頭の中は魑魅魍魎

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『灰色の犬』福澤徹三

2013-11-12 | books
大学を出たのに、定職につかず派遣のバイトをしている遼平。高卒の友達よりも金がない。遼平の父、誠一は刑事。暴力団担当で実績をあげていたのに、情報漏えい事件の責任とらされ、本部から所轄へ左遷された。刀根は暴力団員。会長とはうまくいっていない。年下の組員の方が上納金を多く納めており肩身が狭くなってきた。その年下の組員を守るために警察と取引するように会長に命じられた。遼平はパチスロばかりの毎日で、090金融から借りることになってしまった。誠一は、署長の転任の土産に、拳銃の押収事件をでっち上げるよう命じられる。最近の暴力団担当の刑事には、コネがないので昔暴力団とのつながりがあった誠一を頼ってきたのだ。刀根と誠一の利害が一致し、そこに遼平の人生が絡んでくると…刑事とやくざが組んで、警察組織と暴力団幹部に一泡吹かせてやる…

この福澤徹三という作家とはとても相性がいいらしい。「すじぼり」「死に金」も、文体やストーリーの運び方、その全てが好み。

遼平の人生の転落の仕方と、現代の貧困ビジネス(パチスロ、090金融、ネットカフェ、派遣)の絡ませ方もうまい。警察と暴力団の持ちつ持たれつの関係もまたうまい。

終盤のドタバタ感は、逢坂剛の御茶ノ水署シリーズとか、黒川博行の悪徳刑事シリーズなどで見たことある感じはするものの、スカッとする感じはいいし、全体としては悪くない。

無駄のない文体、言葉の使い方、10年経っても20年経っても古びないものがあると思う。

今日の一曲

遼平の、言わば、負け犬の人生。そんな負け犬の人生を歌った唄。ブルース・ホーンズビー&ザ・レインジでThe Way It Is



メロディはキレイなのに、歌詞は現実的。welfare dime(生活保護の小銭?)を受け取る列に並ぶ者に対して、シルクのスーツを着た男が「仕事しろよ」と言う。貧乏人は決して浮かび上がることができない。そんなもんだよ、人生は。決して変わることはないさ。というような歌。負け犬とは社会が作り出す必然なのだろうか。勝ち組だと思っている者が実は負け犬なのだろうか。

では、また。

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