頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『二流小説家』デイヴィッド・ゴードン

2012-03-09 | books

「二流小説家」デイヴィッド・ゴードン 早川書房(ポケットミステリ)2011年
The Serialist, David Gordon 2010

ハリー・ブロックは売れない作家。恋人のジェインには去られ、今は女子高生クレアの家庭教師の方が本業のようになってしまった。ヴァンパイア小説とSF、ミステリをそれぞれ別のペンネームで書いている。そんな彼のもとに、連続殺人犯で死刑囚のダリアン・クレイから、インタビューさせてくれるという申し出が。本になればすごい金が入ってくる。その代り彼がしなくてはいけないことがある…

ふむ。終盤にさしかかり全て解決したと見せかけて、どんでん返し+どんでん返しはなかなか。最近ミステリから遠ざかっているので新鮮な感じがする。

小説の中に、別のB級小説がいくつも並行して書かれ、それが自分では決して読まないような類の小説なので、それがなかなか楽しい。

事件はかなり深刻。女性4人の連続殺人で、殺す前に写真を撮りそれを捜査本部に送り付け、遺体はバラバラにして頭部以外は大型ゴミ容器に捨て、頭部だけはどこかに隠している。

というようなシリアスな時間なのにもかかわらず、語り口の軽さが読みやすさにつながっている。上下二段組みのポケミス450頁大量文字なのにあっという間に読める。長すぎなのが唯一最大の難点であるのと同時に。

ミステリの直球ど真ん中、じゃなくて内角低めに揺れながら落ちる変化球を読みたい方が楽しむ本じゃないかという気がした。

では、また。



二流小説家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)


なぜか今読みたい本たち。


キャッチ=22 上 (ハヤカワ文庫 NV 133)ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)マリー・アントワネット 上 (角川文庫)贖罪〈上〉 (新潮文庫)ピアニストという蛮族がいる (中公文庫)

ドレフュス事件・詩人・地霊 (大佛次郎ノンフィクション文庫 7)

何の脈絡もない。やはり、私の頭の中には魑魅魍魎が住んでいるのだろうか。
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