「船に乗れ!I 合奏と協奏」藤谷治 ジャイブ 2008年(書き下ろし)
音楽一家に生まれた僕。主体性のないままチェロを習う。芸大の付属高校には落ちてしまったけど、仕方なく入った新生学園高校で僕の音楽人生はどう変わってゆくのか・・・
いやいやいや。これはいい!すごくいい!(何かのレビューをしたときに!を使ったことはあまりないと記憶してる・・・それぐらい高い評価をしたい。しかし感想文としては小学生のようだ・・・)
全体的に僕の極めて内省的な視線で描かれているのがすごくいい。「バッテリー」や「一瞬の風になれ」などとは全然違う、青春モノなのに爽やかじゃない、のがいいのだ。私のおどろおどろしい経験が告げるのは、青春なんて爽やかじゃねえんだよってことだ。ハンカチ王子じゃあるまいし、ハナカメ王子じゃあるまいしなのだ。
青春をリアルに暗く、かつビビッドに描いた素晴らしい作品、というのが第一の側面だ。第二の側面は、やはり何と言ってもクラシック音楽だ。これでもかというテクニカルな表現が続いて何のことだか分からなかったりするのだが、それでいいのだ。楽譜も読めない私が分かるような物語を書いてはいけない。説明不足のまま突っ走るのがいいのだ。私の場合は身近に、幼少期にはピアノ、以降確かフルート?だかクラリネットだか忘れたが高校大学とずっと演奏しており私のクラシック師匠のMちゃんがいるから、分からなければ彼女に訊けばいいのだ。なお、この本はそもそもMちゃんに薦められて読んだんだった、北上次郎さんも褒めてたよな。あの人の薦める本は89パーセントの確率で私の心を打つ。
恋やらオーケストラで演奏するという高校生には極めてハードルの高いことや、友情やら全てが面白い。それは、洗足高校の音楽科を卒業した藤谷治さん自身がもしかすると体験したことを書いているからかも知れない。私も自分の体験を小説にでもしようかね。それはコントのネタにしかならないかね。
なぜ「船に乗れ!」というタイトルなのかまだ分からない。しかし横浜は有隣堂の本店、ラゾーナ川崎の丸善、そして丸の内オアゾの丸善(先日鳩山PMが大人買いしたのはたぶんここ)のどこに行っても、船に乗れのI II IIIが平台(垂直じゃなくて水平に本を置く台のことだよ)に大量に積まれていた。のだめが火をつけたクラシック+青春=爽やかなような、爽やかでないような+門外漢が憧れる世界 がもたらしたロングテールに乗っかっているのかも知れない。小澤征爾の「ボクの音楽武者修行」がまたベストセラーになったりしてね。
爽やかじゃない爽やかじゃないって言ったけれども、それが私が自分自身が爽やかじゃないと自分で思っている青春時代と似ているからそう思うからかも知れない。私の青春とあまりにもガッツリとシンクロしてしまったのだ。だから、実際に他の人が読むととっても爽やかで柑橘系の香りがするのかも知れない。
※追記
「船に乗れ!II独奏」のレビュー
「船に乗れ!III合奏協奏曲」のレビュー
船に乗れ!〈1〉合奏と協奏藤谷 治ジャイブこのアイテムの詳細を見る |
船に乗れ!(2) 独奏藤谷 治ジャイブこのアイテムの詳細を見る |
船に乗れ! (3)藤谷 治ジャイブこのアイテムの詳細を見る |
ボクの音楽武者修行 (新潮文庫)小澤 征爾新潮社このアイテムの詳細を見る |
評判は 知ってます。
確かブランチでも松チョイされてたような。
次は こちらを読んでみます。
一瞬の風になれ も未読です。
漫画の青春ものは読んでますけど。
剣道漫画の“ひらひらひゅ~ん”とか。
吉田秋生の“風街ダイアリー”など
なかなかいいと思います。
あら 宇多田のペプシネックスのCMに見とれました。
歌ってる。彼女も27歳。
デビューした時は、ファーストアルバムが鮮烈でした。
今もあのアルバム好きです。
スポーツものだと、百田尚樹の「ボックス!」は
かなりオススメです。映画は観てないんですが。
吉田秋生は「海街diary」というタイトルでしょうか?
BANANA FISHは読んだのですが、こちらは未読です。
宇多田ヒカルのファーストアルバムは1曲目から
通して聴くのが良いですね。たまに聴きます。
海でしたね。
申し訳ないです。
バナナフィッシュや河よりも長くゆるやかに。など読んでましたよ。
コミックレンタルで見かけて借りてみたら良かったです。
今更ですが
バナナフィッシュってサリンジャーの小説に出てくるんですよね。
昔々に読んだけど
バナナをたくさん食べる魚を見た見ないの話しだったかしら。
もう忘れちゃった。
(-_-#)
ふるさん ありがとうございます。
風邪に気をつけて下さいね。
永遠の0とモンスターは読みました。
風の中のマリア?とボックスは読んでないですよ。
一杯読みたいのあるので順番で読みたいです。
百田さんてヒロイズムっていうのか、かっこ良く見せるのが上手。
圧倒的な感じで。
うまく言葉が見つからないです。
サリンジャーとかフォークナーとか
アメリカ文学の基本(?)と言われるような
小説群て、私ちょっと苦手だったりします。
「永遠の0」は未読です。
風邪ひきそうでひかないギリギリの
ところにいます。
こなつさんこそ、ご自愛下さいませ。