頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『バッタを倒しにアフリカへ』前野ウルド浩太郎

2018-02-21 | books
モーリタニアで、たまに大量に発生しては、農作物を食い荒らすサバクトビバッタ。その研究のために、モーリタニアの研究所でお世話になることになった著者。しかしトラブルは続出するし、肝心のバッタが見つからないし。そんな研究に入るきっかけや、ポスドク生活の大変さ、研究費獲得の苦労などを描く・・・

いきなり、まえがきから面白い。バッタの生態や研究もなかなか興味深いのだけれど、それ以上に向こうでの生活とか、ポスドクの苦労について書く文章が良かった。

砂漠にも冬が訪れた。年中暑いのかと思いきや、夜は凍えるほど寒い。あまりの寒さに、ある夜「その温かいクリームシチューを僕にかけてください」と定食屋のおかみさんにお願いする夢を見た。寝ながら凍えていたのだろう。温まりたい深層心理がよくわかる。

自分も彼らに倣ってたった3日間ではあるが、ラマダンをしてみた。すると、断食中は確かにつらいが、そこから解放されたとき、水を自由に飲めることがこんなにも幸せなことだったのかと思い知らされた。明らかに幸せのハードルが下がっており、ほんの些細なことにでも幸せを感じる体質になっていた。おかげで日常生活には幸せがたくさん詰まっていることに気づき、日々の暮らしが楽に感じられた。ラマダンとは、物や人に頼らずとも幸せを感じるために編み出された、知恵の結晶なのではなかろうか。

なるほど、なるほど。ラマダンなんて狂った風習だと思っていたけれど、そんな効用があるのか。サウナで耐えると、後のビールが美味い、というのと多少似ているだろうか。いや、ちょっと下世話か。

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

今日の一曲

先日、「YOUは何しに日本へ」で、アメリカの二人の女性がこのグループのライブを観にやってきたと言っていた。BiSHで、「オーケストラ」




では、また。
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