飼い主を探すのはジャック・キャフリー警部。担当する事件ではないのだけれど、昔兄が失踪した件での情報を得るために、犬の飼い主を探すことになった。フェラーズたちを監禁する二人の目的が分からない。身代金を要求するわけでもない。だったら目的は・・・ キャフリーは彼らの住まいを探し当てられるのだろうか・・・

過去に起こったおぞましい殺人事件(カップル二人を惨殺)が今回の事件に大きく関連れしている。その事件のおぞましさ、この本全体に流れる暗い調べ。たまらない。

物語そのものは、ヨーロッパのミステリーにしては単純というか、分かりやすい。登場人物も多くない。なので読みやすいのだが、しかし濃厚。さっぱりしているのに味が濃い。
監禁事件の顛末も面白いのだかが、それ以上に衝撃的なのがキャフリーの兄の件。シリーズでずっと追いかけているのが、幼児性愛者に殺されたが遺体が見つかっていない兄のこと。この件について、ついに事実が分かる。これには驚いた。まさか・・・


虎狼 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

今日の一曲

本書の原題は"Wolf" タイトルだけじゃなく、内容すらも本に近い、Radioheadで、"A Wolf at the Door"



では、また。
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