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『白ゆき姫殺人事件』湊かなえ

2012-08-12 | books
「白ゆき姫殺人事件」湊かなえ 集英社 2012年(初出小説すばる2011年5月~2012年1月+集英社文芸Web)

会社の先輩が殺されたという女性が知り合いのライターに電話して、社内の情報など詳しいことを話した。ライターは取材をし、そしてまた、Web上でも面白おかしくこの件について語る。(マンマローというツイッターのようなもので)会社の同僚、地元の知り合いに取材しながら判明してくる真実は…女同志がもたらすネガティブな感情の行先は…

うーん。面白かったのかそうでなかったのか自分でもよく分からない。うーん。

ミステリの謎解き的側面についてはそんなにパワフルではない。しかし、各章が終わるたびに、巻末にあるその後にアップされたつぶやきを参照させるようになっていてこれが新鮮だ。

また、事件に無関係な者がなぜか関心の強さを見せ、それがちょっと背筋を寒くする。

現代人のちょっと嫌な感じを描くのはやはり巧い。しかし、嫌な感じを描くのと嫌な感じな人を描くのとは違う。人間の部位を描くのと、人間総体を描くのは違う。フィクションを作り物として楽しませるのもエンターテイメントだし、いかにもありそうなものに見せるのも、いかにもなさそうな作り話と読ませるのもエンターテイメント。どれが上だとは言えないけれど。

湊作品は、実は軽めのエンターテイメントだと考えればよいのだろうか…どう評価すべきか、まだ、湊かなえに関しては、判断保留状態が続く。しかし、この作家は何かを持っていると思う。今のようなハイペースじゃなくて、分厚い上下巻でもじっくり書いて欲しいものだ。

では、また。



白ゆき姫殺人事件
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