「雑貨店の奇蹟」東野圭吾 角川書店 2012年(初出野生時代2011年4月号~12月号)
今は人影もないナミヤ雑貨店。昔はそこに相談の手紙を送るとじいちゃんが丁寧に回答をくれた。逃亡中の若者三人が偶然そこへ忍び込むと、どういうわけかタイムスリップして1979年から相談の手紙が舞い込んでくる。いたずら心と好奇心で回答してみると…連作中篇5本
なんだこれは。巧い。巧すぎる。各篇にきちんとオチがあるのに、同時にそれぞれがつながっている。それが意表をついていて、想像だにしない方向へ向かっているんだよ。くーぅー(川平慈英の真似をする博多華丸風に)
東野圭吾は、初期の作品が結構好きだったのだけれど、その後それほど好まなくなってきたと思ったら「新参者」である意味頂点に達し、その後また停滞していたらまた本作で同じ頂に立った。(他の東野好きの人に聞いたら、私の評価は辛すぎるとのことだけど…)こんな作品があるから、ついつい次の作品も読んでしまうのだよ。
丁寧にはられた伏線、人情あり、タイムスリップあり、業あり、恋愛あり。久しぶりに、友人全員に薦められる小説だと思った。ラストもいい。
年末のミステリベストでは、今のところ1位はこれで決まりな感じ。夏にどどんと大作が出るのだろうか。fuckingな飲み会に5千円遣うならこの本に1600円遣う方がずっとenjoyableだなあ…俺ってけちですか… いいえ、いいんです!(博多華丸で)
いい作品すぎて、あまり書くことがなく、華丸でごまかしてしまった。
では、また。
ほんと タイムワープものにはだいたい、
未来を知っていて過去をいじっても何か弊害がある、間がかわっても結果が変わらない、結果がめぐりめぐって酷くなってくる、なんて相場が決まっているんだけど
過去(彼らにとって現在)にしたことが 未来の人の過去に影響を与えていて、
結果が彼らの思ってた着地点じゃなくても
みんなの心が救われてる、
…彼らさえも
ナミヤさんの真摯な回答が時空を超えて繋がる、素敵な話でしたね
おっしゃる通り、タイムトラベル(スリップ、ワープ)の問題をうまく乗り越えた作品でした。
去年読んだような気がしていたのですが、まだ今年6月だったのですね。