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頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『フロスト気質』R・D・ウィングフィールド、長い!でも読み始めたらやめられない

2008-09-11 | books

「フロスト気質(かたぎ)」上下 R・D・ウィングフィールド 東京創元社 2008
HARD FROST, R.D.Wingfield 1995

「クリスマスのフロスト」「フロスト日和」「夜のフロスト」で、読む者全てを振り回すフロスト警部が久しぶりに帰って来た。

1.シリーズ全てを読んでる人へ

大丈夫。今までと何ら変わらないペース、フロスト節も炸裂しまくり。フロストをまた楽しめるので躊躇なく買いましょう。

2.未読の人へ

このフロストシリーズはちょっと他のミステリーとは違う。モジュラー型ミステリーと呼ばれたりするんだが、他のミステリーだと「一つの事件(たいてい殺人事件)があってその謎を解く」あるいは「一つの事件が解決できないまま連続(たいていは殺人事件)で事件が起こってその関連性も含めて謎を解く」という形式を取っているだろう。しかしフロストシリーズは全く違う。何か事件があった。詳しい情報が我々に伝わる間も無く別の事件が。と思ったらさらに別の事件が。第一の事件につながる捜査が始まったかと思ったらまた別の事件。という具合に気がついたら未解決事件が大量に蓄積。その全部が同時並行で進んで行く。その事件全ての指揮を取ろうとするのが我らがフロスト警部。お下劣、口が悪い、かなりブラックなユーモアの持ち主が、試行錯誤しながら最後にはあっと驚くアクロバティックな展開で全て解決。

従来のミステリーに飽きた人には迷いなく薦められる。

今回のフロスト気質(なぜかたぎと読ませるんだ?)は、男児の誘拐が事件の核になっているのでその分以前の作品より読みやすいかも知れない(分量が半端じゃなく長いが)

なおタイトルだが、フロスト気質、フロスト日和、クリスマスのフロスト等になっているが深い意味はない。原作のタイトルにも意味を全く見出せないので気にしない方がよいだろう。



フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)
R.D. ウィングフィールド
東京創元社

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フロスト気質 下 (創元推理文庫 M ウ)
R.D. ウィングフィールド
東京創元社

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↑あまり大きな声で言いたくはないが、ブックオフで105円で売っていた(ちょっと悲しい)このフロストシリーズは続き物的側面が非常に薄いので順番に読まなくてもよいと思う。しかし少しはあるので105円出して古いものから読んでいって、さすがに全部105円は申し訳ないから、フロスト気質ぐらい定価で買って読むか、というのが正しい本読みのあり方である。うむ。






フロストシリーズは英国でドラマ化されており、これもか・な・りオススメである。全部見たわけではないが。

年末のミステリーベスト10争いだが、池上永一の「テンペスト」が出たし、トム・ロブ・スミスの「チャイルド44」も出たばかり。しかしこの「フロスト気質」がかなり上位に来ることはこの私が胸を張って保証しよう。トップ3に入っても何らおかしくないと思う。





今日の教訓




旅に持って行くのは
歯ブラシと
フロスと・・・
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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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無知な私 (ユウマ)
2008-09-11 21:08:51
ほへぇ~この本、初めて見ました
ミステリーなんですね…
生涯読破冊数の少ない私としては
いつもここにきて、目から鱗です

アラスカに行ってエスキモーの美女を口説いた話が、いつ出てくるのか楽しみにしています
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無知無知な私 (ふる)
2008-09-12 14:43:46
★ユウマさん、

残念なことに作者のR・D・ウィングフィールドは鬼籍に入られたので
フロストシリーズ読破は容易です。
しかしながら、まだ邦訳されていないのがあるので
それを待ちましょう。
アラスカでエスキモーの美女と自民党総裁戦について
熱く語りつつ相撲をとった話なら後日。
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