頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『白い迷路』ジェイムズ・トンプソン

2015-04-01 | books
「極夜」「凍氷」に続くフィンランド警察ミステリー。第三作はそれまでとはだいぶ趣が変わる。

冒頭、主人公カリ・ヴァーラ警部は国家警察長官のユリ・イヴァロに金を渡し、犯罪者の情報を受け取る。なにやらイケナイお金のようだ。そう。カリは長官と結託して、犯罪者の金を盗み、山分けしているのだ。(なんだと)

そして、フィンランド国内の問題。移民に対する排斥運動。移民を擁護している政治家が殺され、頭部が切り取られる事件が起こった。担当するのはカリ。解決できるのか。

さらに、大富豪の子息の誘拐事件が未解決になっている。その大富豪に頼まれたフランスの情報機関の男が事件解決の協力を依頼してきた。しかしこの男怪しい…

てな具合で、二つの事件解決+「悪い刑事」物語となっている。

前の二作と全然違うのは「悪漢刑事」であること。しかし彼と二人の部下の悪い方へと進んでいくスピード感、そして意外な展開がたまらない。今年読んだミステリーの中でもトップクラス。

作者は昨年亡くなってしまったそう。もう一作は出版されているそうだから、翻訳も出るのだろうけれど、それ以降はこのシリーズは読めないのだろう。とてもとても残念だ。

今日の一曲

ジェイムズ・トンプソン。ジェイムズつながりで、James Brownの"I Feel Good"



昔はこんな激しい動きをしていたのね、

では、また。

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