「民王」池井戸潤 ポプラ社 2010年(初出ポプラビーチ)
首相が漢字読めないのも、大臣がもうろう会見してしまうのも、実はその裏側には!想像を絶するその真実とは・・・何と、首相とその息子の中身が入れ替わっていたから・・・
いやいやいや。最初はどうかなと思って読んでいた。トンデモ本とそうでない本の間をギリギリ進む。バカバカしいなあと思っていたにも関わらず、段々とハマってしまった。面白いぞ。実際に起きた政治事件が先にあって、それをふまえて創ったフィクション、ファンタジーと言っても構わないと思う。
勿論、普通首相と息子が入れ替わってうまくいくわけがないのがうまくいくのが小説なのだが、期待との若干のずれが心地いい。
不祥事を起こす大臣がいて、対立する政党があって、通さないとならない法案があって、政党のバックアップをする利益享受者がいて、というような堅い話は最小限度に抑えてあるのでとても読みやすい=薄っぺらい、と簡単に片付けられないから=悪くない小説である。
245頁から246頁にかけて炸裂する翔の台詞(見た目は首相の武藤泰山)がいいし、356頁で翔の就職の面接での面接官の台詞も良かった。
「君みたいにさ、理想論ばっかりいってる若者ていうのは質が悪いんだ」そういったのはハゲのほうだ。「だが理想論すら語らない若者はもっと質が悪い」
ふむふむ。マンガやドラマ、映画になりそうな予感がする。おじさんとイケメン大学生の入れ替わりはビジュアルに生えるだろうし。
民王池井戸 潤ポプラ社このアイテムの詳細を見る |
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます