頭の中は魑魅魍魎

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『村上海賊の娘』和田竜

2013-11-28 | books
戦国時代1576年。長篠の戦いの翌年、信長は一向宗の大坂本願寺を叩き潰そうとしていた。大坂本願寺は後に大阪城になる場所。当時は海に近かった。本願寺は中国地方の雄、毛利氏に援軍を頼む。毛利としては、信長と組むべきか、それとも上杉謙信が反信長となれば謙信と組んで本願寺を助けるべきか。謙信は、加賀の一向宗に手こずっているので、大坂の本願寺を助けるかは不透明。瀬戸内海、現在しまなみ海道がある芸予諸島のとても小さな島、能島を根拠地とする能島村上氏。海賊として戦乱の世に名が轟いていた。嫁にもらってくれる者のいない、村上の娘景(きょう) 醜女だが、刀を持てばめっぽう強い。彼女を中心に置きつつ、織田軍と毛利、村上海賊らの第一次木津川の合戦を描く。

私は合戦もの戦争ものの全体の戦略を読むのは好きなのだけれど、個々の戦いについては読んでいると飽きてしまう。個々の戦いは必要に応じて熟読したり軽く読み飛ばしたりしていた。

本作は、キャラクターがビンビンに立っている。景だけではなく、全ての登場人物が主役のように輝いている。魅力的な登場人物が多い。(戦国時代や幕末に魅力的な登場人物が多いのは、単に作家がそう書いているだけなのか、乱世にはそういう人物が多く出現するという歴史的な原理があるからなのか、魅力的な人物が多いに違いないという誤った予備予備知識によるものなのか、あるいは読者としてそういう物語しか読まないからなのか。よく分からない)

多少読み飛ばしたことは否定しないけれど、こんな体たらくの私にしては、結構詳しく読み耽ってしまった(当社比)まるで映画を観ているかのような、描写上手だったからだだろうか。

今日の一曲

海賊でパイレーツ、だっちゅうのに行くと見せかけて、織田なので織田裕二に行くと見せかけて、



織田哲郎で「いつまでも変わらぬ愛を」

では、また。

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