あの「船に乗れ!I 合奏と協奏」、「船に乗れII 独奏」、「船に乗れ!III 合奏協奏曲」の後日談が音楽小説アンソロジーのHeart Beat内に収められている。
あれから27年。音楽から離れた私のもとに、フルートの伊藤君から手紙が来る。彼はパリで才能を開花させ活躍している。その彼がリサイタルを日本でやるのでチケットを送ってくれたのだ・・・・・・
いやいや。相変わらずである。実にいい。内省的な彼がいい。自分が情けない事をきちんと自覚しているのがいい。なぜ情けない事を思うのかなぜ情けない事をするのかきちんと描写されているのがいい。
作者の藤谷さんはきっととても良い人なんだと思う。ご自分(の分身が登場人物)がなぜこうなのか、特にネガティブな時にきちんとそれを表に出してさらしているのが、自分を不要なほどに良く見せようとしてしまう人が多い(わたしもそう)中清々しい。
いっとき何かに完全に没入した時代を送った経験のある者なら必ずや「船に乗れ!」シリーズは堪能出来るに違いないが、堪能した人なら尚更この「再会」も逃せないと思う。続編強く希望。
Heart Beat芦原 すなお,伊藤 たかみ,小路 幸也,楡井 亜木子,花村 萬月,藤谷 治ジャイブこのアイテムの詳細を見る |
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