「悪」と戦う 高橋源一郎 河出書房新社 2010年(初出「文藝」)
なんだなんだなんだこれは。
すぐに言葉を覚えたランちゃん。なかなか言葉を覚えないキイちゃん。という二人の子供を抱えたお父さんの育児ほのぼのばなしかと思って読んでいたら、奇形?美形のミアちゃんが登場し、ミアちゃんのお母さんは突然叫びたいと言い出すし、かと思ったら、物語はランちゃん(女の子だと思っていたら男の子だった。ランと言ったら伊藤蘭だろ?)の視線から描かれ、いじめに合い、そして戦う相手が・・・
なんだこれは。最初は絵本的こども向け小説だと思って見かけたけど読まなかった。しかしなぜか読んでみたら、読んでいくうちにその世界にどっぷりとハマってしまった。
もし哲学が世界を理解する手段だとすれば、「悪」と戦うは哲学書だろう、子供でも読める。言葉をかえれば、1Q84の少年バージョンだとも言える。(言えるか?)誰かが何かと戦い、別の誰かが何かと戦っている=世界なのだ。
私の頭がおかしいのか、柔軟性に富んでいるのか、同時並行で読んでいた、伊藤計劃「虐殺器官」についてもかなり近い感じがした。現実にいる事と現実から浮遊する事が混在して、それ自体がカオスのように脳でパアッと広がる。また、ラディカルな物語を軽い語り口で和らげ、そして強めしているところも似ている。
今の日本の小説は本当に面白いと思う。昔は良かったなーとは思わない。
とか何とか言いながら、書店で見かけた小学館文庫の北上次郎選の「昭和エンターテインメント叢書」が気になる。「大番」獅子文六、「昭和水滸伝」藤原審爾、「ごろつき船」大佛次郎、 「半九郎闇日記」角田喜久雄、「捜神鬼」西村寿行と続くそうだ。昭和水滸伝以外は未読。非常に気になる&読みたい。
話を高橋源一郎に戻すと、この人や内田樹、橋本治たちは、こんなおじさんになりたいなーと思う私のロール・モデルなんである。おかしい?
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【哲】0的確定論
『或質的な面が物理的に確定する場合の確定要素は【0】である。』
【0特性】
◇絶対性
『拡がりが無い,』
◇不可分性
『分けられない,』
◇識物性
『存在の1の認識が可能, 即ち考えるもとの全てが【0】より生ずる, 但し質的な変化に対し絶対保存できない,』
◇変化性
『物による逆の確定が不可能な変化 (可能性の確立), 即ち存在の【1】を超越して変化する。』
【0特性】が真理であるならば, 時間平面的な視野は物的ではなく, 質的に変化していることになる。その根拠が【0∞1】, 有限的無限性を有する物による質の確定が不可能であること, そもそも確定する質が何かを知り得ない以上, 物理的確定論は絶対的ではなく類似事的な確定であること, である。
【零的確定論】では, 一つの時間平面が, 拡がり無き【時(とき)の間(はざま)】に確定していると考える。同様に空間を捉え, 【空の間】に空間を置き, 絶対的変化を与える【質】を流し込む。つまり時間平面は, この表裏不可分の裏側の【絶対無】により0的に確定されることになる。
△無は有を含む。
難しくて私には理解できませんでした。